劇症1型糖尿病とは
劇症1型糖尿病(Fulminant type 1 diabetes)は、発症から数日以内に膵β細胞がほぼ完全に破壊される極めて進行の速い1型糖尿病です。日本での報告が多く、発熱・腹痛・咽頭痛などの感冒様症状の後に、急激な高血糖とケトアシドーシスを来すことが特徴です。
初期症状としては、口渇・多飲・倦怠感・呼吸の異常などが見られ、早期に対応しなければ命に関わることもあります。
スクリーニング基準(疑うべき状況)
項目 | 内容 |
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発症の速さ | 糖尿病症状が1週間以内に急速に出現 |
血糖値 | 初診時 288mg/dL 以上 |
HbA1c | 8.7%未満 |
インスリン分泌指標 | 尿中Cペプチド<10μg/day または 空腹時Cペプチド<0.3ng/mL+負荷後<0.5ng/mL |
診断基準(以下すべてを満たす)
項目 | 内容 |
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① ケトーシス/ケトアシドーシス | 発症後1週間以内に出現 |
② 血糖・HbA1c | 血糖288mg/dL以上かつHbA1c<8.7% |
③ Cペプチド | 尿中Cペプチド<10μg/day または空腹時<0.3ng/mL+負荷後<0.5ng/mL |
疫学(日本における状況)
項目 | 内容 |
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頻度 | 年間報告数は数百例 |
全1型糖尿病の割合 | 約20%が劇症型 |
好発年齢 | 30〜50歳代を中心に、20代・60代にも見られる |
性差 | やや女性に多い傾向 |
治療と今後の管理
劇症1型糖尿病では、早期のインスリン治療が生命を左右します。インスリン分泌が完全に失われるため、生涯にわたるインスリン補充が必要です。持続皮下インスリン注入(CSII)や持続血糖測定(CGM)の導入が推奨される場合もあります。
患者さんへ
風邪のような症状の後に急な多飲・多尿・倦怠感があれば、すぐに医療機関を受診してください。早期発見と治療が命を救います。
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