朝の血糖値が下がりにくい方へ。肝臓が空腹時にブドウ糖を作る糖新生の仕組みと、糖尿病でなぜこの機能が問題になるのかを、専門医がわかりやすく解説します。記事の最後には受診の目安もまとめています。
糖新生とは何ですか?(わかりやすく解説)
糖新生(とうしんせい)とは、糖以外の物質からブドウ糖を作る体の仕組みです。
主な材料は以下の3つです:
- 乳酸
- アミノ酸
- グリセロール
食事から糖が供給されない時間帯(空腹時・夜間)に血糖値を一定に保つために、私たちの体はこの仕組みを働かせています。

糖新生はどこで起こりますか?
糖新生は主に肝臓で行われます。
- 絶食の初期(18〜24時間):肝臓が中心(80〜90%)
- 長時間の絶食:腎臓の役割が増える(10〜20%)
このように、肝臓は空腹時血糖の維持に中心的な役割を担っています。研究デザインや個人差により数値に幅がある点はご留意ください。
糖尿病で糖新生が問題になる理由
2型糖尿病では、肝臓からの糖放出が十分に抑えられないことが、空腹時高血糖の重要な原因の一つになっています。
本来、インスリンには肝臓での糖産生を抑える働きがあります。しかし、糖尿病ではこのインスリンの働きが不十分になり、夜間や早朝にも糖新生が止まらず、朝の血糖値が高くなってしまうのです。

肝臓の状態と朝の血糖の関係
肝臓は空腹時血糖の維持に中心的役割を担っているため、肝機能・肝グリコーゲン量・ホルモン環境(グルカゴン、カテコールアミン等)によって、朝の血糖の出方が左右されます。肝機能に問題がある場合や、薬物調整の必要性が疑われる場合は、専門医への相談をお勧めします。

よくある質問(FAQ)
糖新生とは何ですか?
糖新生とは、乳酸やアミノ酸、グリセロールなどの糖以外の物質からブドウ糖を作る代謝経路です。主に空腹時や夜間など、食事から糖が供給されないときに働き、血糖値を一定に保つ役割を果たします。
糖新生はどこで起こりますか?
糖新生は主に肝臓で行われます。絶食の初期は肝臓の寄与が大きく、長時間の絶食では腎臓の寄与が増えると整理できます(研究により推定値に幅があります)。
糖尿病ではなぜ糖新生が問題になるのですか?
糖尿病ではインスリン作用が不足し、肝臓からの糖放出(肝糖産生)が十分に抑えられないことが、空腹時高血糖の原因の一つになります。
長時間の絶食では糖新生の割合はどう変わりますか?
絶食が進むと、内因性糖産生に占める糖新生の割合が増えます。健常者で一晩の絶食後は糖産生の約半分、42時間ではほぼ全部に近い割合になります。
受診の目安
以下のような場合は、一度ご相談ください:
- 健診や採血で「空腹時血糖が高い」「HbA1cが高い」と言われた
- 朝の血糖が高い・夜間〜早朝の血糖が気になる
- 肝機能異常があり、血糖との関係が気になる
047-467-5500
しもやま内科(船橋市)
この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。
参考文献
- StatPearls: Physiology, Gluconeogenesis (NCBI Bookshelf)
- Cano N. Bench-to-bedside review: Glucose production from the kidney. Crit Care. 2002
- Endotext: Pathogenesis of Type 2 Diabetes Mellitus
- Girard J. The inhibitory effects of insulin on hepatic glucose production are both direct and indirect. Diabetes. 2006
- Edgerton DS et al. Insulin can inhibit hepatic glucose production… 2017
- Lewis GF et al. Direct and indirect control of hepatic glucose production by insulin. Cell Metabolism. 2021
- Landau BR et al. Contributions of gluconeogenesis to glucose production in fasting. 1996