「甲状腺の病気があるけど、妊娠しても大丈夫?」「子どもを望んでいるけど、甲状腺の治療はどうすれば?」——甲状腺と妊孕性(妊娠できる力)の関係について、患者さんから本当によく聞かれます。今回はそのあたりをまとめてお話しします。
この記事のポイント(2026年最新)
- TSHが高いと妊娠率が低下し、流産リスクも上昇します。妊娠を希望する女性は、妊娠前にTSHを2.5μIU/mL以下にコントロールすることが推奨されています。
- TSHが2.5〜4.0の「グレーゾーン」は、抗体(TPOAb)の有無・不妊治療の有無・流産歴などで個別判断が基本です。
- TSH 4.0超えや体外受精(IVF)予定の場合は、チラーヂン治療を積極的に検討します。
- 抗TPO抗体陽性の方は、TSHが正常範囲内でも注意が必要で、予防的治療が検討されるケースもあります。
- チラーヂン治療の目標は、妊活中〜妊娠初期でTSH 2.5未満を目安にします。
※最新の日本甲状腺学会・ATAガイドラインの考え方を踏まえています。
TSHと妊娠率の関係——エビデンスから見る現状
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、脳下垂体から分泌され、甲状腺に「ホルモンを作れ」という指令を出す物質です。TSHが高いということは、甲状腺の働きが弱っている(甲状腺機能低下症)ことを意味します。
近年の大規模研究により、TSHと妊娠率の間に明確な関連があることが明らかになっています。2020年に発表されたメタアナリシス(複数の研究を統合して解析したもの)では、TSHが4.0以上の女性では、TSHが正常な女性と比較して妊娠率が約30〜40%低下するという結果が報告されています。また、TSHが2.5〜4.0の「正常範囲内でもやや高め」の群でも、妊娠までの期間が有意に延長するというデータがあります。
具体的なメカニズムとしては、以下のような経路が考えられています:
- 甲状腺ホルモンの不足による排卵障害——卵胞の発育や排卵に甲状腺ホルモンが関与しているため、不足すると月経不順や無排卵の原因になります。
- 黄体機能不全——甲状腺ホルモンは黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌にも影響します。黄体機能が低下すると、受精卵の着床がスムーズに行われません。
- 着床率の低下——子宮内膜の分化・増殖に甲状腺ホルモンが必要です。甲状腺機能低下状態では、子宮内膜のレセプティビティ(受精卵を受け入れる準備状態)が損なわれます。
- 流産リスクの上昇——甲状腺機能低下は、初期流産のリスクを約1.5〜2倍に引き上げるとされています。
これらのメカニズムはいずれも、適切なチラーヂン治療によって改善可能です。つまり、TSHが高い状態は「妊娠の妨げになる」けれども、「治療可能な原因」であるという点が重要です。
妊娠前のTSH目標値——2.5以下の根拠
日本甲状腺学会の診療ガイドラインおよび米国甲状腺学会(ATA)のガイドラインでは、妊娠を計画している女性のTSH目標値は2.5μIU/mL未満とされています。この数値には以下のようなエビデンスがあります。
2017年のATAガイドラインでは、妊娠初期のTSH正常上限を4.0と設定しつつも、妊娠を計画する女性については2.5未満を推奨しています。その理由として:
- 妊娠初期(特に妊娠8〜12週)は胎児が自分で甲状腺ホルモンを作れないため、母体からの供給に完全に依存します。この時期に母体のTSHが上昇していると、胎児の脳発達に影響を与える可能性があります。
- 妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が約30〜50%増加するため、妊娠前からTSHを低めに保っておくことで、妊娠後の急激なTSH上昇を防げます。
- TSHが2.5〜4.0の「正常範囲内高値」でも、流産率が有意に上昇するという複数の研究結果があります。
ただし、すべての方が2.5未満を目指すべきかというと、そう単純ではありません。FT4(遊離サイロキシン)の値が正常で、抗体陰性、不妊治療歴・流産歴がない方は、TSH 2.5〜4.0でも必ずしも治療が必要とは限りません。あくまで「個別化された目標値」という理解が大切です。
TSH値と妊活・不妊治療での対応目安
📘 まず結論(要点まとめ)
- TSHが高いと、排卵障害や流産リスクが上がります。
- 妊娠前のTSH目標は2.5μIU/mL未満(特に排卵障害・妊娠希望女性には2.0未満を目指します)。
- チラーヂン®でTSHを整えることで妊娠率が改善する場合が多いです。
- 流産を繰り返した後は、必ず甲状腺機能検査をお勧めします。
| TSH値(mIU/L) | 一般的な解釈 | 妊活・不妊治療での目安 | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| 〜2.5 | 良好 | 理想的な範囲 | 経過観察で問題なし。妊娠後も定期的にチェック。 |
| 2.5〜4.0 | グレーゾーン | 抗体陽性・ART予定・流産歴がある場合は治療検討 | 個別判断(FT4・抗体・症状を確認)。抗体陰性でART予定なしなら経過観察も可。 |
| 4.0超 | 潜在性甲状腺機能低下症 | 治療を推奨するケースが多い | チラーヂン投与を検討。抗TPO抗体陽性なら特に積極的に。 |
| 10.0以上 | 顕性甲状腺機能低下症 | 治療は必須 | チラーヂン投与開始。妊娠前に正常化を確認してから妊活へ。 |
※施設・ガイドラインにより若干異なります。必ず主治医と相談してください。
チラーヂン(LT4)治療の開始基準と用量調整
チラーヂン®(一般名:レボチロキシンナトリウム、LT4)は、甲状腺ホルモンを補充する薬です。妊娠を考えている女性におけるチラーヂン治療の開始基準と調整方法について解説します。
治療開始基準
- TSH 4.0以上:妊娠を希望する場合は、基本的にチラーヂン治療を推奨します。特に抗TPO抗体陽性の方は積極的に開始します。
- TSH 2.5〜4.0:以下のいずれかに該当する場合は治療を検討します。
- 抗TPO抗体陽性
- 体外受精(IVF)などのARTを予定している
- 流産歴(特に2回以上)がある
- 橋本病と診断されている
- 甲状腺機能低下症の症状(倦怠感・寒がり・体重増加など)がある
用量調整の実際
チラーヂンの開始用量は、TSHの値と体重によって決めます。一般的には以下のような目安です:
- TSH 4.0〜10.0:1日25〜50μgから開始
- TSH 10.0以上:1日50〜75μgから開始(重症例ではそれ以上)
治療開始後は4〜6週間ごとにTSHとFT4を測定し、目標値(TSH 2.5未満)に達するまで用量を調整します。目標値に達したら、妊娠成立までは2〜3ヶ月ごとのフォローで安定を確認します。
妊娠が判明したら、すぐにチラーヂンを増量する必要があります。妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が30〜50%増加するため、多くの方で1.3〜1.5倍程度の増量が必要です。当院では、妊娠判明後すぐに来院いただき、TSHを測定して増量幅を決定します。
不妊治療(排卵誘発・人工授精・体外受精)とTSH管理
一般不妊治療(タイミング法・人工授精)から高度生殖医療(体外受精)まで、すべての不妊治療においてTSH管理は非常に重要です。
排卵誘発とTSH
クロミフェンやHMG・hCG製剤を用いた排卵誘発を行う際、甲状腺機能が低下していると卵胞の発育が不良になることがあります。TSHが高い状態では排卵誘発剤への反応性が低下するため、卵胞発育に時間がかかったり、十分なサイズまで育たないことが報告されています。そのため、排卵誘発を開始する前にTSHを2.5未満に調整しておくことを推奨します。
人工授精(IUI)とTSH
人工授精においても、TSH高値は妊娠率低下と関連します。IUIを複数回行っても妊娠に至らない場合、甲状腺機能の評価・治療が奏功することがあります。特に原因不明不妊の場合、潜在的な甲状腺機能低下症が背景にあるケースを見逃さないことが大切です。
体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)とTSH
体外受精や顕微授精などのARTにおいては、TSH管理が特に重要です。多くのART施設では、胚移植前のTSH目標値を2.5未満と定めています。その理由として:
- 採卵時の卵子の質に甲状腺ホルモンが影響する
- 子宮内膜のレセプティビティ(着床能)に甲状腺ホルモンが必要
- 胚移植後の妊娠維持に甲状腺機能が関与する
凍結胚移植(FET)の場合も、移植周期の開始前にTSH 2.5未満を確認することが望ましいです。当院では、不妊治療施設と連携し、ART開始前のTSHチェックとチラーヂン調整を積極的に行っています。
妊娠判定後のTSHフォロー
妊娠が判明したら、甲状腺機能のフォローアップがこれまで以上に重要になります。以下のスケジュールでTSHを測定することをお勧めします:
- 妊娠判明時(妊娠4〜5週):すぐにTSH・FT4を測定。チラーヂン服用中の方は増量が必要か判断。
- 妊娠8〜12週:胎児の甲状腺が機能し始めるまでの重要な時期。TSHを再確認。
- 妊娠16〜20週:中期に入り、ホルモン必要量が安定する頃。再度調整。
- 妊娠28〜32週:妊娠後期。胎児の成長に合わせて甲状腺ホルモンの需要が最大になる時期。
チラーヂン服用中の方は、妊娠中は通常4〜6週間ごとにTSHを測定し、適宜用量を調整します。妊娠中のTSH目標値は、妊娠初期0.1〜2.5、妊娠中期0.2〜3.0、妊娠後期0.3〜3.0が目安です(ATAガイドライン)。
出産後は甲状腺ホルモンの必要量が妊娠前に戻るため、多くの方はチラーヂンの用量を妊娠前の量に戻します。ただし、出産後に甲状腺機能が変動することがある(産後甲状腺炎など)ので、産後1〜2ヶ月後にも必ず甲状腺機能をチェックしましょう。
流産リスクとTSH
TSH高値と流産リスクの関係については、多くの研究で一貫した結果が示されています。2019年に発表された大規模メタアナリシス(約5万人の妊婦を対象)では、甲状腺機能低下症(TSH高値)の女性では、甲状腺機能正常の女性と比較して流産リスクが約1.8倍に上昇することが報告されています。
さらに、抗TPO抗体陽性の場合はリスクがさらに高まります。抗TPO抗体陽性かつ甲状腺機能低下症の女性では、流産リスクが約3〜5倍に上昇するというデータもあります。一方で、チラーヂン治療によって甲状腺機能を正常化すると、流産リスクが有意に低下することが示されています。
特に2回以上の流産を経験された方は、妊娠前に必ず甲状腺機能検査(TSH、FT4、TPO抗体)を受けることを強くお勧めします。反復流産の原因として甲状腺機能異常は治療可能な因子であり、適切な介入で次回の妊娠成功率を大きく改善できます。
抗TPO抗体陽性の影響
抗TPO抗体(甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)は、橋本病(慢性甲状腺炎)の診断マーカーです。この抗体が陽性の方の妊孕性への影響について、最近の研究では以下のような知見が得られています:
- 妊娠率の低下:抗TPO抗体陽性の女性は、抗体陰性の女性と比較して妊娠までに要する期間が有意に長いことが報告されています。
- 流産率の上昇:抗TPO抗体陽性の妊婦は、流産リスクが約1.5〜2倍に上昇します。このリスクはTSH値とは独立した因子であると考えられています。
- ARTの成績低下:体外受精において、抗TPO抗体陽性の女性は陰性の女性と比較して、妊娠率が低く流産率が高いというメタアナリシス結果があります。
- 産後甲状腺炎のリスク:抗TPO抗体陽性の女性は、出産後に産後甲状腺炎を発症するリスクが高く(約40〜50%)、産後のフォローアップが重要です。
抗TPO抗体陽性かつTSHが正常範囲内の女性に対する予防的チラーヂン治療の有効性については、現在も議論が続いています。しかし、ARTを予定している場合や流産歴がある場合は、TSH 2.5未満を目標とした治療が推奨されるケースが増えています。当院では、抗体陽性の方にはTSHの推移を定期的にチェックし、上昇傾向があれば早期に介入する方針をとっています。
甲状腺と妊孕性——基本の理解
甲状腺ホルモンは、女性の生殖機能に深く関わっています。甲状腺機能が低下していると:
- 月経不順になりやすい
- 排卵障害が起こることがある
- 着床率が下がる
- 流産のリスクが上がる
でも、適切に治療すればこれらのリスクは大きく減らせます。甲状腺機能を正常に保つことが、妊娠への第一歩です。
バセドウ病と妊娠
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療中の場合、妊娠を考えるタイミングが重要です。抗甲状腺薬(メルカゾールやチウラジール)には胎盤を通過するものがあるので、妊娠がわかったらすぐに薬の調整が必要です。
理想的には、甲状腺機能が安定してから妊娠するのがベスト。治療法によっては、妊娠前に放射性ヨウ素治療や手術を済ませておくことも検討します。バセドウ病の治療中に妊娠を希望される方は、事前に当院または主治医にご相談ください。
橋本病と妊娠
橋本病でチラーヂン(甲状腺ホルモン薬)を飲んでいる方は、妊娠したらすぐに薬の増量が必要になることがほとんどです。妊娠中は胎児に甲状腺ホルモンを供給する必要があるため、お母さんの甲状腺ホルモンの必要量が増えるからです。
妊娠がわかったら、すぐに主治医に連絡してください。「悪影響があるかも」と自己判断で薬を減らすのは逆効果です。チラーヂンは胎盤をほとんど通過せず、妊娠中も安全に使用できる薬です。
院長の実績と専門性
下山立志は日本甲状腺学会 甲状腺専門医・糖尿病専門医・循環器専門医の三冠を取得し、年間480件以上の甲状腺診療実績があります。不妊における甲状腺機能の管理については、産婦人科と連携しながら個別的に対応しています。TSHと妊娠に関する最新のエビデンスを踏まえ、患者さん一人ひとりの状況に合わせた治療計画を提案します。
⚠ 緊急性の判断と受診の目安
- 妊娠中に急な動悸+高熱38℃以上→今すぐお電話ください
- 妊娠中に意識がもうろうとする、強いめまい→救急外来119番へ
- 妊娠中にTSHが急上昇した、または薬の調整が必要→すぐに当院へご連絡ください
- 流産を2回以上繰り返した方→妊娠前に甲状腺検査をご相談ください
- 不妊治療中にTSHが高いと指摘された方→早めの受診をお勧めします
よくある質問
はい、TSHが高いと妊娠しにくくなることが多くの研究で示されています。TSHが4.0以上の女性では、妊娠率が約30〜40%低下するというデータがあります。理由としては、甲状腺機能低下による排卵障害や黄体機能不全、着床率の低下などが考えられます。ただし、適切なチラーヂン治療で甲状腺機能を正常化することで、妊娠率は改善します。
日本甲状腺学会および米国甲状腺学会(ATA)のガイドラインでは、妊娠を計画している女性のTSH目標値は2.5μIU/mL未満とされています。特に体外受精などのARTを予定している場合や、抗TPO抗体陽性の方は、この目標値を厳守することが推奨されます。ただし、個々の状況(年齢・抗体の有無・不妊治療の有無・流産歴など)によって目標値は変わりますので、主治医と相談して決めましょう。
TSH高値は流産リスクの上昇と関連します。甲状腺機能低下症の女性では、甲状腺機能正常の女性と比較して流産リスクが約1.8倍に上昇することが報告されています。さらに抗TPO抗体陽性の方はリスクがさらに高まります。しかし、チラーヂン治療で甲状腺機能を正常化することで、流産リスクは有意に低下します。流産を繰り返す方は、ぜひ甲状腺機能検査を受けてください。
チラーヂン(レボチロキシンナトリウム)は、妊娠中も安全に使用できる薬です。むしろ、甲状腺機能を正常に保つことが母子ともに重要なので、妊娠中も継続が必要です。妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が30〜50%増加するため、多くの方は増量が必要になります。自己判断で中止したり減らしたりせず、妊娠がわかったらすぐに主治医に相談してください。バセドウ病の薬(抗甲状腺薬)は妊娠週数によって適切な薬を使い分けます。
不妊治療(排卵誘発・人工授精・体外受精)を開始する前に、TSHを2.5未満に調整しておくことを推奨します。特に体外受精(IVF)では、胚移植前のTSH目標値が2.5未満と定められている施設が多くなっています。不妊治療中は、甲状腺専門医と産婦人科・不妊治療施設が連携して管理することが理想的です。当院でも不妊治療施設と密に連携し、TSHコントロールをサポートしています。
抗TPO抗体陽性は、橋本病(慢性甲状腺炎)の存在を示します。抗体陽性の方は:①妊娠率が低下する傾向がある、②流産リスクが約1.5〜2倍に上昇する、③体外受精の成績が低下する可能性がある、④将来の甲状腺機能低下リスクが高い、⑤産後甲状腺炎を発症するリスクが高い(約40〜50%)、といった特徴があります。TSHが正常範囲内でも、抗体陽性かつ不妊治療中や流産歴がある場合は、予防的なチラーヂン治療が検討されることがあります。
妊娠すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の影響でTSHは低下する傾向があります。しかし、甲状腺ホルモンの必要量は妊娠中に約30〜50%増加するため、もともと甲状腺機能が低下傾向にある方は、妊娠を機にTSHが上昇することがあります。特に橋本病でチラーヂンを服用中の方は、妊娠判明後すぐに増量が必要になることがほとんどです。妊娠中は定期的にTSHを測定し、適切に調整することが大切です。
チラーヂン(レボチロキシン)は、胎盤をほとんど通過せず、妊娠中も安全に使用できます。むしろ、甲状腺機能を正常に保つことで赤ちゃんの脳や神経の発達を守ることができます。バセドウ病の治療薬(メルカゾール・チウラジール)は、胎盤を通過するため、妊娠週数や症状に応じて適切な薬剤を選択し、最小有効量で使用します。いずれも専門医の管理下で適切に使用すれば、赤ちゃんへの影響は最小限に抑えられます。自己判断で薬を中止するのが最も危険です。
症状がなくても、妊娠を希望する場合は治療を検討する価値があります。TSHが4.0以上の場合は、無症状でも妊娠率や流産リスクに影響する可能性があるため、チラーヂン治療を推奨します。TSH 2.5〜4.0の「グレーゾーン」では、抗TPO抗体の有無・不妊治療の有無・流産歴・年齢などを総合的に判断して治療の要不要を決めます。症状がないからといって安心せず、妊娠を考えている方は一度甲状腺機能検査を受けることをお勧めします。
甲状腺疾患のない一般妊婦では、妊娠初期に1回のスクリーニングが推奨されています。チラーヂンを服用中の方は、妊娠中は4〜6週間ごとにTSHを測定することをお勧めします。特に妊娠初期(〜16週)は変化が大きいため、頻回のチェックが必要です。具体的には、妊娠判明時、妊娠8〜12週、16〜20週、28〜32週を目安に測定し、その都度用量調整を行います。産後も1〜2ヶ月後に再チェックが必要です。
「甲状腺の病気でも妊娠できますか?」——適切な治療で、ほとんどの方は大丈夫です。
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
最終更新日: 2026年8月26日
監修: 下山立志(総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医)
※2026年時点の最新ガイドライン動向を踏まえて解説しています。
📚 参考文献
- 日本甲状腺学会 編「甲状腺疾患診療ガイドライン 2022」.
- American Thyroid Association (ATA). "2017 Guidelines for Thyroid Disease in Pregnancy and Postpartum." Thyroid, 2017;27(3):315-389.
- Thangaratinam S, et al. "Association between thyroid autoantibodies and miscarriage and preterm birth: meta-analysis of evidence." BMJ, 2011;342:d2616.
- Maraka S, et al. "Thyroid hormone treatment among pregnant women with subclinical hypothyroidism: US national assessment." BMJ, 2017;356:i6865.
- Liu H, et al. "Maternal subclinical hypothyroidism, thyroid autoimmunity, and the risk of miscarriage: a prospective cohort study." Thyroid, 2019;29(8):1150-1158.
- Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. "Subclinical hypothyroidism in the infertile female population: a guideline." Fertil Steril, 2015;104(3):545-553.
- Velkeniers B, et al. "Thyroid autoimmunity and infertility." Thyroid, 2013;23(10):1193-1200.
最終更新日:2026-08-26
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。