循環器内科

脈圧( 血圧の上と下の差)が大きいのは危険です

16/08/2019

【要点まとめ】

  • 脈圧(上の血圧と下の血圧の差)が65mmHg以上あると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)が、脈圧の増大や血圧の乱れに関与する可能性があります。
  • 家庭で血圧を測定し、定期的な記録と医療機関での評価が大切です。

脈圧(血圧の上と下の差)が大きいのは要注意です

脈圧(血圧の上と下の差)が大きいことの危険性を伝える血圧計のイラスト

脈圧とは、上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)の差のことです。

通常、40〜50mmHgが正常範囲とされていますが、脈圧が65mmHg以上になると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇することが知られています。
(参考文献:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」p.65より)

これは、動脈硬化が進行しているサインと考えられています。

血圧には上の血圧と下の血圧がありますね。

上の血圧のことを、収縮期血圧といいます。下の血圧のことを、拡張期血圧といいます。

上下の血圧の差を脈圧といいます。

脈圧

脈圧とは、上の血圧と下の血圧の差です。

脈圧は大動脈硬化の程度を反映します。

大動脈とは何でしょうか。大動脈は心臓から全身に血液を送り出す、最も太い動脈です。

大動脈

大動脈の走行

大動脈は横隔膜を境に大きく胸部大動脈と腹部大動脈に分かれます。

胸部大動脈では、心臓から出てすぐの最も太い動脈を上行大動脈といいます。頭や腕へ血液を送る頚動脈などの中動脈を分枝しながら大きくUターンします。このUターン部を弓部大動脈といいます。次の胸の中で心臓の後ろをお腹に向かって降りてくる部位を下行大動脈と言います。

さらに、横隔膜を貫き腹部大動脈となります。腹部大動脈は肝臓、胃腸、腎臓などの腹部の臓器に血液を送りだす枝を出し、臍の高さで、骨盤内の内臓や左右の足を栄養する左右総腸骨動脈に分かれます。

なぜ脈圧が大きくなるの?

加齢や生活習慣の影響で血管が硬くなると、心臓から血液を送り出すとき(収縮期)の血圧が高くなり、拡張期の血圧は低くなります。

この差が開くことで、脈圧が大きくなってしまうのです。

動脈硬化の予防ポイント

  • 高血圧をきちんと治療する
  • 悪玉コレステロール(LDL)を減らす
  • 糖尿病を放置しない
  • 禁煙する

脈圧が大きい方は、血圧や動脈硬化のリスクを早めに評価し、必要に応じて対策を取ることが重要です。当院(船橋市・しもやま内科)では動脈硬化の予防に力を入れています。

血圧は家庭でも簡単に測れます

家庭用血圧計を使って、朝と夜の血圧を記録しましょう。

最近では、ドラッグストアや通販でも手頃な価格で購入できます。

自宅で血圧を測りましょう

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家庭用血圧計

家庭用血圧計

睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関係にも注目

実は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)も脈圧の拡大に関与することが知られています。

SASでは、睡眠中に呼吸が止まるたびに交感神経が過剰に働き、血圧が不安定になります。これにより血管が硬くなりやすく、収縮期血圧が高く、拡張期血圧が低くなる傾向があります。

その結果、脈圧が広がる=動脈硬化リスクが増すという悪循環につながります。

脈圧の異常が見つかった場合、睡眠時無呼吸の検査も視野に入れるとよいでしょう。

▶ 睡眠時無呼吸症候群に関するよくある質問はこちら

下の血圧(拡張期)も見逃さないで

上の血圧ばかり注目されがちですが、下の血圧が高いのも重要なリスク因子です。

詳しくは以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

▶ 下の血圧を下げるにはどうすればいいか

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脈圧が大きくて不安な方は、しもやま内科にご相談ください。


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この記事の監修医師

下山 立志 医師(しもやま内科 院長)
総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医・老年病専門医
千葉県船橋市にて、高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群の専門診療を行っています。


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