【医師監修|糖尿病教室①】1型糖尿病と2型糖尿病の違い|症状・原因・治療の違いをわかりやすく解説

🔊 このページの要点

  • 糖尿病は「血糖(ブドウ糖)が高い状態が続く病気」で、初期は症状がないことが多いです。
  • 原因は大きく1型(インスリンが出ない)と2型(効きにくい/出にくい)に分かれ、治療の考え方が異なります。
  • 適切な管理を続けることで、目・腎臓・神経・心血管などの合併症を予防できます。早めに方針を立てることが大切です。
しもやま内科 糖尿病教室 第1回「糖尿病とは? 1型・2型の違いと症状の基本」のアイキャッチ画像
糖尿病教室①:糖尿病とは?
1型・2型の違いと症状の基本を、やさしく整理します。

糖尿病とは?(1型・2型の違いをわかりやすく解説)

「健診で血糖値が高いと言われた」「HbA1cが高いと指摘された」──でも自覚症状がなく、糖尿病とは何か、今すぐ治療が必要なのか不安な方は少なくありません。
このページでは、糖尿病の基本(1型糖尿病とは、2型糖尿病とは、症状が出にくい理由、合併症予防)を、初めての方にも分かりやすく整理します。
糖尿病患者さんを対象とした糖尿病教室のWeb版です。よろしくお願いいたします。

糖尿病と言われた患者さんへ

糖尿病と言われて戸惑っていませんか?

  • 何も症状がないけれど、本当に治療が必要なのか?
  • 飲み薬、インスリンを始めたら一生やめられないのか?

心配しないでください。正しく理解し、正しく対処すれば、糖尿病は適切に管理できる病気です。
しもやま内科の糖尿病教室では、糖尿病はどんな病気か、どんなことが起きるのか、どうすれば上手に対処できるのか、わかりやすく解説します。

糖尿病とはどんな病気か

表:糖尿病とはどんな病気か
糖尿病の"全体像"を先に整理すると、治療への不安が減ります。

病気の本質 血糖(ブドウ糖)が高い状態が続く病気です。
なぜ血糖が上がる? インスリンが「出にくい」「効きにくい」、またはその両方が関係します。
初期に症状が少ない理由 高血糖はゆっくり進むことが多く、体が慣れてしまい自覚症状が出にくいためです。
よくある症状 口渇・多飲・多尿・倦怠感・体重減少など。 ただし症状がない方も多いのが特徴です。
放置すると起きうること 目(網膜)・腎臓・神経の合併症、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクが上がります。
治療の目的 血糖を「安全に」整え、合併症を予防し、生活の質を守ることです。

糖尿病はどんな状態?尿の病気?

糖尿病とは、インスリンの分泌や働きが低下することで、ブドウ糖を正常に代謝できなくなる疾患です。その結果、血液中のブドウ糖(血糖)が増え、高血糖の状態が続きます。
血糖が高いと尿中にブドウ糖が出て甘い尿が出るため、「糖尿病」と名付けられました。
症状は全身倦怠感、口渇、多飲、多尿ですが、当初は自覚症状がない人が多いです。適切な管理をしないと、網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞など様々な合併症を起こすおそれがあります。

ブドウ糖が正常に燃やせないのが糖尿病

ブドウ糖代謝が正常にできないと、エネルギーを必要とする細胞にブドウ糖がうまく運ばれません。そのため血糖値が高い状態が続きます。
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り入れる役割を果たしていますが、このインスリンの量が不足したり、働きが悪くなったりすると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれなくなり、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなってしまいます。
糖尿病が進行すると体の細胞にエネルギーであるブドウ糖が十分に補給されず、喉がかわいたり、多尿、頻尿、倦怠感、体重減少、できものができる、傷が治りにくいなどの症状が現れます。
また、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症にも注意が必要です。糖尿病はその結果、全身に合併症がもたらされます。
血液中のブドウ糖の濃度が高くなった状態を高血糖と呼びます。インスリンは膵臓で作られ、血糖を正常範囲に保つ役割をしますが、インスリンの作用不足により血糖が高くなってしまいます。糖尿病は初期の間はほとんど自覚症状がなく、知らない間に進行してしまいがちです。

1型糖尿病とは?

1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓の細胞(β細胞)が自己免疫などによって破壊されてしまう病気です。膵臓からのインスリン分泌が極端に落ちてしまうため、血糖値が高くなります。
生きていくために、注射でインスリンを補う治療が必須となります。この状態を インスリン依存状態 といいます。

1型糖尿病の病態(インスリン欠乏):自己免疫による膵β細胞障害→インスリン低下→高血糖・ケトン増加の流れを示す図
図:1型糖尿病の病態(インスリン欠乏)
自己免疫などで膵β細胞が障害 → インスリンが出にくい → 糖が細胞に入れない → 血糖↑/脂肪分解→ケトン↑(悪化でケトアシドーシスに注意)

1型糖尿病の特徴

  • 糖尿病全体の3〜5%を占める比較的稀なタイプ
  • 生活習慣病ではなく、自己免疫などで膵β細胞が破壊される病気
  • インスリン治療が基本(必要量を補う)
  • 急激な体重減少、強い口渇、多尿などの症状が出やすい
  • ケトン体がたまりやすく、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクがある

1型糖尿病の治療

1型糖尿病の治療の基本は、インスリンを必要なだけ補っていくことです。「食べてはいけない」「ガマン」というイメージは誤解です。適切な量のインスリンを補えば、普通に食事を楽しむことができます。

2型糖尿病とは?

2型糖尿病は、インスリンが「出にくい」「効きにくい」ことが組み合わさって起こる病気です。いわゆる「生活習慣病」の糖尿病のことで、日本の糖尿病患者さんの約95%以上を占めます。

2型糖尿病の病態:体質・生活習慣→インスリン抵抗性→高血糖→糖毒性→インスリン分泌低下の流れを示す図
図:2型糖尿病の病態(抵抗性+分泌低下)
体質(遺伝など)+生活習慣など → インスリンが効きにくい(抵抗性) → 高血糖 → 糖毒性 → インスリン分泌低下(出にくさも加わる)

2型糖尿病の特徴

  • 糖尿病全体の約95%を占める最も多いタイプ
  • 遺伝的体質に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満などの生活習慣が関与
  • 初期は食事療法と運動療法が基本
  • 必要に応じて内服薬やインスリン治療を組み合わせる
  • 早期治療により、インスリン分泌が落ちてしまわないようにすることが重要

2型糖尿病の治療

2型糖尿病は適切な食事指導と運動、糖尿病薬の内服・注射やインスリンで治療します。砂糖など甘いものの取り過ぎばかりが原因ともいえませんので、糖尿病にかかったのは、決して本人のせいだけではないのです。
インスリン分泌が保たれている早いうちに治療を開始して、内服薬やインスリン治療を必要としないで済む可能性を高めることが大切です。

1型糖尿病と2型糖尿病の違い(比較表)

項目 1型糖尿病 2型糖尿病
患者数の割合 約3〜5% 約95%
主な原因 自己免疫による膵β細胞破壊 遺伝+生活習慣(食べ過ぎ・運動不足・肥満)
インスリンの状態 ほとんど出ない(欠乏) 出にくい/効きにくい(抵抗性+分泌低下)
治療の基本 インスリン注射が必須 食事・運動+必要に応じて薬/インスリン
症状の出方 急激(体重減少・強い口渇・多尿) ゆっくり(初期は症状がないことも多い)
年齢 小児〜若年に多い 40歳以上に多い(若年発症も増加)
合併症の注意 ケトアシドーシス 網膜症・腎症・神経障害・動脈硬化

糖尿病の分類(その他のタイプ)

糖尿病は大きく4つのタイプに分類できます。主要な2つが1型・2型糖尿病ですが、その他の糖尿病、妊娠糖尿病もあります。

その他の糖尿病

糖尿病以外の病気や、治療薬の影響で血糖値が上昇するものがその他の糖尿病です。肝性糖尿病、膵性糖尿病、遺伝子異常によるものなどです。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病 とは、妊娠中に初めてわかった、まだ糖尿病には至っていない血糖の上昇をいいます。もともと糖尿病であることがわかっていて、その方が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」として分けています。
多くの場合、高い血糖値は出産の後に戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいと言われています。

次のページ: 糖尿病教室② 糖尿病治療は本当に必要?合併症予防と治療の目的

▶ 糖尿病教室 全6回まとめ

糖尿病の正しい知識・治療法・合併症予防を、医師監修でやさしく学べるシリーズです。


▶ 糖尿病教室 全6回をもう一度見る

よくある質問(FAQ)

糖尿病って「尿」の病気ですか?
糖尿病は本質的には「血糖(ブドウ糖)が高い状態が続く病気」です。血糖が高いと尿に糖が出やすくなり、そこから「糖尿病」と呼ばれるようになりました。
1型糖尿病と2型糖尿病は何が違いますか?
1型は、体内でインスリンがほとんど作れなくなるタイプで、インスリン治療が基本になります。2型は、インスリンが「出にくい」「効きにくい」ことが組み合わさって起こり、食事・運動・薬を組み合わせて治療します。
症状がないのに、なぜ治療が必要ですか?
糖尿病は初期に自覚症状が乏しくても、血糖が高い状態が続くと合併症が静かに進むことがあります。早い段階で「何をどこまで下げるか」を決めることで、将来のリスクを下げられます。
血糖値とHbA1cの違いは何ですか?
血糖値は「その瞬間の血糖」、HbA1cは「過去1〜2か月の平均的な血糖状態の目安」です。両方を見て、現状の把握と治療方針を立てます。
糖尿病の診断は、どんな基準で決まりますか?
日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖(例:126 mg/dL以上)や随時血糖(例:200 mg/dL以上)、OGTT 2時間値(例:200 mg/dL以上)などを用い、慢性的な高血糖が確認されるかで判断します。
合併症にはどんなものがありますか?
代表的には、網膜(目)・腎臓・神経の障害に加え、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクも上がります。合併症は早期からの予防が重要です。
「1型か2型か」はどうやって判定しますか?
体格や経過だけでは判別が難しいこともあります。必要に応じて、自己抗体(GAD抗体など)やCペプチド(インスリン分泌の指標)を参考にして判断します。
糖尿病の診断・治療方針のご相談なら|しもやま内科
当院では、1型糖尿病・2型糖尿病の正確な診断と、個別に最適な治療計画を立てています。採血・HbA1c検査は当日可能です。まずはお気軽にご相談ください。

← 糖尿病内科トップへ戻る

最終更新日:2026-06-04

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

03/04/2019