風疹と先天性風しん症候群について
風疹(ふうしん)は、風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症で、「三日はしか」とも呼ばれます。発熱、発疹、リンパ節の腫れ(特に耳の後ろや首のリンパ節)を主な症状とします。感染経路は飛沫感染と接触感染で、発疹が現れる前後の約1週間はウイルスを排出するため、症状が出る前から周囲に感染させる可能性があります。潜伏期は約2〜3週間(14〜21日)とされています。
症状は、感染してもほとんど気づかれない軽いものから、重い合併症を伴うものまで幅広くみられます。特に成人が発症した場合は、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を伴ったりと、小児より重症化しやすいとされています。まれに脳炎や血小板減少性紫斑病を合併し、入院治療が必要になることもあります。また、症状が出ない不顕性感染も少なくないとされ、本人が気づかないうちに周囲へ感染が広がることがあります。
妊娠中の感染と先天性風しん症候群(CRS)
風疹に対する免疫が十分でない女性が、妊娠20週頃までに風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが先天性風しん症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)を発症することがあります。先天性風しん症候群では、目の障害(白内障など)、心臓の障害(心室中隔欠損など)、耳の障害(難聴)などがみられます。
厚生労働省の資料では、妊娠12週頃までの感染では約85%、妊娠13〜16週の感染では約50%の割合で先天性風しん症候群が生じるとされています。妊娠を希望される方とそのご家族(配偶者・同居者)は、妊娠前にご自身の風疹の抗体を確認しておくことが大切です。
風疹を予防するために
風疹を予防するもっとも有効な方法は、ワクチン接種です。妊婦さんご本人は接種を受けることができませんので、妊娠を希望される方とそのご家族が事前に抗体を確認し、必要に応じて接種しておくことが、赤ちゃんを先天性風しん症候群から守ることにつながります。
当院では、風疹の抗体検査(風疹IgG抗体検査)と、MRワクチン(麻しん風疹混合ワクチン)による予防接種を行っています。いずれも予約制です。当院では中学生以上(12歳〜)の方を診療対象としています。
風疹の予防に関しては、風疹単独ワクチンとMRワクチンで同様の効果が期待できるとされています。MRワクチンは麻しんの予防にもつながるため、当院では抗体の状態やこれまでの接種歴をうかがったうえで、MRワクチンでの接種をご案内しています。費用は、抗体検査が4,000円(税込)、MRワクチンが9,900円(税込)です(いずれも自費・令和8年9月時点)。船橋市の助成対象となる場合は、下記のとおり費用の助成を受けられます。
接種を受けられない方、注意が必要な方
- 妊娠中の方(風疹ワクチン・MRワクチンはいずれも生ワクチンのため、接種を受けることができません)
- 明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- ワクチンの成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある方
- その他、医師が不適当な状態と判断した方
妊娠を希望される方は、接種前の約1か月間と、接種後約2か月間は妊娠を避けていただく必要があります(添付文書・厚生労働省)。接種の時期については、妊娠のご予定とあわせてご相談ください。
船橋市の助成制度(令和8年度)
船橋市では、風疹の抗体検査と予防接種の費用助成を行っています。以下は令和8年(2026年)9月時点の内容です。制度の内容や期限は変更されることがありますので、最新の情報は船橋市ホームページ、または船橋市健康部健康づくり課(047-409-3836)でご確認ください。
1|風疹抗体検査の助成(検査費用が無料)
次のいずれかに該当する船橋市民の方が対象です。
- 妊娠を希望する方
- 妊娠を希望する方の配偶者・同居者(婚姻の届出をしていない事実婚の方を含みます)
- 風疹の抗体価が十分でないと判断された、妊娠中の方の配偶者・同居者
次の方は対象外となります。
- 過去に風疹抗体検査(妊婦健康診査の風疹抗体検査を含む)を受けたことがある方
- 風疹ワクチンまたはMRワクチンの接種歴がある方
- 妊娠中の方(妊婦さんの抗体検査は妊婦健康診査で行われます)
検査方法は、問診と血液検査(HI法またはEIA法-IgG。この2つの方法のみが助成の対象です)。船橋市内の協力医療機関では無料で受けられます。船橋市外の医療機関で受けた場合は、費用を一旦お支払いいただいたうえで市に申請すると、上限6,750円まで償還されます(抗体検査の翌日から起算して2年以内の申請が必要です)。
実施期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日まで、申請期限は令和9年3月31日(必着)です。申請先は船橋市健康部健康づくり課(窓口または郵送)です。
当院は、船橋市の風疹抗体検査(成人向け)の実施医療機関です。対象となる方で当院での受検をご希望の場合は、ご予約の際にその旨をお伝えください。
2|風疹予防接種の費用助成
風疹の抗体検査を受け、「抗体価が十分でない」と判定された方(HI法で32倍未満、EIA法-IgGで8.0未満。他の検査方法は対象外)が対象です。助成はお一人につき1回です。
助成金額(上限)は、MRワクチンが6,700円、風疹単独ワクチンが4,400円です(生活保護世帯または中国残留邦人で支援給付を受けている場合は全額)。
- 抗体検査を受けずに予防接種のみを受けた場合は、助成の対象となりません。
- 平成30年12月25日以降に受けた接種が対象です。
- 接種費用は、医療機関で一旦全額をお支払いいただき、後日、船橋市健康部健康づくり課(窓口または郵送)へ申請して払い戻しを受ける形になります。
- 出産一時金などにより接種費用の自己負担がない場合は、助成の対象となりません。
- 申請期限は令和9年3月31日(必着)です。
3|昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性の方へ
この期間に生まれた男性は、これまで公的な風疹の予防接種を受ける機会がなく、他の世代と比べて抗体保有率が低い状況にあります。国の追加的対策として、船橋市でも抗体検査と予防接種が行われてきました。現在の取り扱いは次のとおりです。
- 抗体検査:令和7年3月31日をもって終了しました。現在、この制度で新たに抗体検査を受けることはできません。
- 予防接種:令和7年3月31日までにこの制度の抗体検査を受け、抗体価が不十分と判定された方は、令和9年3月31日まで予防接種を受けることができます。接種の前に船橋市への申請が必要です。接種費用は一旦全額をご負担いただき、後日、市へ償還払いを申請します(償還の上限は、風疹単独ワクチン6,560円、MRワクチン10,130円)。
- 令和7年4月1日以降に抗体検査を受けた方は、この制度による予防接種の対象外です。
対象となるかどうかがご不明な場合は、船橋市健康部健康づくり課(047-409-3836)へお問い合わせください。制度を利用せずに抗体の状態を確認したい場合は、当院の自費の抗体検査(4,000円・税込)をご利用いただけます。
抗体検査・予防接種の流れ
- お電話(047-467-5500)でご予約ください。
- ご来院いただき、問診のうえで採血(抗体検査)または予防接種を行います。
- 抗体検査の結果は、後日お伝えします。結果の書類が必要な方はお申し出ください。
- 船橋市の助成を利用される場合は、領収書と、抗体検査の結果が確認できる書類をお受け取りください。
予防接種は、体調の良い日に受けることが原則です。発疹や発熱など、風疹を疑う症状がある場合は、来院前にあらかじめお電話でご連絡いただきますようお願いいたします。待合室での感染拡大を防ぐため、ご協力をお願いしております。
よくあるご質問
Q. 風疹の抗体があるかどうかを調べることはできますか?
血液検査(風疹IgG抗体検査)で確認できます。当院では自費4,000円(税込)で実施しています。船橋市の助成対象となる方(妊娠を希望する方とその配偶者・同居者など)は、市内協力医療機関である当院で無料で受検いただけます。いずれも予約制です。
Q. 妊娠を希望していますが、接種は受けられますか?
妊娠されていないことを確認したうえで接種を受けることができます。ただし、接種前の約1か月間と接種後約2か月間は妊娠を避けていただく必要があります。妊娠のご予定に合わせて、接種の時期をご相談ください。
Q. 妊娠中ですが、風疹のワクチンを接種できますか?
妊娠中の方は接種を受けることができません。妊娠中の抗体検査は妊婦健康診査で行われますので、そちらでご確認ください。出産後に接種をご検討いただくことが可能です。
Q. 風疹にかかったことがある場合も、接種は必要ですか?
風疹に一度かかった方は、通常、免疫がつくと考えられています。ただし、かかったかどうかがあいまいな場合や、ご家族に妊娠を希望される方がいる場合は、抗体検査で確認しておくと安心です。
Q. 昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性です。無料の抗体検査は受けられますか?
この世代を対象とした国の追加的対策による抗体検査は、令和7年3月31日で終了しました。すでにこの制度の抗体検査を受け、抗体価が不十分と判定された方は、令和9年3月31日まで予防接種を受けることができます。抗体の状態がご不明な場合は、自費の抗体検査(4,000円・税込)で確認いただき、必要に応じて接種をご検討ください。妊娠を希望する方の配偶者・同居者であれば、船橋市の助成対象となる場合があります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
自費の場合、風疹IgG抗体検査は4,000円(税込)、MRワクチンは9,900円(税込)です。船橋市の助成対象となる方は、抗体検査が無料、予防接種はMRワクチンで上限6,700円の助成を受けられます。助成の対象となるかどうかのご相談は、船橋市健康部健康づくり課(047-409-3836)へお願いいたします。
Q. 接種後の副反応はありますか?
接種部位の痛みや腫れ、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどがみられることがあります。多くは数日で軽快しますが、接種後に気になる症状がある場合は、お電話または外来でご相談ください。
関連ページ
本ページの制度内容は令和8年(2026年)9月時点のものです。最新の情報は船橋市ホームページをご確認ください。
最終更新日:2026-09-13
👨⚕️ この記事の監修医師
監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。