劇症1型糖尿病

23/05/2016

劇症1型糖尿病とは

劇症1型糖尿病(Fulminant type 1 diabetes)は、発症から数日以内に膵β細胞がほぼ完全に破壊される極めて進行の速い1型糖尿病です。日本での報告が多く、発熱・腹痛・咽頭痛などの感冒様症状の後に、急激な高血糖とケトアシドーシスを来すことが特徴です。

初期症状としては、口渇・多飲・倦怠感・呼吸の異常などが見られ、早期に対応しなければ命に関わることもあります。

スクリーニング基準(疑うべき状況)

項目 内容
発症の速さ 糖尿病症状が1週間以内に急速に出現
血糖値 初診時 288mg/dL 以上
HbA1c 8.7%未満
インスリン分泌指標 尿中Cペプチド<10μg/day または
空腹時Cペプチド<0.3ng/mL+負荷後<0.5ng/mL

診断基準(以下すべてを満たす)

項目 内容
① ケトーシス/ケトアシドーシス 発症後1週間以内に出現
② 血糖・HbA1c 血糖288mg/dL以上かつHbA1c<8.7%
③ Cペプチド 尿中Cペプチド<10μg/day
または空腹時<0.3ng/mL+負荷後<0.5ng/mL

疫学(日本における状況)

項目 内容
頻度 年間報告数は数百例
全1型糖尿病の割合 約20%が劇症型
好発年齢 30〜50歳代を中心に、20代・60代にも見られる
性差 やや女性に多い傾向

治療と今後の管理

劇症1型糖尿病では、早期のインスリン治療が生命を左右します。インスリン分泌が完全に失われるため、生涯にわたるインスリン補充が必要です。持続皮下インスリン注入(CSII)や持続血糖測定(CGM)の導入が推奨される場合もあります。

患者さんへ

風邪のような症状の後に急な多飲・多尿・倦怠感があれば、すぐに医療機関を受診してください。早期発見と治療が命を救います。

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