【要点まとめ】
- 脈圧(上の血圧と下の血圧の差)が65mmHg以上あると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)が、脈圧の増大や血圧の乱れに関与する可能性があります。
- 家庭で血圧を測定し、定期的な記録と医療機関での評価が大切です。
脈圧(血圧の上と下の差)が大きいのは要注意です
脈圧とは、上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)の差のことです。
通常、40〜50mmHgが正常範囲とされていますが、脈圧が65mmHg以上になると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇することが知られています。
(参考文献:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」p.65より)
これは、動脈硬化が進行しているサインと考えられています。
血圧には上の血圧と下の血圧がありますね。
上の血圧のことを、収縮期血圧といいます。下の血圧のことを、拡張期血圧といいます。
上下の血圧の差を脈圧といいます。

脈圧とは、上の血圧と下の血圧の差です。
脈圧は大動脈硬化の程度を反映します。
大動脈とは何でしょうか。大動脈は心臓から全身に血液を送り出す、最も太い動脈です。

大動脈の走行
大動脈は横隔膜を境に大きく胸部大動脈と腹部大動脈に分かれます。
胸部大動脈では、心臓から出てすぐの最も太い動脈を上行大動脈といいます。頭や腕へ血液を送る頚動脈などの中動脈を分枝しながら大きくUターンします。このUターン部を弓部大動脈といいます。次の胸の中で心臓の後ろをお腹に向かって降りてくる部位を下行大動脈と言います。
さらに、横隔膜を貫き腹部大動脈となります。腹部大動脈は肝臓、胃腸、腎臓などの腹部の臓器に血液を送りだす枝を出し、臍の高さで、骨盤内の内臓や左右の足を栄養する左右総腸骨動脈に分かれます。
なぜ脈圧が大きくなるの?
加齢や生活習慣の影響で血管が硬くなると、心臓から血液を送り出すとき(収縮期)の血圧が高くなり、拡張期の血圧は低くなります。
この差が開くことで、脈圧が大きくなってしまうのです。
動脈硬化の予防ポイント
- 高血圧をきちんと治療する
- 悪玉コレステロール(LDL)を減らす
- 糖尿病を放置しない
- 禁煙する
脈圧が大きい方は、血圧や動脈硬化のリスクを早めに評価し、必要に応じて対策を取ることが重要です。当院(船橋市・しもやま内科)では動脈硬化の予防に力を入れています。
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🧐 よくあるご質問(脈圧と健康について)
- Q. 脈圧とは何ですか?
- 脈圧とは「収縮期血圧(上の血圧)−拡張期血圧(下の血圧)」で計算される値で、血管の状態を知る重要な指標です。
- Q. 脈圧が広がっていると、どんなリスクがありますか?
- 脈圧が広いと、動脈硬化の進行や心血管疾患リスクの上昇が懸念されます。特に高齢者や高血圧の方は注意が必要です。
- Q. 正常な脈圧の目安はありますか?
- 一般に脈圧が40mmHg未満であれば正常とされますが、年齢や個人差もあります。継続的な測定と医師の評価が重要です。
- Q. 脈圧が高い原因には何がありますか?
- 高血圧、動脈硬化、心臓の弁の異常、または睡眠時無呼吸症候群(SAS)などが脈圧上昇の要因となります。
- Q. 睡眠時無呼吸症候群と脈圧は関係していますか?
- はい。SASでは交感神経の過剰刺激により血圧が不安定になり、脈圧が広がる傾向があります。
- Q. 自宅で脈圧をチェックできますか?
- はい。一般的な血圧計で上と下の血圧を測定し、差をとることで簡易的に脈圧を確認できます。
- Q. 脈圧が気になるときは、どうすればよいですか?
- まずは医療機関での詳細な評価をおすすめします。必要に応じて睡眠時無呼吸の検査や心血管リスクのチェックも行います。
▶ 高血圧と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、早朝高血圧や夜間高血圧を引き起こすことが知られており、治療によって血圧の正常化が期待できるケースもあります。
特に、CPAP(持続陽圧呼吸療法)によって高血圧が改善されたという報告も多数あります。
下の血圧(拡張期)も見逃さないで
上の血圧ばかり注目されがちですが、下の血圧が高いのも重要なリスク因子です。
詳しくは以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
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脈圧が大きくて不安な方は、しもやま内科にご相談ください。
この記事の監修医師
下山 立志 医師(しもやま内科 院長)
総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医・老年病専門医
千葉県船橋市にて、高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群の専門診療を行っています。