チアマゾール(メルカゾール)によるANCA関連血管炎は稀な副作用です。
1992年Stankusらによりプロピルチオウラシル(PTU)によるMPO-ANCA関連血管炎が報告されました(Stankus, S.J, et al: Propylthiouracil-induced hypersensitivity vasculitis presenting as respiratory failure. Chest 102: 1595-1596. 1992.)。これを皮切りに、甲状腺薬によるAAVが認知されてきました。
チアマゾール(MMI)によるANCA関連血管炎(AAV)は稀です。PTUによるものの40分の1から5分の1とされています。
成人例での報告では、PTU服用中ANCA関連腎炎および血管炎の発症率は、MMIに比べ約40倍でした(Yoshimura JN et al. J Clin Endocrinol Metab 94:2806-2811, 2009)。
わが国でのPTU服用中のAAV発症率をMMIの約5倍と見積る報告もあります(Jaedek Y. Noh, et al: Clinical Characteristics of Myeloperoxidase Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis Caused by Antithyroid Drugs. JCEM 94(8): 2806-2811.2009)。
MPO-ANCAが陽性であってもAAVを発症しない患者さんが多数存在することが知られています。MPO-ANCAの数値と重症度は相関しません。
甲状腺薬を内服して間もなく発症する例もあれば、10年以上経ってから発症する例もあります。
軽症例は甲状腺薬の中止だけで改善する場合もありますが、ステロイド治療が避けられないケースも多いです。