📘 要点
- 好酸球性副鼻腔炎は、鼻の粘膜に好酸球が集まる慢性の炎症です
- 喘息患者の10〜20%に合併すると報告されています
- 血液検査では、好酸球数が500/μLを超えるかが参考になります
- 鼻洗浄は1日1〜2回、安定後は週2〜3回の継続が推奨されます
- ポリープの手術は当院では行わず、耳鼻咽喉科へご紹介します
- においが分からない状態が3か月以上続くときは、早めにご相談ください
「一年中鼻づまりが続く」「粘り気の強い鼻水や後鼻漏」「においがほとんど分からない」──このような症状が長く続く場合、通常の副鼻腔炎とは異なる好酸球性副鼻腔炎の可能性があります。このページでは、症状の特徴・通常の副鼻腔炎との違い・治療の方向性と受診の目安を、内科の立場からわかりやすく解説します。
好酸球性副鼻腔炎は、近年注目されているアレルギー性・難治性の副鼻腔炎です。通常の副鼻腔炎と比べて再発しやすく、強い鼻づまりやにおいの低下が長く続くのが特徴です。
耳鼻咽喉科での専門的な治療が中心となりますが、喘息やアレルギー、好酸球増多など全身の病態が背景にあることも多く、内科での評価・併存症管理も重要です。
このページでは、好酸球性副鼻腔炎の基礎知識と、しもやま内科で行うサポートについてまとめました。
ご相談は 047-467-5500 へ。

🏥 船橋市で「長引く鼻づまり」にお困りの方へ
「風邪が治っても鼻づまりだけ残っている」「市販薬を続けても良くならない」「においが分かりにくい状態が何か月も続いている」──このようなとき、単なる風邪や花粉症だけでなく、好酸球性副鼻腔炎などの慢性疾患が隠れていることがあります。
しもやま内科では、血液検査(好酸球・アレルギー・喘息の評価など)や合併症チェックを行い、必要に応じて耳鼻咽喉科での精密検査・手術治療が受けられるよう、地域の医療機関と連携して診療を進めています。
🦠 好酸球性副鼻腔炎とは?
病態のメカニズム
好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)の粘膜に好酸球という炎症細胞が多く集まり、慢性的な炎症を起こす病気です。好酸球はアレルギー反応に関わる白血球の一種で、これが粘膜に浸潤することで組織障害やポリープ形成を促進します。
特徴
- 原因:アレルギー体質、気管支喘息、アスピリン(商品名:バイアスピリン)喘息(サラム症候群)などと関連が深いとされています。遺伝的要因や環境要因の複合が関与します。
- 病態:好酸球が粘膜に集まり、ポリープ(鼻茸)ができやすく、粘り気の強い鼻汁や後鼻漏が続きます。ポリープが嗅覚神経を圧迫することで、においの低下を来します。
- 経過:薬だけでは治りきらず、よくなったり悪くなったりを繰り返す「難治性」の経過をたどることが多いです。
🤧 主な症状
好酸球性副鼻腔炎では、次のような症状が長く続きやすくなります。
- 一年を通じて続く強い鼻づまり(左右どちらか、あるいは両側)
- 粘り気のある鼻水、透明〜黄白色のどろっとした鼻汁
- 鼻の奥から喉に垂れてくる後鼻漏(のど違和感・咳込み・痰の原因になることも)
- においが分かりにくい・全く分からない(嗅覚低下・嗅覚消失)※特徴的な症状
- 頬・目の下・額などの圧迫感や痛み
- ポリープ(鼻茸)を指摘されたことがある
- 喘息やアスピリン喘息、アレルギー性鼻炎を合併している
- 味覚の変化(嗅覚と味覚は連動するため)
好酸球性副鼻腔炎では、ポリープが嗅覚神経のある上部鼻腔を塞ぐことで、においが分かりにくくなります。手術でポリープを除去しても、炎症が持続すると嗅覚は戻りにくいため、術後の薬物療法と鼻洗浄が重要です。
「花粉症シーズン以外でもずっと鼻が詰まっている」「においだけが戻らない」といった場合は、好酸球性副鼻腔炎が隠れている可能性があります。
🔍 通常の副鼻腔炎との違い
通常の(細菌性)副鼻腔炎との違いを、ポイントで整理します。
| 項目 | 通常の副鼻腔炎 | 好酸球性副鼻腔炎 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 細菌感染 | アレルギー・免疫応答 |
| 症状の持続 | 数週間〜数か月で改善 | 慢性・長期間継続 |
| 嗅覚低下 | 軽度〜中等度 | 高度・消失することも |
| 再発性 | 比較的少ない | 再発を繰り返しやすい |
| 合併症 | 限局的 | 喘息・アスピリン喘息など |
| 治療方針 | 抗菌薬・対症療法 | ステロイド・生物学的製剤・手術 |
このような特徴から、好酸球性副鼻腔炎は「鼻だけの病気」ではなく、全身のアレルギー・炎症と関わる病態として考えられています。
🩺 診断の流れ(内科での評価と耳鼻咽喉科との連携)
- 症状の聞き取り
鼻づまりの期間、季節性の有無、鼻水の性状、嗅覚の状態、顔面痛の有無、喘息・アレルギー歴、アスピリンなどの薬剤使用歴、家族歴などを詳しく伺います。 - 身体診察
鼻や咽頭の観察に加え、胸部聴診や呼吸状態、皮膚のアレルギー所見(アトピー性皮膚炎など)、耳の所見など全身の状態も確認します。 - 血液検査
- 好酸球数:末梢血好酸球の増加(>500/µL)が参考になります
- 総IgE・特異的IgE:アレルギー体質の評価
- 炎症マーカー:CRP、好酸球陽性タンパク(ECP)など
- 呼吸機能:喘息合併の評価にスパイロメトリーを検討
- 耳鼻咽喉科での精密検査
必要に応じて、耳鼻咽喉科での鼻内視鏡検査(ポリープの直接観察)や副鼻腔CT(炎症範囲・骨変化の評価)などを依頼し、確定診断と治療方針の決定を行います。
しもやま内科では、内科的な評価(喘息・アレルギー・好酸球増多・併存疾患など)を行ったうえで、専門的な治療が必要と判断した場合は、地域の耳鼻咽喉科と連携し、スムーズな紹介・情報共有を行います。治療後も内科での全身管理を継続し、再発予防をサポートします。
💊 治療の基本方針
1)薬物療法
- ステロイド薬:内服・点鼻などで好酸球炎症を抑えます。長期使用の場合は副作用(骨粗鬆症、血糖上昇など)に注意し、最小有効量での維持を目指します。
- 抗アレルギー薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬:アレルギー性炎症を和らげ、鼻症状・喘息症状の両方に効果があります。
- 生物学的製剤(抗体薬):重症例では、抗IgE抗体(オマリズマブ)、抗IL-5抗体(メポリズマブ)、抗IL-4/13抗体(デュピルマブ)などが耳鼻咽喉科や呼吸器内科で検討されることがあります。
- マクロライド系抗菌薬:少量長期療法として、抗炎症作用を期待して使用されることがあります。
2)鼻洗浄・局所治療
- 生理食塩水などによる鼻洗浄(鼻うがい)で、粘り気の強い鼻汁やアレルゲンを洗い流します。1日1-2回の習慣化が推奨されます。
- ステロイド点鼻薬を正しい方法で使用し、局所の炎症を抑えます。全身性副作用のリスクは低いと考えられています。
3)手術療法
ポリープが大きい場合や薬物療法で十分な効果が得られない場合には、耳鼻咽喉科で内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が検討されます。
4)合併症(喘息など)のコントロール
喘息やアスピリン喘息、アレルギー性鼻炎などの合併が多いため、呼吸器内科・アレルギー専門医との連携も重要です。内科での全身管理と耳鼻咽喉科での局所治療を組み合わせていくことが治療の基本となります。
🧼 日常生活でできる工夫
- 薬の継続:医師の指示に従ったステロイド点鼻薬・内服薬の継続。自己判断での中断は再発のリスクになります。
- 鼻洗浄の習慣化:生理食塩水での鼻うがいを毎日続け、粘稠な鼻汁やアレルゲンを洗い流す。
- 刺激物の回避:煙草の煙・粉じん・強い香り・冷気など、鼻腔を刺激する要因をできるだけ避ける。
- 喘息管理:喘息のある方は、吸入薬などの治療を自己判断で中断しない。喘息コントロールが鼻症状の改善にもつながります。
- 生活リズム:睡眠不足・疲労をためすぎない、適度な運動を心がける。ストレス管理も炎症抑制に寄与します。
- 加湿:乾燥は鼻腔粘膜を傷めるため、室内の加湿(40-60%)を心がける。
好酸球性副鼻腔炎は「治す」よりも「コントロールする」病気です。症状が落ち着いても治療を継続し、定期的な通院で状態を確認することが、生活の質(QOL)維持につながります。一人で悩まず、医療機関と相談しながら管理していきましょう。
⚠️ 注意が必要な症状
好酸球性副鼻腔炎の経過中に、以下のような症状が現れた場合は、通常の経過とは異なる可能性があります。症状が気になる場合は、119番(救急車)へのご連絡をご検討ください。
- 突然の強い顔面痛や頭痛が出現した
- 目の周りが腫れたり、見え方に変化があった
- 高熱(38.5℃以上)が続いている
- 息苦しさや呼吸が苦しい感じがある
- 意識がぼんやりする、反応が遅い
これらの症状がある場合、放置せずに早めに医療機関へご相談ください。
📅 受診の目安
以下の項目に当てはまる方は、好酸球性副鼻腔炎の可能性を考慮し、受診をご検討ください。
- 3か月以上、強い鼻づまりや後鼻漏が続いている
- においが分かりにくい・ほとんど分からない状態が続いている
- 市販薬や一般的な治療を続けても改善が乏しい
- 喘息やアスピリン喘息、アレルギー性鼻炎を指摘されている
- 鼻づまりに加えて、咳や息切れ、ぜーぜー音など呼吸器症状も気になる
- ポリープ(鼻茸)を指摘されたことがある
- 家族にアレルギー疾患や喘息の人がいる
受診先に迷う場合は、まず内科で全身状態やアレルギー・喘息の評価を行い、そのうえで耳鼻咽喉科と連携して治療方針を立てていくことが一般的です。しもやま内科では、初期評価と併存症管理を担当し、必要に応じて専門機関へスムーズに紹介いたします。
💬 よくある質問(FAQ)
📞 鼻づまりや嗅覚低下でお困りの方へ
「鼻づまりが当たり前になっている」「においがほとんど分からない」──そんな状態を放置せず、一度原因を整理してみませんか。
好酸球性副鼻腔炎を含め、全身のアレルギー・喘息の有無も含めて評価し、必要に応じて耳鼻咽喉科と連携して治療を進めていきます。
診療時間:平日 9:00-12:00 / 14:45-17:30|土曜 9:00-12:00(土曜午後・水日祝休診)
診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。
主な参考資料:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂、2024年5月30日発行)/骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」(ライフサイエンス出版、2025年7月30日発行)
作成・更新:2026-08-28|本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。診断・治療については受診のうえご相談ください。
よくある質問(FAQ)
好酸球性副鼻腔炎とはどんな病気ですか?
好酸球性副鼻腔炎は、白血球の一種である好酸球が粘膜に多く浸潤することで起こる慢性の副鼻腔炎です。通常の慢性副鼻腔炎とは原因や治療法が異なり、喘息を合併することが多く、難治性で再発しやすい特徴があります。特に鼻茸(ポリープ)を伴うことが多く、嗅覚障害が強いのが特徴です。
好酸球性副鼻腔炎の主な症状は?
最も特徴的な症状は嗅覚障害(匂いがわからない・感じにくい)と鼻閉(鼻づまり)です。その他に粘稠な鼻汁(かみ出しにくい鼻水)、後鼻漏(のどに鼻水が落ちる感じ)、頭重感・顔面痛、喘息症状の悪化などがあります。通常の副鼻腔炎に比べて鼻汁の色が薄い(白色〜透明)ことも特徴です。
通常の副鼻腔炎との違いは?
通常の副鼻腔炎(細菌性)は抗菌薬やマクロライド系抗生物質が有効ですが、好酸球性副鼻腔炎は抗菌薬が効きにくいのが特徴です。また好酸球性副鼻腔炎は両側性の鼻茸(ポリープ)を高率に合併し、嗅覚障害が強い、喘息合併が多い、CTで陰影の分布が特徴的などの違いがあります。
好酸球性副鼻腔炎の診断方法は?
診断にはCT検査(副鼻腔の陰影パターン)、内視鏡検査(鼻茸の観察)、血液検査(好酸球数の評価)、時に病理組織検査(粘膜の好酸球浸潤の確認)を組み合わせます。当院ではまず問診と血液検査を行い、必要に応じて耳鼻咽喉科と連携して診断を進めます。
好酸球性副鼻腔炎の治療法は?
第一選択は経口ステロイド薬とステロイド点鼻薬です。難治例では生物学的製剤(デュピルマブ・メポリズマブなど)が使用されることもあります。手術療法(内視鏡下副鼻腔手術:ESS)も選択肢で、鼻茸の切除と副鼻腔の換気改善を行いますが、単独では再発しやすいため術後の薬物療法が重要です。
好酸球性副鼻腔炎と喘息の関係は?
好酸球性副鼻腔炎と喘息は「1つの気道、1つの病気(one airway, one disease)」と呼ばれるほど密接に関連しています。好酸球性副鼻腔炎の患者さんの約半数以上が喘息を合併し、両者は同じ好酸球性炎症が原因です。一方を治療すると他方も改善することが多いです。
好酸球性副鼻腔炎の手術後の再発率は?
好酸球性副鼻腔炎は手術後の再発率が高いことで知られています。約50〜80%の患者さんで術後数年以内に鼻茸や副鼻腔炎が再発するとの報告があります。そのため手術単独ではなく、術後も継続的な薬物療法(ステロイド点鼻・生物学的製剤など)と定期的なフォローアップが重要です。
好酸球性副鼻腔炎の原因は?
はっきりした原因は解明されていませんが、アレルギー体質や免疫異常が関与していると考えられています。好酸球という白血球が過剰に活性化され、副鼻腔粘膜に集まって炎症を起こすことが病態の中心です。アスピリン喘息(NSAIDsで喘息発作が誘発される病態)との関連も指摘されています。
好酸球性副鼻腔炎の食事で気をつけることは?
特効的な食事療法は確立されていませんが、炎症を抑える観点からバランスの良い食事が推奨されます。アスピリン喘息を合併する方はサリチル酸を含む食品(一部の果物・ハーブ・香辛料など)に注意が必要な場合もあります。医師と相談の上で適切な対応を検討してください。
好酸球性副鼻腔炎は治りますか?
完全に治すことは難しいとされていますが、適切な治療で症状を良好にコントロールすることは可能です。治療目標は症状の改善と再発予防です。生物学的製剤の登場により治療選択肢が広がり、以前よりコントロールがしやすくなっています。長期的なフォローアップが重要です。
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本老年医学会 老年科専門医・指導医
- 日本甲状腺学会 甲状腺専門医
生活習慣病や甲状腺疾患に加え、喘息やアレルギー疾患、長引く鼻症状などの診療にも携わっています。必要に応じて耳鼻咽喉科や呼吸器内科と連携しながら、好酸球性副鼻腔炎を含む慢性の鼻づまり・嗅覚低下についても総合的な評価と治療方針の検討を行っています。
最終更新日:2026年8月28日
受診をご検討の方、お気軽にご相談ください
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。