甲状腺と不妊治療|妊活・不妊治療で知っておきたい甲状腺の話|船橋市のしもやま内科

🔊 このページの要点

  • 妊活・不妊治療において甲状腺ホルモンは重要な役割を果たします。
  • TSH高値や甲状腺機能異常は、妊娠率の低下・流産率の上昇に関連します。
  • しもやま内科では、甲状腺ホルモンの検査・治療を通じて妊娠に向けたサポートを行っています。

「甲状腺の数値が少し高いけど、妊娠に影響ある?」
「不妊治療中にTSHを下げるよう指示されたけど、どういう意味?」

妊娠を望まれる女性にとって、甲状腺ホルモンはとても重要な役割を担います。
このページでは、甲状腺と妊孕性(妊娠しやすさ)の関係について、専門医の立場からわかりやすく解説します。

妊活中のTSH管理は大丈夫?|甲状腺専門医が詳しく解説|船橋市のしもやま内科

🔎 なぜ妊娠には甲状腺ホルモンが重要なのか?

甲状腺ホルモンは、月経周期の安定化排卵の維持子宮内膜の成熟などに深く関与しています。わずかな機能低下であっても、妊娠しにくくなる可能性があります。

  • TSHの上昇は排卵障害を引き起こすことがある
  • 甲状腺ホルモン不足は黄体機能不全や流産のリスクを高める
  • 潜在性甲状腺機能低下症でも着床率に影響が出る場合がある

📉 TSH値と妊孕性の関係

妊娠を希望する女性においては、TSH値は2.5未満が望ましいとされています1。これは、2.5を超えることで着床率や妊娠維持率が下がる傾向があるためです。

  • TSH < 2.5:妊娠率が高い
  • TSH 2.5〜4.0:注意が必要
  • TSH > 4.0:治療介入が推奨されるケースあり

⚠ 潜在性甲状腺機能低下症と不妊治療

TSHが高くてもFT4が正常であれば「潜在性甲状腺機能低下症」とされます。症状が乏しいこともありますが、不妊治療中の女性では治療対象となることがあります。

  • 不妊治療前に甲状腺機能を確認
  • 必要に応じてレボチロキシン(チラーヂンS®)の補充治療

👶 自己抗体陽性(TPO抗体・Tg抗体)の影響

甲状腺自己抗体(TPOAb・TgAb)が陽性の場合、たとえ甲状腺機能が正常であっても、流産率がやや高まるとの報告があります。自己抗体陽性の方は、妊娠中のホルモン変動にも注意が必要です。

  • 橋本病の初期段階で見られることがある
  • 妊娠後に機能低下へ移行するリスクがある

🧪 妊活・不妊治療前に推奨される検査

妊娠を希望されるすべての女性に、以下の甲状腺関連検査をおすすめします。

  • TSH:甲状腺刺激ホルモン(基準:0.5~2.5 μIU/mLが理想)
  • FT4:遊離型T4(正常でもTSH高値の補助評価)
  • TPO抗体・Tg抗体:自己免疫性甲状腺炎の有無を確認

👩‍⚕️ 治療が必要なケースとは?

以下のような場合は、内分泌または甲状腺専門医との連携が推奨されます。

  • TSHが2.5を超えている
  • FT4が下限未満
  • 抗TPO抗体が陽性で、TSHが高め

甲状腺ホルモン補充療法は、胎児への悪影響も少なく、安全に妊娠をサポートできる方法です。

📘 しもやま内科での対応

当院では、甲状腺ホルモン・TSH・自己抗体の採血検査と、甲状腺エコーを組み合わせて、妊娠希望の女性の甲状腺状態を詳細に評価しています。必要に応じて専門的な治療も提案しています。


【参考文献】
1. 日本内分泌学会 妊娠と甲状腺に関するガイドライン2024年版
2. Alexander EK et al. 2017 Guidelines of the American Thyroid Association for the Diagnosis and Management of Thyroid Disease During Pregnancy and the Postpartum. Thyroid. 2017;27(3):315–389.

よくある質問と答え

妊活中に甲状腺の検査は必要ですか?

はい、妊娠を希望される場合は、甲状腺機能の検査が重要です。TSH(甲状腺刺激ホルモン)をはじめとするホルモン値を確認することで、妊娠率や胎児への影響を予防できます。

TSHが高いと妊娠しにくいのですか?

はい、TSHが高いと排卵障害や着床障害につながり、妊娠率が低下する可能性があります。TSHは2.5未満を目標に管理することが一般的です。

妊娠中に甲状腺機能低下があると赤ちゃんに影響しますか?

はい、母体の甲状腺ホルモンは胎児の脳や神経の発達に重要な役割を果たします。適切な治療と管理で胎児へのリスクを最小限に抑えることが可能です。

橋本病がありますが、妊娠できますか?

橋本病(慢性甲状腺炎)があっても妊娠は可能です。ただし、妊娠前・妊娠中のTSHの管理と、甲状腺自己抗体のチェックが重要です。詳しくは橋本病と妊娠・出産のページをご覧ください。

妊娠中のTSHの目標値は?

妊娠初期(12週未満)ではTSH 2.5未満が望ましいとされており、妊娠経過に応じて目標値は変動します。定期的なモニタリングが必要です。

バセドウ病の治療中ですが妊娠希望です。どうしたら?

バセドウ病治療中に妊娠を希望される場合は、治療薬の調整や内服中止時期などを慎重に検討する必要があります。詳しくはバセドウ病と妊娠の管理をご確認ください。

📞 妊活や不妊治療で甲状腺が気になる方へ

TSHのコントロールや甲状腺ホルモンの異常が気になる方は、甲状腺専門医が在籍する しもやま内科へご相談ください。
妊娠を希望される方に寄り添った丁寧な診療を行っています。


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👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
妊娠と甲状腺の関係についても、豊富な診療経験をもとに丁寧な説明と診療を心がけています。

30/06/2025