甲状腺内科

メルカゾールによる無顆粒球症とは?症状・頻度・治療と注意点を解説

メルカゾール(チアマゾール)による無顆粒球症とは?

無顆粒球症
バセドウ病の治療薬として広く使用されるメルカゾール(一般名:チアマゾール)には、まれに無顆粒球症という重篤な副作用が報告されています。発症頻度は低いものの、発見が遅れると命に関わる可能性もあり、注意が必要です。

無顆粒球症とは

白血球の一種である好中球が著しく減少した状態を指し、体の免疫力が大幅に低下します。その結果、通常であれば軽症で済むような細菌感染でも、重症化するリスクが高まります。

発生頻度と発症時期

  • 発生頻度:約0.2〜0.5%(200人〜500人に1人)
  • 発症時期:投与開始から2か月以内に約7割が発症

PMDA報告書長崎甲状腺クリニック参照

初期症状

以下の症状が見られた場合は、すぐに受診してください:

  • 38℃以上の発熱
  • 喉の痛み
  • 強い倦怠感

これらは風邪と似ており、見逃されやすいため注意が必要です。

治療法

無顆粒球症が疑われる場合、以下の対応がとられます:

  1. メルカゾールの中止
  2. 入院治療(感染予防、点滴等)
  3. G-CSF製剤(顆粒球コロニー刺激因子)の投与
  4. 必要に応じて抗菌薬・抗真菌薬の使用

参考:長崎甲状腺クリニック

予防と注意点

  • 投与開始から2か月間は2週間に1回の血液検査が推奨
  • 発熱・喉の痛みがある場合は風邪と自己判断せず受診
  • 過去に無顆粒球症を起こした方は再投与禁忌

まとめ

無顆粒球症は稀ではあるものの、重篤化する恐れのある副作用です。メルカゾールを安全に使用するためには、定期的な血液検査早期の異常発見が重要です。体調の変化に気づいたら、すぐに医師へご相談ください。


参考文献・出典

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