夜間頻尿でお困りの方、夜間の頻尿と睡眠時無呼吸症候群には大きな関係があるのをご存知でしょうか。夜間に1回以上排尿のためトイレに起きてしまうことを夜間頻尿といいます。
日本泌尿器科学会によれば40歳以上の男女で、約4,500万人が夜間1回以上排尿のために起きる夜間頻尿の症状を持っており、しかも加齢とともに頻度が高くなるとされています。4,500万人と言えば、日本人の3人に1人以上が頻尿の傾向があるということになります。若年層はそうでもないでしょうから、中高年に限って言えばもっと高頻度にみられると考えるべきでしょう。
加齢によって心機能、腎機能が落ちてくると、夜間に処理せねばならない仕事が増えるので夜間頻尿になりがちです。糖尿病による多尿もそれを助長するでしょう。また、加齢によって膀胱の尿を溜める力が落ちるのもひとつの原因です。男性の場合は前立腺肥大などもそれを助長します。女性の場合は骨盤底筋のゆるみや年齢的な筋肉の衰えなども関係してきます。
SASの改善が、夜間頻尿の減少にも繋がることが国内外でも睡眠に関する専門家らによって指摘されています。
その理由は、抗利尿ホルモンが影響しています。
本来、尿は日中に多く作られ、睡眠時は抗利尿ホルモン(尿量を少なくするホルモン)が分泌され夜間の尿を作る量が制限されます。そのため、夜間は排尿をしなくてすむため安眠することができます。しかし、SASなどの睡眠障害があると、眠りが浅くなり、トイレに起きてしまいやすくなります。また、抗利尿ホルモンが分泌されにくくなり、尿の量も増えてしまうのです。
SASによる低酸素症は心臓に負担をかけ、循環血漿量が増えます。心臓が回すべき血液の量が増えて心臓の負担が増大してしまうのです。その負担を軽減するための生体防御反応として、心房性ナトリウム利尿ホルモンが放出され体内の水分を尿として体外へ出そうとするようになります。これが夜間頻尿をもたらします。
SASの方は無呼吸状態によって血液中の酸素濃度が低下し、血圧や心拍数の上昇を招くことで交感神経が優位となるため、膀胱が収縮しやすく、尿意を感じやすい状態になります。
これらの要因が絡み合い、夜間頻尿をもたらしています。
なかなか良くならない夜間頻尿。もしかしたら睡眠時無呼吸症候群が原因かもしれません。お困りの方はご相談ください。