脈圧(上下一差が大きい/小さい)とは|正常値の目安・原因・受診のポイント|しもやま内科(船橋市)

【要点まとめ】

  • 脈圧(上の血圧と下の血圧の差)が持続的に大きい場合、動脈硬化や弁膜症などの可能性があり専門的評価が有用です。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)甲状腺機能亢進症は脈圧や血圧変動に影響することがあります。
  • 家庭血圧を朝晩記録し、複数日のデータをもって医療機関で相談しましょう。

脈圧(血圧の上と下の差)が大きいのは要注意です

脈圧(血圧の上と下の差)が大きいことの注意点を示す血圧計イラスト

脈圧とは、上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)の差のことです。一般に約40〜50mmHgが目安とされますが、脈圧が大きい状態が持続する場合は、心血管リスクの評価をおすすめします。
(参考:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン等の一般的記載/個別評価が前提)

血圧には上の血圧と下の血圧があります

上の血圧のことを収縮期血圧、下の血圧のことを拡張期血圧といいます。

上下の血圧の差を脈圧といいます

脈圧=収縮期血圧−拡張期血圧のイメージ
脈圧=収縮期血圧−拡張期血圧

脈圧は大動脈の硬さ(スティフネス)を反映します。大動脈は心臓から全身へ血液を送り出す最も太い動脈です。

大動脈の走行(胸部大動脈と腹部大動脈)
大動脈の走行

大動脈は横隔膜を境に胸部大動脈腹部大動脈に分かれ、頭や腕、腹部臓器、骨盤・下肢に血液を送ります。

なぜ脈圧が大きくなるの?

加齢や生活習慣の影響で血管が硬くなると、血液を送り出すとき(収縮期)の圧が高く、拡張期は相対的に低くなり、差(脈圧)が広がります。
また、大動脈弁閉鎖不全甲状腺機能亢進症睡眠時無呼吸症候群(SAS)などが関与することがあります。

動脈硬化の予防ポイント

  • 高血圧の治療最適化(生活習慣+薬物療法)
  • LDLコレステロール管理(脂質異常症の治療)
  • 糖尿病の適切な治療・放置しない
  • 禁煙・受動喫煙の回避

脈圧が大きい方は、血圧と動脈硬化リスクの評価を早めに行い、必要があれば頸動脈エコー・ABI/PWV・心エコー・採血などを組み合わせて原因精査・対策を進めます。

血圧は家庭でも簡単に測れます

家庭用血圧計で朝晩測定し、複数日を記録しましょう(座位1〜2分安静、上腕で測定、適正カフ)。

家庭での血圧測定の推奨

自宅で血圧を測りましょう

家庭用血圧計の例

家庭用血圧計

🧐 よくあるご質問(脈圧と健康について)

Q. 脈圧とは何ですか?
脈圧は「収縮期血圧(上の血圧)−拡張期血圧(下の血圧)」で計算する値で、血管の状態をみる指標です。
Q. 脈圧が広がっていると、どんなリスクがありますか?
動脈硬化の進行や心血管リスク上昇が懸念されます。弁膜症や内分泌疾患が背景にあることもあり、医療機関での評価をおすすめします。
Q. 正常な脈圧の目安はありますか?
一般に約40〜50mmHgが目安とされます。年齢や個人差もあるため、継続測定と医師による総合判断が大切です。
Q. 脈圧が高い原因には何がありますか?
高血圧・動脈硬化・大動脈弁の異常・甲状腺機能亢進症・睡眠時無呼吸症候群(SAS)などが要因となり得ます。
Q. 睡眠時無呼吸症候群と脈圧は関係していますか?
はい。SASでは交感神経過活動などで血圧が不安定となり、脈圧が広がる傾向があります。
Q. 自宅で脈圧をチェックできますか?
一般的な血圧計で上と下を測り、差を取ることで簡易的に確認できます。複数日の平均で評価しましょう。
Q. 気になるときは、どうすればよいですか?
まずは受診して詳細評価を。必要に応じて睡眠時無呼吸の検査や心血管リスクのチェックを行います。

▶ 高血圧と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、早朝・夜間高血圧の一因となり、治療介入により血圧が安定するケースがあります(例:CPAPの関与)。

解説:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」等の知見(最新情報は診察時にご案内します)。


高血圧と睡眠時無呼吸症候群の関連を図解するイラスト|しもやま内科(船橋市)

下の血圧(拡張期)も見逃さないで

上の血圧に目が行きがちですが、拡張期血圧高値も重要なリスク因子です。詳しくは以下をご覧ください。

▶ 下の血圧を下げるにはどうすればいいか

脈圧が気になる方は、しもやま内科にご相談ください。

📞 047-467-5500 に電話する

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
睡眠時無呼吸症候群や甲状腺疾患、循環器疾患の背景にある内科的要因を丁寧に診断し、地域のかかりつけ医として診療にあたっています。

16/08/2019