🔊 このページの要点(糖尿病教室④)
- 糖尿病の合併症は、自覚症状がないまま静かに進行します。
- HbA1cが8%前後でも合併症は進行することがあります。
- HbA1c 7%未満は、合併症予防の重要な目標です。
- 細小血管障害(神経・網膜・腎)と、大血管障害(心臓・脳・足)があります。
- 症状がなくても、治療を継続することが将来を守る鍵です。

自覚症状がなくても着実に進む糖尿病合併症
「症状がないから大丈夫」と思ってしまいがちですが、糖尿病で本当に怖いのは合併症が自覚症状なく進行することです。
HbA1cが8%前後でも合併症が進むことがあり、放置すると目・腎臓・神経だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞、足の壊疽など命や生活に直結する問題につながります。
このページでは、糖尿病合併症の全体像と、なぜ治療継続が重要なのかを整理します。
📝 糖尿病の自覚症状(代表例)
- のどが渇く/水分摂取が増える
- 尿の回数が増える
- 体重が急に減る
- だるさ・疲れやすい
※軽い糖尿病では症状が出ないことも多く、「症状がない=大丈夫」ではありません。
糖尿病の自覚症状は、かなりひどくならないと生じない
糖尿病の自覚症状といえば、喉が渇く、大量の水分を摂る、尿量が多い、急激にやせる、疲れやすい といったところが有名です。ところが、これらは糖尿病がひどくならないと生じません。軽い糖尿病の方は自覚症状のないケースが大半です。HbA1c 10%以上になれば自覚症状が出てくる方が増える印象がありますが、HbA1c 8%程度と決して良くない血糖コントロールであっても症状のない方はたくさんいらっしゃいます。
では、放っておいてよいのでしょうか?
答えはもちろん、NO!!です。
🎯 合併症予防の大事な目標
原則として、HbA1c 7%未満は合併症リスクを抑えるうえで重要な目標です。
ただし高齢者では低血糖のリスクも考慮し、年齢・体力・併存疾患に合わせて目標を調整します。
糖尿病の合併症を抑えるにはHbA1c 7%未満にしておく必要がある。
日本の研究、欧米の研究、色々ありますが、まとめると、HbA1c7%以下にしておけば合併症リスクは低く抑えられます。それより高い状態で放置すると合併症がじわじわと進んでしまいます。
HbA1c7%未満、は合併症予防のためにとても大事な目標です。
※近年の知見では、高齢者においてHbA1cを下げすぎると低血糖が増えてかえってリスクが増すことがわかっています。高齢者の血糖コントロール目標については、HbA1cから「質の良いHbA1c」の時代へ をご参照下さい。
糖尿病の3大合併症
糖尿病の3大合併症ですが、糖尿病では目に見えないような小さな血管がやられてしまいます(細小血管障害といいます)。そのような血管は全身にありますので全身がやられてしまいますが、特にそういった血管が多い、網膜、腎臓、神経がやられてしまいます。
し(神経障害)・め(網膜症)・じ(腎症)と覚えてください。
神経障害になると足の痛み、痺れ、感覚が鈍くなったり、便秘、下痢、立ちくらみがしやすくなります。
網膜症になると、視力が低下し、しまいには失明してしまいます。
腎症が生じると蛋白尿がでて腎不全となりむくんだり尿が作られなくなります。最終的には腎不全になり、人工透析が必要になります。
全身の太い血管もやられます。
え(壊疽)・の(脳梗塞)・き(虚血性心疾患)も覚えてください。
太い動脈の代表である手足の血管が詰まります。糖尿病性壊疽になり、下肢の切断に至ります。
脳の血管も詰まりやすくなります。糖尿病から脳梗塞を起こす方が非常に多いです。
心臓の動脈(冠状動脈)が詰まりやすくなります。詰まりかけは狭心症、完全に詰まってしまうと心筋梗塞です。生命にかかわります。
このように、糖尿病は自覚症状がなくてもじわじわと様々な合併症が進み、ある日突然倒れる病気です。
自覚症状がないからと放置せず、しっかり治療を受けてください。
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