ANCA関連血管炎はプロピオチオウラシル(プロパジール、チウラジール)に多い副作用です。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)
主にプロピオチオウラシルにより生じ、関節痛のみの場合や、腎臓や肺の血管に炎症を引き起こし、肺・腎臓の障害が起こる場合もあります。抗甲状腺薬で起こるAAVの85%程度がプロピオチオウラシルによるものです。
ANCA関連血管炎の症状
38~39℃台の間欠的な発熱、発疹、筋肉痛、関節痛です。
その他、多発性単神経炎・ANCA関連腎炎・肺腎症候群・間質性肺炎などが起こります。1つの臓器にとどまることもあれば、複数の臓器に広がることもあります。
プロピオチオウラシル内服中のバセドウ病患者さんの15~64%まではANCA陽性をもたらすことが報告されていますが、そのうちの4~6.5%は血管炎の臨床症状を生じることが知られています。一般に、発症の数年前よりANCA陽性になりますが、MPO-ANCAが陽性になっても、ほとんどの場合、無症状でMPO-ANCA関連血管炎を起こしません。
服薬後10年以上しても起こることがあります。
しかし、服薬後、数日~数か月でおこした症例も報告されています。ですから、薬の内服期間中は常に注意が必要です。
プロピルチオウラシルによる深刻な副作用は患者の1~5%で発生し、無顆粒球症、肝毒性および薬物誘発性過敏症の三大副作用が知られています。
ANCA関連血管炎の治療
ANCA関連血管炎の診断がついたら、プロピオチオウラシルは直ちに中止します。
プロピオチオウラシル誘発AAVのための標準的な治療法はまだありません。問題薬剤の中止のみで十分の場合もあります。抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)は中止です。アイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療・手術療法(甲状腺全摘出)を検討せねばなりません。
重症度に応じて免疫抑制剤とステロイドの組み合わせ、または血漿交換が行われます。