血圧の正常値とは?年代別の目安と家庭血圧の測り方【専門医解説】|しもやま内科(船橋市)

【要点まとめ】

  • 血圧の「正常値」は 診察室血圧と家庭血圧で基準が少し異なり ます。
  • 一般的には、診察室血圧で140/90mmHg未満家庭血圧で135/85mmHg未満 が1つの目安です(個人差あり)。
  • 朝・夜の決まった条件で測ることで、血圧の傾向が分かり、高血圧の早期発見にもつながります。
  • 数値が気になる・迷うときは、ご自身で判断せず一度ご相談いただくのが安心です。
自宅のリビングで上腕式血圧計を使い、家庭血圧を落ち着いて測定している中年男性|血圧の正常値と年代別の目安、家庭血圧の測り方を解説するイメージ
血圧の正常値と年代別の目安、家庭血圧の測り方のイメージ|しもやま内科(船橋市)

「血圧の正常値はどのくらい?」「家庭で測ると少し高いけれど大丈夫?」――そんなご相談を外来でよくいただきます。
このページでは、血圧の基本的な仕組みと正常値の目安、年代ごとの考え方、家庭血圧の正しい測り方、受診のタイミングについて、循環器専門医がわかりやすく解説します。


血圧とは?「上(収縮期)」と「下(拡張期)」の意味

血圧は「血管の中の圧力」です

血圧とは、心臓が拍動して血液を送り出したときに、血管の内側にかかる圧力のことです。
血圧は常に変動しており、運動・ストレス・睡眠・気温などの影響も受けます。

上の血圧(収縮期血圧)とは

心臓がギュッと縮んで血液を押し出した瞬間の血圧を、収縮期血圧(上)と呼びます。血管にかかる圧が最も高くなるタイミングの値です。

下の血圧(拡張期血圧)とは

心臓が次の拍動に向けてゆるんでいるときの血圧を、拡張期血圧(下)と呼びます。血管にかかる圧が比較的低いときの値です。

診察室血圧と家庭血圧の違い

医療機関で測る血圧(診察室血圧)は、緊張や環境の影響を受けやすく、家よりも高めに出る方が多く見られます。
一方、家庭で落ち着いた状態で測定した血圧(家庭血圧)は、日常生活に近い状態を反映しやすいため、近年は家庭血圧を重視した診療が一般的になっています。


血圧の正常値・基準範囲の目安

血圧の目標や治療開始の基準は、年齢や合併症、ガイドラインの改訂により変わることがありますが、ここでは一般的な「目安」としてお話します(最終的な判断は主治医との相談が必要です)。

診察室血圧の目安

  • 収縮期血圧(上):140mmHg未満
  • 拡張期血圧(下):90mmHg未満

診察室で測定した血圧が、これを超える状態が続くと、一般に「高血圧の疑いあり」と評価されます。

家庭血圧の目安

  • 収縮期血圧(上):135mmHg未満
  • 拡張期血圧(下):85mmHg未満

家庭血圧は診察室よりも低めに出ることが多いため、やや厳しめの基準で考えます。朝・晩の平均値がこの範囲に収まっているかどうかが1つの目安です。

年代別のざっくりしたイメージ(あくまで目安)

詳しい目標値は個別に決める必要がありますが、イメージとしては次のように考えると分かりやすいでしょう。

  • 40代まで:できるだけ120/80mmHg前後を目指したい年代(生活習慣で十分改善できることも多い)
  • 50〜60代:治療の有無にかかわらず、可能であれば130/80mmHg前後を意識しつつ、無理のない範囲で下げていく年代
  • 高齢の方:ふらつきや転倒リスクも考慮しながら、140/90mmHg未満を基本に、体調とバランスを見て調整することが多い

いずれもあくまで「目安」であり、糖尿病・腎臓病・心臓病などの合併や、服用中の薬によって適切な目標は変わります。


家庭血圧の正しい測り方

測るタイミング:朝と夜が基本

  • 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬を飲む前
  • 夜:寝る前の落ち着いた状態(飲酒直後や入浴直後は避ける)

測る前の準備・姿勢

  • 座って1〜2分間、背もたれにもたれた状態で安静にする
  • 足は組まず、床にしっかりつける
  • 腕は心臓の高さに保つ(テーブルの上に置くとよい)
  • カフ(腕帯)は上腕にフィットしたサイズのものを使用

1回だけでなく、複数日の平均で判断する

血圧はそのときの状況で大きく変わります。
1日だけの数値で判断せず、少なくとも1〜2週間の平均値を見ることが大切です。


どこから「高血圧の疑い」があると考えるべき?

家庭血圧での目安

一般には、次のような場合に「高血圧の可能性がある」と考えられます。

  • 家庭血圧の平均が135/85mmHg以上になっている
  • 最高血圧が140mmHg以上の日が続く
  • もともと高血圧で治療中なのに、最近また高めになってきた

早めに受診して相談したほうがよいケース

  • 頭痛・動悸・息切れ・胸の痛みなどの症状を伴う場合
  • 血圧の上が180mmHg以上になったり、下が110mmHg以上が続く場合
  • 糖尿病・腎臓病・心臓病などの持病がある方で血圧が高めになってきた場合

生活習慣で気をつけたいポイント

  • 塩分のとり過ぎ(加工食品・外食・スープ類など)
  • 運動不足・体重増加(内臓脂肪)
  • 過度の飲酒・喫煙
  • 睡眠不足・ストレス
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目標は2未満(まずは4未満を現実的な目安に)。


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しもやま内科で行える検査・治療

血圧が気になる場合や数値が高めで心配な場合、しもやま内科では次のような評価・治療が可能です。

  • 診察・問診・診察室血圧の測定
  • 心電図・心エコー検査
  • 頸動脈エコーによる動脈硬化の評価
  • 腎機能・コレステロール・血糖などの採血検査
  • 生活習慣の見直しサポート(減塩・運動・体重管理 など)
  • 降圧薬の開始・種類の調整・飲み方の見直し

血圧の数値が気になる方は、お一人で悩まずご相談ください。


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🧐 よくあるご質問(血圧の正常値について)

Q. 血圧の正常値はどのくらいですか?
A. 一般的には、診察室血圧で140/90mmHg未満、家庭血圧で135/85mmHg未満が1つの目安です。ただし、年齢や持病によって目標が変わるため、最終的には主治医と相談して決めます。
Q. 1回だけ高かったのですが、高血圧でしょうか?
A. 1回だけの値では判断が難しく、複数日の平均を見て評価します。何日か連続で高い値が続く場合は、早めに受診をおすすめします。
Q. 家庭血圧は何回くらい測ればよいですか?
A. 朝と夜にそれぞれ2回ずつ測り、1〜2週間程度の平均をとると傾向が分かりやすくなります。
Q. 若くても高血圧になることはありますか?
A. はい。遺伝的な体質や生活習慣の影響で、若い方でも高血圧になることがあります。ご家族に高血圧の方がいる場合や、血圧が高めに出ることが続く場合は、一度ご相談ください。
Q. 血圧が低めでも問題はありますか?
A. 数値だけ低くても症状がなければ問題ないケースも多いですが、立ちくらみやふらつきがある場合は、薬の量や自律神経などの評価が必要になることがあります。
Q. 薬はいつから飲み始めたほうがよいですか?
A. 生活習慣の改善だけでは十分に血圧が下がらない場合や、合併症がある場合には降圧薬を検討します。具体的な開始時期や薬の選択は、診察と検査結果を踏まえて医師が判断します。

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
高血圧・心疾患・糖尿病・甲状腺疾患などの診療に長年携わり、地域に根ざした総合内科・循環器内科診療を行っています。