橋本病とバセドウ病の違いを専門医が解説|症状・検査・治療を比較船橋市

橋本病とバセドウ病は、どちらも甲状腺に関わる病気ですが、その仕組みは正反対です。橋本病は甲状腺ホルモンが低下する「機能低下」の状態、バセドウ病はホルモンが過剰に分泌される「機能亢進」の状態です。このページでは、それぞれの症状や検査、治療法の違いを専門医がわかりやすく比較解説します。

橋本病とバセドウ病の比較早見表

項目 橋本病 バセドウ病
甲状腺機能 低下(低下症) 亢進(亢進症)
主な症状 倦怠感、寒がり、体重増加、むくみ、便秘 動悸、暑がり、体重減少、手指の震え、発汗
血液検査(TSH) 高値 低値
血液検査(FT3/FT4) 低値 高値
主な自己抗体 抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体 TRAb、TSAb
甲状腺エコー びまん性低エコー、偽結節 びまん性腫大、血流増加
治療法 甲状腺ホルモン補充療法(チラーヂンS) 抗甲状腺薬(メルカゾールなど)、アイソトープ治療、手術

なぜ橋本病とバセドウ病は間違えられやすいのか

両疾患は、ともに自己免疫の異常によって発症する甲状腺疾患であり、甲状腺が腫れる(甲状腺腫)という共通の特徴があります。また、女性に多く発症すること、疲労感や体重の変動など一部の症状が重なることから、混同されやすい病気です。しかし、病態は正反対であり、血液検査と甲状腺エコーを組み合わせることで明確に鑑別できます。

橋本病(慢性甲状腺炎)について

橋本病の症状

橋本病は、日本で最も頻度の高い甲状腺疾患です。免疫の異常により甲状腺が攻撃され、徐々にホルモンが作られなくなります。代表的な症状としては、全身倦怠感、寒がり、体重増加、顔や手足のむくみ、皮膚の乾燥、声がれ、物忘れ、便秘などが挙げられます。これらの症状はゆっくり進行するため、気づかないうちに進行していることも少なくありません。

橋本病の診断

血液検査でTSH高値・FT4低値を確認します。抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体が陽性となることが診断の決め手です。甲状腺エコーでは、甲状腺実質がびまん性に低エコーとなり、内部に偽結節と呼ばれる変化が見られることが特徴です。

橋本病の治療

不足した甲状腺ホルモンを補充するため、レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)の内服治療を行います。この薬を服用することで甲状腺機能を正常に維持し、症状の改善を図ります。多くの方が生涯にわたって服用を継続することになりますが、状態が安定すれば通院頻度を減らすことも可能です。治療により健康な状態を維持・コントロールすることが目標です。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)について

バセドウ病の症状

バセドウ病は、甲状腺を刺激する自己抗体(TRAb、TSAb)が産生されることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。20〜40代の女性に好発します。主な症状は、動悸・息切れ、暑がりで汗をよくかく、手指の震え、体重減少、食欲亢進、頻脈、イライラ・不安感、不眠、便通の増加、月経異常などです。眼球突出(バセドウ眼症)を伴うこともあります。

バセドウ病の診断

血液検査でTSH低値・FT3/FT4高値を示します。TRAbまたはTSAbが陽性であることが診断に重要です。甲状腺エコーでは甲状腺のびまん性腫大と内部血流の著明な増加(甲状腺 inferno)が特徴的です。

バセドウ病の治療

第一選択は抗甲状腺薬(チアマゾール、メルカゾール、プロパジールなど)の内服治療です。薬でホルモンの過剰分泌を抑えながら、約1〜2年の治療で寛解(症状が落ち着いた状態)を目指します。薬でコントロールが難しい場合や大きな甲状腺腫がある場合、再発を繰り返す場合には、アイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)や手術が検討されることがあります。

橋本病とバセドウ病が併存するケース

正反対の疾患でありながら、両方を併せ持つ方が一定数いらっしゃいます。これを「橋本病バセドウ病合併例」と呼びます。また、橋本病として経過観察中にバセドウ病を発症する方もいます。このようなケースでは、その時々の甲状腺機能に応じて治療法を柔軟に調整する必要があり、専門的な知識と経験に基づく診療が求められます。

三冠専門医・甲状腺専門医による診療

当院の院長(下山立志)は、日本内科学会認定の総合内科専門医、日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医、日本循環器学会認定の循環器専門医の三冠専門医であり、さらに日本甲状腺学会が認定する甲状腺専門医でもあります。甲状腺疾患は動悸や体重変化、倦怠感など循環器や代謝の症状を伴うことが多く、三冠専門医としての幅広い内科的知見が診断精度の向上に役立っています。年間を通じて多くの甲状腺患者様の診療を行っており、正確な診断と適切な治療方針の提案を心がけています。

甲状腺疾患に関する詳しい情報は、甲状腺専門医ページをご覧ください。

こんな症状があればご相談ください

  • 原因不明の倦怠感や疲れやすさが続く
  • 動悸や息切れ、胸のざわつきがある
  • 体重が急に増えた、または減った
  • 寒がりになった、または暑がりになった
  • 首のあたりがはれぼったい、またはしこりを感じる
  • 手が震える、イライラしやすい
  • 家族に甲状腺疾患の方がいる

急な動悸や息切れ、意識が遠のくような症状がある場合は、夜間・休日を問わず、すぐに119番へのご連絡をおすすめします。

よくあるご質問(FAQ)

橋本病とバセドウ病の違いは何ですか?

橋本病は甲状腺ホルモンが不足する「機能低下症」、バセドウ病は過剰になる「機能亢進症」です。症状や治療法が正反対であるため、適切な診断が重要です。

自分がどちらかわかるセルフチェック方法はありますか?

セルフチェックだけでは確定できません。動悸・暑がり・体重減少=バセドウ病、倦怠感・寒がり・体重増加=橋本病の可能性がありますが、血液検査とエコー検査による専門的な診断が必要です。

橋本病とバセドウ病を同時に発症することはありますか?

はい、あります。「橋本病バセドウ病合併例」と呼ばれ、両方の特徴を併せ持つことがあります。また、橋本病の治療中にバセドウ病を発症する方もいます。

この病気は遺伝しますか?

病気自体が直接遺伝するわけではありませんが、自己免疫疾患を発症しやすい体質(遺伝的素因)は家族に受け継がれる可能性があります。家族に甲状腺疾患の方がいる場合は、注意が必要です。

治りますか?

橋本病は基本的に生涯にわたる補充療法が必要となることが多く、治癒という表現よりも「適切な治療で健康な状態を維持・コントロールする」ことが目標となります。バセドウ病は薬物治療により約1〜2年で寛解(症状が落ち着いた状態)を目指せますが、再発の可能性もあるため定期的なフォローアップが重要です。

薬はいつまで飲み続ける必要がありますか?

橋本病の場合は多くの方が生涯にわたって甲状腺ホルモン薬を継続します。バセドウ病の場合は、抗甲状腺薬を約1〜2年服用し、状態が安定すれば休薬(寛解)を目指せます。ただし、寛解後も定期的な通院で甲状腺機能をチェックすることが推奨されます。

妊娠や出産に影響しますか?

甲状腺機能がコントロールされていないと、妊娠率の低下や流産・早産のリスクが高まる可能性があります。妊娠を希望される方や妊娠中の方は、甲状腺機能を適切な範囲に保つための治療が特に重要です。当院では、妊娠前から妊娠中・産後まで継続したフォローを行っています。

食事で気をつけることはありますか?

特に厳格な食事制限は必要ありませんが、ヨード(昆布、わかめ、ひじきなどの海藻類)の過剰摂取は橋本病では甲状腺機能低下を悪化させる可能性があります。バセドウ病ではカフェインの摂取を控えめにすることが症状の緩和に役立つことがあります。

バセドウ病の手術は必ず必要ですか?

いいえ、手術が第一選択になることは少なく、ほとんどの場合は抗甲状腺薬による治療で改善を目指します。薬が効きにくい方や副作用がある方、あるいは大きな甲状腺腫がある場合などに手術が検討されることがあります。

橋本病は放置しても大丈夫ですか?

放置すると、甲状腺機能低下が進行し、倦怠感や体重増加、高コレステロール血症、うつ症状などが悪化する恐れがあります。また、妊娠を考えている方では、胎児の発育に影響を与える可能性もあるため、適切な治療を受けることが大切です。

甲状腺エコー(超音波検査)で何がわかりますか?

甲状腺の大きさ・形、内部のエコーレベル(橋本病では低エコー、バセドウ病では血流増加)や結節の有無を評価できます。痛みがなく、被曝もないため、診断や経過観察に非常に有用な検査です。

当院ではどのような検査が受けられますか?

血液検査(TSH、FT3、FT4、抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体、TRAb、TSAbなど)と甲状腺エコー(超音波検査)を行っています。これらの結果を総合的に判断し、橋本病・バセドウ病をはじめとする甲状腺疾患の診断・治療を行っています。

アクセス・診療案内

しもやま内科
〒274-0816 千葉県船橋市芝山4-33-5
TEL: 047-467-5500

診療時間の詳細や当院へのアクセス方法については、アクセスページをご確認ください。

受診をご検討の方、お気軽にご相談ください

月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00

047-467-5500

診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡を

最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

08/04/2026