抗不整脈薬であるアミオダロンは甲状腺に複雑な影響を及ぼします。
アミオダロンは1錠中に37mgという大量のヨウ素を含みます。このヨウ素による作用で甲状腺機能異常を惹起します。T4からT3への転換を触媒する脱ヨウ素酵素を強く抑制しますので、血中T3・FT3低下、T4・FT4上昇をきたします。また、アミオダロンによる甲状腺直接作用で破壊性甲状腺中毒症をきたします。
アミオダロン誘発性甲状腺炎には、主に2つのタイプがあります。日本では殆どが2型です。
1. アミオダロン誘発性甲状腺炎1型: これは、甲状腺の炎症反応によって起こる亜急性甲状腺炎です。通常は、甲状腺機能亢進症 (甲状腺の活動過剰) の症状が現れ、その後、症状が進行するにつれて甲状腺機能低下症 (甲状腺の活動不足) の症状が現れます。アミオダロン誘発性甲状腺中毒症1型の治療は、甲状腺機能亢進症・バセドウ病に準じて行います。
2. アミオダロン誘発性甲状腺炎2型: これは、甲状腺機能低下症につながる破壊的な症状で、甲状腺に対するアミオダロンの直接的な毒性作用によって惹起されると考えられています。アミオダロン誘発性甲状腺炎2型の治療は、アミオダロンの中止(可能ならば)、そしてステロイド治療です。