口腔アレルギー症候群
口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome, OAS)は食物アレルギーの一種で、特に花粉症のある人に多く見られます。特定の果物や野菜を摂取した際に口腔内でのアレルギー反応を引き起こすことが特徴です。
OASの原因
OASは、食物中の特定のタンパク質が体内の花粉に含まれるアレルゲンと交差反応することによって起こります。
花粉症を起こす原因物質であるアレルゲンと。果物や野菜の特定のタンパク質の一部がよく似ている場合があります。あまりに似ているため花粉に対してつくられたIgE抗体が,まちがって果物や野菜の成分に対して反応してしまいます(交差反応)。すると、花粉だけでなく,似た成分をもつ果物や野菜にまでアレルギー反応が起こってしまいます。これがOASと考えられています。口腔アレルギーが起こると,果物や野菜を口にしたときに口がしびれたり、ムズムズしたり、かゆくなったりするわけです。
それぞれの花粉症に対するアレルギー反応を起こす可能性がある食べ物は以下の通りです。
◆ヒノキ科(スギ・ヒノキ)
トマト
◆イネ科(オオアワガエリ・カモガヤ)
メロン・スイカ・トマト・じゃがいも・玉ねぎ
◆カバノキ科(ハンノキ・シラカバ)
リンゴ・モモ・イチゴ、メロン、スイカ、キウイ、大豆、ヘーゼルナッツ
◆キク科(ブタクサ・ヨモギ)
スイカ・メロン・キウイ・トマト・人参・セロリ・ピーナッツ
花粉症のない方も要注意
薬剤アレルギー、気管支喘息がある人は発症の頻度が高いと言われています。ラテックスゴムにもかぶれる方が多いので、別名ラテックスフルーツ症候群とも呼ばれています。
ラテックスアレルギーはゴム手袋などのラテックスを含む製品に触れた際に痒みや発赤、水疱などが生じます。特にじんましんが最も多い症状です。そしてラテックスアレルギーの方にとっては特に交差リスクの高い食品として「アボカド・バナナ・栗・キウイフルーツ」が挙げられます。これらのフルーツを食べると交差反応が起こり、アレルギー症状が出るためラテックス・フルーツ症候群と呼ばれています。なおOASの症状は口腔内だけなのに対し、ラテックス・フルーツ症候群は全身の蕁麻疹やアナフィラキシーを起こすこともあるため特に注意が必要です。
対応
誘因となる食物の摂取を可能な限り避けることが基本です。特に、症状が頻繁に出る時期には、これに加えて、アレルギー反応が起きるのを抑える薬(抗アレルギー薬)をしばらく定期的に服用することが必要になります。症状が出現した時には、直ちに内服を行います。軽症であればこの対応で症状は1時間以内に治まります。しかしながら症状が進行する場合、当初から喉の狭窄感や喘息発作、ショックなどの激しい症状が出現した場合には、ステロイドの点滴投与などが必要になります。
予防
食物依存性運動誘発性アナフィラキシーもそうですが、アレルギー症状は患者さんに様々な誘因が重なった時に症状がより出やすい傾向があります。OASの患者さんも、風邪をひいていたり、消炎鎮痛薬を服用したり、寝不足、疲れ、ストレスなどがかかった状態や、女性の場合月経時には特に注意が必要です。このような状態の時には、これまで症状を引き起こした食物を摂らないように気をつけてください。