妊娠と甲状腺疾患の関係について
妊娠を希望する方、または妊娠中にバセドウ病やTSHの異常がある方は、治療や赤ちゃんへの影響について不安を感じているかもしれません。
ここでは、甲状腺専門医の立場から、よくある質問にお答えします。
よくあるご質問
Q. バセドウ病でも妊娠できますか?
A. 適切な治療と管理を行えば、バセドウ病をお持ちの方でも妊娠・出産は十分に可能です。妊娠前に甲状腺機能を安定させておくことが重要です。
Q. 妊娠中に甲状腺の病気があると赤ちゃんに影響しますか?
A. はい、甲状腺ホルモンの異常や、バセドウ病に関連するTSHレセプター抗体(TRAb)が高い場合、胎児にも影響を与えることがあります。定期的な検査と医師の指導のもとで管理することで、安全な妊娠・出産が可能です。
Q. 妊娠を希望する場合、TSHの目標値はありますか?
A. はい、不妊治療ガイドラインなどでも、妊娠前はTSH 2.5μIU/mL未満を目指すことが推奨されています。高すぎても低すぎても妊娠率に影響を及ぼすことがあります。
Q. 妊娠中に甲状腺機能が変わることはありますか?
A. あります。妊娠初期にはhCGホルモンの影響で一時的に甲状腺機能が亢進することがあり、中期以降は免疫が抑制され、安定する傾向もあります。産後は再発のリスクもあるため注意が必要です。
Q. 抗甲状腺薬は妊娠中も使えますか?
A. 使用できますが、時期によって薬剤の選択が異なります。妊娠初期はプロピルチオウラシル(PTU)、中期以降はメチマゾール(MMI)が推奨されます。MMIは初期に使うと先天異常のリスクがあるため注意が必要です。
Q. 授乳中に抗甲状腺薬を使っても大丈夫ですか?
A. はい、どちらの薬も使用可能です。MMIは1日10mg以下であれば授乳に問題はないとされています。母乳への影響は少なく、断乳は原則不要です。
まとめ
甲状腺疾患があっても、妊娠・出産・授乳は適切な管理のもとで十分に可能です。不安のある方は、早めに専門医へご相談ください。
船橋市のしもやま内科では、甲状腺と妊娠に関するご相談・管理を承っております。
この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本甲状腺学会 専門医/日本循環器学会 専門医
甲状腺疾患の診療経験が豊富で、とくにバセドウ病や橋本病の妊娠管理に注力。
地域の産婦人科・医療機関と連携し、妊娠中〜授乳期まで安心して治療が継続できる体制を整えています。
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