先生、朝起きて血糖を測るといつも200を超えてるんですが、夜中に低血糖になってるんですかね?——先日、60代の男性患者さんが、朝食前の血糖値シートを見せながら相談されました。夜中の3時に測ると80台なのに、朝7時には220になるそうです。実は、これは「暁現象」と「ソモジー効果」という全く異なるメカニズムで起こる朝の高血糖で、見分け方と対策が異なるんです。
🔍 この記事のポイント(まずここだけでOK)
- 朝だけ血糖が高い原因は、「暁現象」か「ソモジー効果」の2つが代表的です。
- 暁現象では夜間低血糖はなく、早朝にホルモンの影響で血糖が上昇します。
- ソモジー効果では夜間低血糖が先に起こり、その反動で朝に高血糖になります。
- 見分けのポイントは、深夜2〜3時頃の血糖を確認することです。
- CGM(リブレなど)を使うと、夜間低血糖の有無を可視化できます。
- 自己判断で治療を変更せず、必ず主治医に相談することが重要です。
朝だけ血糖が高い──そんなとき、原因は「暁現象」か「ソモジー効果」の2つが考えられます。
対応を間違えると、かえって血糖が不安定になることもあります。
このページでは、夜間低血糖の有無・リブレの見方・治療の違いを、糖尿病専門医の視点で整理して解説します。

暁現象とソモジー効果の違いを比較表で整理
| 項目 | 暁現象(Dawn Phenomenon) | ソモジー効果(Somogyi Effect) |
|---|---|---|
| 夜間の血糖 | 正常〜やや高め(低血糖なし) | 低血糖が起きている(reboundによる反動高血糖) |
| 主な原因 | 成長ホルモン・コルチゾールなどの拮抗ホルモン増加 | 夜間低血糖に対する反動性高血糖(カウンターレギュラトリーホルモン) |
| 見分け方のポイント | CGMで夜間〜早朝にかけて緩やかに上昇 | CGMで深夜〜早朝に低血糖を確認後、反動で上昇 |
| 主な対策の方向性 | 基礎インスリン量の調整・タイミング変更、SGLT2阻害薬などの追加 | 夜間低血糖を防ぐ(就寝前インスリン減量、就寝前間食の見直し) |
※表はあくまで一般的な特徴です。実際の診断・治療はCGMデータやSMBG記録をもとに専門医が判断します。
暁現象とは?

暁現象(Dawn phenomenon)は、早朝4〜6時頃に成長ホルモンやコルチゾールなどの影響でインスリンの効きが悪くなり、血糖値が自然に上昇する現象です。夜間に低血糖が目立たず、起床時に血糖が高くなります。
ソモジー効果とは?

ソモジー効果(Somogyi effect)は、主にインスリン治療中に、夜間の低血糖をきっかけにアドレナリンやグルカゴンなどが分泌され、その反動で起床時に高血糖になる状態です。背景に「夜のインスリンが多すぎる」ことがあるため、高血糖だからといって安易に増量しないことが重要です。
起こりやすいきっかけ:
- 夕食量が少ない/炭水化物が不足していた
- 就寝前の運動量が多かった
- アルコール摂取
夜間の低血糖が自覚できない場合、次のようなサインが出ることがあります:
- 悪夢を見る
- 寝汗をかく
- 朝起きた時に頭痛やだるさを感じる
朝の血糖が高い場合にソモジー効果を疑うには、深夜(2〜3時頃)の血糖を確認するのが有効です。深夜の血糖が低ければ(一般に70mg/dL未満など)、ソモジー効果の可能性が高くなります。
出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」p.97–98、糖尿病治療ガイド2022–2023 p.79–80、UpToDate(2024)
違いを見極めるには?
最大の違いは、先行する低血糖の有無です。暁現象では深夜(2〜3時頃)に低血糖は見られにくく、ソモジー効果では深夜低血糖が先に起こり、その反動で朝に高血糖になりやすい、という「原因が正反対」の関係があります。
CGM(持続血糖モニタリング)で可視化
FreestyleリブレやDexcom G7などのCGMを使えば、夜間の血糖変化を連続的に把握できます。「深夜に低血糖が起きていないか」を確認するのに非常に有効です。
よくある質問(FAQ)
朝だけ血糖が高いのはなぜですか?
暁現象とは何ですか?
ソモジー効果とは何ですか?
暁現象とソモジー効果はどうやって見分けますか?
リブレなどのCGMは役に立ちますか?
朝の血糖が高いとき、自己判断でインスリンを増やしてもいいですか?
CGMがない場合、暁現象とソモジー効果をどうやって見分けますか?
1型糖尿病と2型糖尿病で、暁現象・ソモジー効果の対策は違いますか?
就寝前の血糖値は、何mg/dLを目安にすべきですか?
👨⚕️ この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。
最終更新日:2026-06-07
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。