糖尿病内科

糖尿病教室② 糖尿病治療は本当に必要?合併症予防と治療の目的|しもやま内科

08/04/2019

🔊 このページの要点(糖尿病教室②)

  • 糖尿病治療の目的は「合併症を防ぎ、生活の質を守ること」です。
  • 糖尿病は症状がないまま進むことがあるため、健診で指摘された段階が“始めどき”です。
  • 日本では、糖尿病が強く疑われる者が約1,100万人と推計されています(国の調査)。

しもやま内科 糖尿病教室 第2回「治療は本当に必要? 合併症予防と治療の目的」のアイキャッチ画像
糖尿病教室②:治療は本当に必要?
合併症予防と治療の目的を、やさしく整理します。

糖尿病治療は何のためにする?

「症状がないのに糖尿病治療は必要?」「HbA1cが少し高いだけでも薬が必要?」「忙しくて通院が続かない…」
――そんな疑問を持つ方は少なくありません。
糖尿病の治療は、つらい症状を抑えるためだけではなく、放置によって起こりうる合併症(目・腎臓・神経・心血管)を防ぎ、生活の質を守るために行います。

表:糖尿病治療のゴール
「数値を下げる」ことが目的ではなく、将来の合併症を防いで生活を守ることが目的です。

最終目標 合併症を予防し、元気に生活できる期間(健康寿命)を守る。
当面の目標 血糖だけでなく、血圧・体重・脂質なども含めて“安全に”整える。
よくある誤解 「症状がない=放っておいてよい」ではありません。症状が出る頃には進んでいることがあります。

糖尿病治療の目的は「合併症を防ぎ、生活の質を守ること」

糖尿病は、初期には自覚症状が乏しいことが多い一方で、血糖が高い状態が長く続くと、目・腎臓・神経、そして心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントにつながるリスクが高まります。

だからこそ糖尿病治療は、「今つらい症状を抑える治療」というより、将来の合併症を予防して、日常生活を守るための治療です。

日常診療では、血糖値だけでなく、血圧・体重・血清脂質(コレステロール・中性脂肪)なども含めて、総合的に整えることが大切です。

でも、治療を受けていない方は少なくありません

表:日本の糖尿病に関する推計(国の調査)
数字は年で変動します。ここでは最新公表の概要に基づく要点だけを整理します。

糖尿病が強く疑われる者 1,100万人(推計)
糖尿病の可能性を否定できない者 700万人(推計)
ポイント 症状が出にくい一方で、気づいた時が対策の始めどきです。

働き盛りほど「受診・治療の継続」が難しいことがあります

健診で指摘されても忙しさから受診が遅れたり、途中で通院が途切れてしまうことがあります。糖尿病は「症状がないうちに手を打てる病気」なので、気になった段階で一度、状況整理だけでもしておくと安心です。

糖尿病を放置しないために(ここだけ覚えてください)

  • 健診でHbA1cや血糖が高いと言われたら、まずは現状把握(採血・生活状況・合併症チェック)。
  • 「薬=一生」と決めつけず、生活改善+必要なら薬を組み合わせて“安全に”進める。
  • 目・腎臓・神経のチェックは、症状が出る前に行うのが大切。

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糖尿病の正しい知識・治療法・合併症予防を、医師監修でやさしく学べるシリーズです。


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よくある質問(糖尿病教室②)

症状がないのに治療が必要なのはなぜですか?
糖尿病は症状がないまま進むことがあり、合併症は“気づいた時には進んでいる”ことがあります。症状がない段階の対策が、将来の合併症予防につながります。
HbA1cが少し高いだけでも受診したほうが良いですか?
一度、状況を整理する価値があります。HbA1cや血糖は“その人の背景(年齢・体重・家族歴・合併症リスク)”で意味合いが変わるため、採血や生活状況を踏まえて判断します。
薬を始めたら一生やめられませんか?
「必ず一生」というわけではありません。生活改善で薬を減らせる方もいます。一方で、体質や病状によっては長く付き合う必要がある場合もあります。目的は“安全に合併症を防ぐ”ことです。
インスリン治療は最後の手段ですか?
そうとは限りません。1型糖尿病では必須ですし、2型でも状態によっては早期に使う方が安全な場合があります。必要性は病状と目標で決めます。
治療の“目標値”はみんな同じですか?
目標は一律ではなく、年齢や低血糖リスク、合併症、生活背景によって調整します。大切なのは「安全性」と「続けやすさ」です。
放置すると何が起きますか?
目・腎臓・神経の合併症、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクが上がります。症状が出る前の対策が重要です。
健診で指摘されたら、最初に何をしますか?
採血(HbA1c・腎機能・脂質など)と生活状況の確認を行い、必要に応じて合併症チェック(眼・腎・神経)を組み合わせます。その上で、生活療法と薬の必要性を一緒に決めます。

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