亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎の鑑別
亜急性甲状腺炎(Subacute thyroiditis)と無痛性甲状腺炎(Painless thyroiditis)は、いずれも一過性の甲状腺機能亢進症を呈することがありますが、原因・経過・所見などに違いがあります。以下に鑑別のポイントを整理します。
🔍 鑑別ポイント
項目 | 亜急性甲状腺炎 | 無痛性甲状腺炎 |
---|---|---|
原因 | ウイルス感染が誘因とされる | 自己免疫性(橋本病の一型) |
発症様式 | 急性または亜急性に発症 | 徐々に発症することが多い |
頸部痛 | 明らかにあり(圧痛もあり) | なし |
触診所見 | 硬くて圧痛あり | 軟らかく圧痛なし |
全身症状 | 発熱、倦怠感などの炎症所見あり | なしまたは軽微 |
甲状腺機能 | 初期:甲状腺機能亢進 → 徐々に低下し回復 | 一過性の亢進 → 低下 → 正常化(3相経過) |
血液検査 | ● CRP↑、白血球↑、赤沈↑(炎症反応あり)● 抗甲状腺抗体:通常陰性 | ● CRP・白血球正常● 抗TPO抗体・抗Tg抗体陽性のことあり |
エコー所見 | 低エコー域、不均一で血流低下 | びまん性低エコーだが血流は保たれる |
シンチグラフィー | 摂取率低下(cold) | 摂取率低下(cold) |
📝 補足
- 治療方針:
- 亜急性甲状腺炎:NSAIDsやステロイドが有効。
- 無痛性甲状腺炎:治療は原則として対症療法のみ。甲状腺機能は自然に回復する。
- 再発:
- 無痛性甲状腺炎は再発することがある。
- 亜急性甲状腺炎の再発は比較的少ない。