🔊 このページの要点
妊娠中や授乳中の甲状腺機能の異常は、赤ちゃんの発達に影響することがあります。
このページでは、胎児や乳児への影響、注意すべきポイントをわかりやすくまとめています。
🔍 要点まとめ|妊娠・授乳と甲状腺ホルモンの関係
- 胎児・乳児の神経発達には甲状腺ホルモンが不可欠
- 妊娠中・授乳中の甲状腺異常は早期発見と適切な管理が大切
- 新生児マススクリーニングで甲状腺機能低下症を早期に検出
- 当院では妊娠期の甲状腺管理や小児科との連携体制を整備

1. なぜ甲状腺ホルモンが胎児・乳児の発達に重要なのか
妊娠中、特に妊娠初期は胎児が母体の甲状腺ホルモンに依存しています。甲状腺ホルモンは、胎児の中枢神経系の発達、特に大脳皮質や小脳の形成に深く関与しており、ホルモンの不足は知的発達や運動発達に影響を及ぼす可能性があります[1]。
2. 妊娠中の甲状腺異常が胎児に与える影響
橋本病などの甲状腺機能低下症が未治療のまま妊娠を継続すると、以下のようなリスクが報告されています:
- 流産、早産、胎児発育不全
- 低出生体重児の出産
- 小児期の発達遅延(知的発達・運動発達)
また、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)では胎盤を通じてTSH受容体抗体が胎児に影響することもあり、胎児の甲状腺機能の監視が必要です[2]。
3. 授乳中の甲状腺機能異常と薬の影響
授乳中の甲状腺薬の服用については、以下のように整理されています:
授乳中も適切な薬剤管理のもとで、母体と乳児の健康を両立できます。
4. 赤ちゃんの甲状腺検査は必要?
日本では新生児マススクリーニングにより、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)を出生直後にチェックします[4]。
必要に応じて二次検査が行われ、小児内分泌専門医と連携して治療が開始されます。母親に甲状腺疾患がある場合でも、ほとんどの赤ちゃんは正常ですが、念のための追加評価が勧められることもあります。
5. 当院での診療体制と相談体制
しもやま内科では、甲状腺専門医が妊娠中・授乳中の方の診療を行っております。必要に応じて以下のような対応をしています:
- 妊娠判明時点での甲状腺ホルモン・抗体の評価
- 治療中の薬剤調整や継続可否の判断
- 出産後の母体管理や赤ちゃんのフォローアップ連携
「赤ちゃんに影響があるのでは…」と不安な方も、安心してご相談ください。
参考文献
- Glinoer D. The regulation of thyroid function in pregnancy: pathways of endocrine adaptation from physiology to pathology. Endocr Rev. 1997 Jun;18(3):404-33.
- 日本甲状腺学会 妊娠と甲状腺疾患に関する診療ガイドライン2021
- American Thyroid Association. Guidelines of the American Thyroid Association for the Diagnosis and Management of Thyroid Disease During Pregnancy and the Postpartum. Thyroid. 2017 Mar;27(3):315-389.
- 厚生労働省「新生児マススクリーニング事業の実施状況」および日本小児内分泌学会資料
❓ よくあるご質問とその答え(FAQ)
妊娠中に甲状腺機能異常があると、赤ちゃんに影響がありますか?
授乳中に甲状腺の薬(チラーヂンSなど)は飲んでも大丈夫ですか?
妊活中に甲状腺の異常が見つかったらどうすればいいですか?
赤ちゃんの発育に問題があった場合、甲状腺の影響かどうか調べられますか?
👨⚕️ この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎、下垂体など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。
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- 飯山満駅から徒歩約15分
- 甲状腺ホルモン採血とエコー検査が同日可能
- 産婦人科・小児科との連携体制あり
地域のママたちの健康と安心をサポートしています。