📘 要点
- 糖尿病の合併症は腎・心血管・網膜・神経・足に起こりやすいです
- 神経障害は感覚・運動・自律神経の3つに分かれます
- 網膜症は自覚症状がなくても年1回の眼底検査が目安です
- 腎臓は尿中アルブミンとeGFRで定期的に確認します
- 毎日の足のチェックが足病変や切断を防ぐ第一歩になります
- 足のしびれや傷が続くときは、早めにご相談ください
ふくらはぎのしびれ・かゆみから始まる神経障害や足のトラブルは、早期発見が重要です。当院の糖尿病教室では、合併症の怖さと具体的な予防法を専門医がわかりやすくお伝えしています。

糖尿病の合併症はこんなに怖い
「ふくらはぎがかゆい」「足がしびれる」「将来足を切断するかも…」——糖尿病患者さんが最も不安に思うのが合併症の恐怖です。特に神経障害は自覚症状がなく進行しやすく、放置すると足の壊疽や切断リスクが高まります。
このページでは、糖尿病の合併症(神経障害・網膜症・腎臓病・心血管疾患・足病変)がもたらすリアルな恐怖と、今日からできる予防法を専門医が具体的に解説します(糖尿病教室⑤)。
神経障害(ふくらはぎのしびれ・かゆみから始まる合併症)
糖尿病神経障害(全体像)
神経障害は「感覚」「運動」「自律神経」の3つに分かれます
| 感覚神経の障害 | しびれ・痛み・感覚低下(足の傷に気づきにくくなる) |
|---|---|
| 運動神経の障害 | 筋力低下・歩きにくさなど(進行すると転倒リスク) |
| 自律神経の障害 | 便秘・下痢、立ちくらみ、発汗異常、排尿トラブルなど |
糖尿病神経障害は、ふくらはぎのしびれやかゆみから始まるケースが多く、進行すると足の傷に気づかなくなり感染・壊疽の原因になります。
感覚神経の障害
足先がピリピリ・ジンジンする、針で刺されるような痛み、足裏が皮をかぶったような感覚、痛みを感じにくい、こむら返りなど。
📝 感覚神経障害のよくある症状
- 足先がピリピリ・ジンジンする(しびれ)
- 針で刺されるような痛みで眠れない
- 足裏が「皮をかぶった」ような感覚
- 痛みや熱さを感じにくい
- こむら返りを起こしやすい
自律神経障害
自律神経の障害では、胃腸の調子が悪くなり便秘、下痢などを起こしやすくなります。立ちくらみがする。汗をかきにくい。残尿がある。性機能低下などが生じます。
🧩 自律神経障害のポイント
- 便秘・下痢など、胃腸の不調が続く
- 立ちくらみ(起立性低血圧)
- 汗をかきにくい/かきすぎる
- 残尿感・排尿トラブル
- 性機能の低下
糖尿病神経障害は、起こしてしまうと「元に戻す」良い方法が限られるため、予防として血糖コントロールが重要です。
フットケアのポイント
足をよく観察しましょう。傷はないか、魚の目・タコはないか、爪の手入れはできているか、水虫は治療されているかを確認します。これらが感染の原因になります。

足にできた傷を放置しておくと壊疽になることがあります。糖尿病患者さんでは血流も悪く傷の治りが悪いため、治療のために広範囲の切除や切断が必要になることもあります。
糖尿病網膜症(網膜)
糖尿病網膜症を起こすと視力が低下し、最終的には失明することもあります。目の奥の網膜は非常に大事な部位で、高血糖が続くと細い血管が徐々に詰まってきます。
糖尿病網膜症を良くするには?
糖尿病網膜症を「悪化させない」ために
| 基本 | 血糖コントロール+血圧・脂質・禁煙の総合管理 |
|---|---|
| 注意点 | 進行した網膜症がある場合、血糖を急激に下げると悪化することがある |
| 検査 | 自覚症状がなくても定期的な眼底検査(年1回を目安) |
腎の合併症:糖尿病性腎臓病(DKD)
早期には自覚症状が乏しいため、尿中アルブミン(ACR)とeGFRで定期的にチェックし、血糖・血圧・減塩・薬を組み合わせて進行を抑えることが重要です。
心血管の合併症(動脈硬化)
糖尿病患者さんは、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などを起こしやすくなります。血糖だけでなく、血圧、脂質、体重、禁煙など複数の危険因子を一緒に整えることが重要です。
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糖尿病の合併症予防(年間計画・セルフチェック):予防の実践的ガイド。年間スケジュール、早期発見のサイン、成功事例を詳しく解説。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 糖尿病の合併症にはどのようなものがありますか?
A. 細い血管が障害される網膜症・腎臓病(DKD)・神経障害と、動脈硬化による心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症、さらに足の病変(足潰瘍・壊疽)があります。いずれも早期には自覚症状が乏しいため、定期的な検査で見つけることが大切です。
Q. 糖尿病の神経障害はどんな症状から始まりますか?
A. ふくらはぎのしびれやかゆみから始まることが多く、足先のピリピリ・ジンジンするしびれ、針で刺されるような痛み、足裏が皮をかぶったような感覚などが現れます。進行すると痛みや熱さを感じにくくなり、足の傷に気づきにくくなります。
Q. 糖尿病の網膜症は自覚症状がなくても検査が必要ですか?
A. はい。網膜症は視力が低下するまで気づきにくいため、自覚症状がなくても眼底検査を年1回程度受けることが目安とされています。血糖だけでなく血圧・脂質の管理と禁煙も、悪化を防ぐうえで重要です。
Q. 腎臓の合併症はどうやって見つけるのですか?
A. 尿中アルブミン(ACR)とeGFRの検査で定期的に確認します。早期には自覚症状が乏しいため、血糖・血圧の管理、減塩、薬物療法を組み合わせて進行を抑えることが大切です。
Q. 足の切断を防ぐにはどうすればよいですか?
A. 毎日、足に傷がないか、魚の目やタコ、爪の状態、水虫がないかを確認することが第一歩です。糖尿病患者さんは血流が悪く傷が治りにくいため、傷を放置すると壊疽につながることがあります。気になる変化があれば早めにご相談ください。
Q. 血糖を急に下げると網膜症が悪化することがあるのですか?
A. 進行した網膜症がある場合、血糖を急激に下げると一時的に悪化することがあるとされています。血糖・血圧・脂質の管理と禁煙を組み合わせ、眼科と連携しながら進めることが重要です。
※記載内容は一般的な医学情報です。診断・治療は受診のうえご相談ください。
主な参考資料:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂、2024年5月30日発行)/日本内分泌学会・日本糖尿病学会・日本循環器学会・日本甲状腺学会・日本高血圧学会等の診療ガイドラインおよび厚生労働省の公表資料
作成・更新:2026-08-28|本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。診断・治療については受診のうえご相談ください。
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最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。