糖尿病内科

糖尿病と腸内細菌叢

02/05/2016

糖尿病とプロバイオティクス

腸内細菌叢

腸内細菌叢

プロバイオティクスとはヒトの健康に良い影響を与える細菌、酵母菌などの総称です。いわゆる「善玉菌」というものと言い換えても良いでしょう。ヒトの大腸内には、およそ100兆個、500~1,000種類もの常在腸内細菌が生息しています。

プロバイオティクスが最近のトピック

これまでも、善玉菌の効能は知られていました。例えば、腸内細菌が作る酪酸が免疫細胞に作用することで、制御性T細胞という炎症やアレルギーを抑えるT細胞を増やすことが知られていました。特に、炎症性腸疾患(クローン病,潰瘍性大腸炎など)の発症に関係していると考えられています。身近なところでは、乳酸菌でアレルギー症状が改善するといったものもあり、皆様よくご存知と思います。

腸内フローラ(腸内細菌叢)が良くないとうつ病になりやすいなど、メンタルヘルスの分野では早くから注目されていました。腸内微生物がアセチルコリンやGABA、トリプトファンなどの神経伝達物質を分泌することができることがわかり、腸には神経伝達物質に反応して信号を脳に送ることができるニューロンが何百万と存在することがわかっています。腸から脳へと刺激が走り、抗うつ効果などがみられているわけです。最近注目を集めるようになったのは、腸内細菌叢(腸内フローラ)が糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化、種々の生活習慣病の発症に関係することがわかってきたからです。

例えば、2型糖尿病は遺伝因子と環境因子とが関係して発症すると考えられてきました。

ところが、近年は腸内細菌のバランスの乱れが何らかの影響を与えている可能性も指摘されています。不健康な食生活や運動不足、ストレスやなどの生活環境や加齢が腸内細菌環境を撹乱します。肉やタンパク質を食べ過ぎないこと、食物繊維をたくさん摂取すること、ヨーグルトや漬物(植物性乳酸菌が含まれます)などの発酵食品を多く食べることが重要です。

善玉腸内細菌を増やすのは、それほど簡単なことではありません。最近のヨーグルトには各社で様々な善玉菌を謳ったものを出していますが、万人に定着するものはありません。ヒトによって相性があるのです。自分にあうヨーグルトを見つけるまでいろいろ試して、自分の便を確認することが大切です。具合の良いがコンスタントに出るようになれば、その乳酸菌が合っているということです。

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