このページの要約
「下の血圧(拡張期血圧)」が高い状態は、若年〜中年で特に心血管リスクが上がります。
生活習慣の見直しと必要に応じた薬物療法でコントロールしましょう。
- 拡張期血圧が高い=脳卒中・心筋梗塞などのリスク増(若年〜中年で重要)。
- まずは減塩・体重管理・運動・禁煙・節酒・睡眠改善を徹底。
- 必要に応じてACE阻害薬/ARB/Ca拮抗薬/利尿薬などで治療。
- 夜間・早朝高血圧が続く場合は睡眠時無呼吸(SAS)の評価も重要。
- 船橋市・津田沼エリアの血圧の相談はしもやま内科へ。

拡張期血圧が高いと良くないのか?
「下の血圧だけが高いんです。」というご相談を多く受けます。
医学的には拡張期血圧(DBP)と呼びます。ちなみに「上の血圧」は収縮期血圧(SBP)です。
脈圧(上と下の差)が大きい場合も注意が必要です。
拡張期血圧(DBP)が高いことは、複数の大規模研究により心血管疾患(CVD)リスク増加と関連が示されています。
代表的な研究を紹介します。
🧪 主なエビデンス
1. Framingham Heart Study(フラミンガム研究)
- 対象:米国の長期疫学調査
- 結果:
- DBP ≧ 90 mmHg の中年者で心筋梗塞・脳卒中リスクが有意に上昇。
- 冠動脈疾患発症率と独立して相関。
📚 Kannel WB et al., The Framingham Study(1970)
2. MRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial)
- 対象:30万例以上の男性
- 結果:DBPが高いほど冠動脈疾患による死亡率が上昇。
📚 Stamler J et al., JAMA(1986)
3. Prospective Studies Collaboration(Lancet 2002)
- 対象:約100万人を含むメタ解析
- 結果:
- SBPとDBPはともに独立してリスクを形成。
- DBPが10 mmHg上昇するごとに死亡リスクが約30〜40%増加。
📚 Lewington S et al., Lancet(2002)
4. JNCガイドライン(7・8)
- 若年〜中年ではDBPが重要な予後因子。
- DBP ≧ 90 mmHg は介入対象。
▶ 高血圧と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係
睡眠時無呼吸(SAS)は早朝高血圧・夜間高血圧の大きな原因であり、治療によって血圧が改善するケースがあります。
特にCPAP療法で血圧が改善した報告は多数あります。
💡 まとめ
- 若年〜中年ではDBPの高さが特に重要。
- DBP ≧ 90mmHg は心血管疾患リスクが有意に増加。
- 予防・治療の観点からも収縮期と同様に重視すべき指標。
拡張期血圧を下げる治療法
治療は生活習慣の改善と薬物療法の両面からアプローチします。
🔄 生活習慣の改善
- 減塩:1日6g未満を目安に。
- 体重管理:BMI 25以上では減量が有効。
- 運動習慣:有酸素運動を週150分。
- 禁煙・節酒:過度な飲酒は血圧を上げます。
- 睡眠・ストレス管理:交感神経の過緊張を避ける。
💊 薬物療法
- ACE阻害薬:血管拡張(例:エナラプリル)
- ARB:ACE阻害薬同等(例:ロサルタン)
- Ca拮抗薬:血管平滑筋の収縮抑制(拡張期にも効果)
- 利尿薬:余分な水分を排出
- β遮断薬:心拍数・心収縮力を抑制
🔍 注意点
- DBPが低すぎる(60mmHg未満)と心脳血流が低下し注意。
- 治療方針は年齢・合併症・全身状態で調整します。
- 若年者で「拡張期のみ高い高血圧」は動脈硬化の前兆のことも。
よくある質問
- 下の血圧が高いと、どんなリスクがありますか?
- 拡張期血圧が高いと脳卒中・心筋梗塞のリスクが上昇します。
- まず何をすべきですか?
- 減塩・運動・体重管理・禁煙など生活改善が第一です。
- 薬で下げられますか?
- 生活改善で不十分な場合に薬物療法を併用します。
- 拡張期だけ高い場合も治療は必要?
- はい。単独の拡張期高血圧でも心血管リスクがあります。
- どんな検査をしますか?
- 血液検査・心電図・腎機能評価など。必要に応じSASを評価します。
下の血圧が高くて不安な方は、しもやま内科にご相談ください。
この記事の監修医師
しもやま内科 院長 下山 立志(しもやま たつし)
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本糖尿病学会 専門医・指導医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本甲状腺学会 甲状腺専門医
- 日本老年医学会 老年科専門医・指導医
糖尿病、甲状腺疾患、循環器疾患、老年期疾患の診療経験多数。
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