橋本病と更年期障害の関係|ホルモン変化に注意すべきポイントを解説

🔍 要点まとめ|橋本病と更年期障害の関係

  • 更年期の不調(疲れ・気分の波・ほてり・動悸など)は、橋本病の症状と類似することが多い
  • 女性ホルモン(エストロゲン)と甲状腺ホルモンは相互に影響し、更年期で橋本病が顕在化するケースも
  • 症状だけでの鑑別は難しく、TSH・FT4・抗体検査+甲状腺エコーの組み合わせが有効
  • 甲状腺専門医のいるしもやま内科では、更年期世代の体調不良にも適切に対応可能

更年期にさしかかる女性の中には、「疲れやすい」「気分が落ち込む」「ホットフラッシュがつらい」といった症状に悩まされる方が少なくありません。しかし、こうした症状の中には、甲状腺疾患(特に橋本病)によって引き起こされている可能性もあります。

このページでは、橋本病と更年期障害の関係性や見分け方、治療のポイントについて甲状腺専門医が解説します。しもやま内科では、女性のライフステージに寄り添った診療を行っています。


橋本病と更年期の関係をわかりやすく解説|女性ホルモンとの関係に注意|船橋市の内科・しもやま内科

1. 更年期と女性ホルモンの変化

女性は40代後半から50代前半にかけて、卵巣機能の低下とともにエストロゲン分泌が減少し、心身に様々な変化が現れます。これがいわゆる「更年期障害」と呼ばれる状態です。

  • ホットフラッシュ(顔の火照り、のぼせ)
  • 発汗・動悸・めまい
  • イライラ、不安感、抑うつ
  • 不眠、疲労感、関節痛

こうした症状は、甲状腺機能異常とも非常に類似しているため、慎重な鑑別が必要です。


2. 橋本病と更年期の症状の違いと類似点

橋本病は自己免疫性甲状腺炎であり、甲状腺機能低下症を引き起こす疾患です。甲状腺ホルモンが不足すると、全身の代謝が低下し、以下のような症状が現れます:

  • 倦怠感、眠気、気分の落ち込み
  • 体重増加、便秘、むくみ
  • 寒がり、皮膚の乾燥、脱毛

これらは更年期障害と重なる症状も多いため、両者の鑑別が非常に重要です。

出典: 日本甲状腺学会「甲状腺機能低下症診療ガイドライン2023」


3. 更年期に橋本病が発見される理由

更年期に橋本病が発見される背景には、以下の要因があります:

  • 更年期の症状がきっかけで検査を受ける
  • エストロゲンの減少が自己免疫の活性化を誘発し、橋本病の発症を後押しする
  • もともと潜在的な橋本病があったが、更年期で悪化する

更年期世代は橋本病の発症・顕在化リスクが高いため、症状が出たら甲状腺ホルモンの検査を行うことが推奨されます。


4. 「更年期障害か橋本病か」判断するには?

臨床的な症状だけでは鑑別が難しいため、以下の検査が有用です:

  • 血液検査:TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4、FT3、抗TPO抗体
  • エコー検査:甲状腺の腫大や性状の確認

検査により橋本病による甲状腺機能低下症が確認された場合、レボチロキシン(チラーヂンS)による補充療法が開始されます。


5. 更年期+橋本病がある場合の対処

橋本病がある方が更年期を迎える場合、以下のような管理が必要です:

  • 甲状腺ホルモンの適切な補充と定期的なモニタリング
  • HRT(ホルモン補充療法)は慎重に検討(甲状腺機能が安定していることが前提)
  • 不安・気分変調に対しては精神面でのサポートも重要

参考: American Thyroid Association Guidelines for Hypothyroidism (2014)


6. 当院での診療の特徴

しもやま内科では、甲状腺専門医が在籍しており、更年期症状に悩む女性に対して、必要に応じて以下の対応を行います:

  • 血液検査(TSH、FT4、抗体)+甲状腺エコーの同日対応
  • 橋本病の診断・治療方針の説明とフォローアップ
  • 必要に応じて婦人科と連携してHRTの併用判断

「更年期かな?」と思ったら、まずは甲状腺機能のチェックを。


❓ よくあるご質問とその答え(FAQ)

橋本病があると更年期障害は悪化しますか?

ホルモンバランスが不安定になる更年期は、橋本病の症状が強く現れることがあります。TSHの上昇や気分変調などがみられるため、定期的なチェックが重要です。

更年期障害と橋本病の症状はどう見分けますか?

倦怠感、ほてり、発汗、不安感などはどちらにも共通する症状です。血液検査(TSHやFT4)や甲状腺エコーでの鑑別が有効です。

橋本病の治療中にホルモン補充療法(HRT)を併用してもよいですか?

甲状腺機能が安定していれば、HRTの併用は可能ですが、主治医とよく相談し、慎重に判断する必要があります。

年齢を重ねると橋本病は悪化しますか?

加齢によって甲状腺機能が徐々に低下することがあります。TSHの上昇などが見られる場合は、治療方針の見直しが必要です。

更年期の症状と橋本病の症状は似ていますか?

はい、似ている部分があります。どちらも疲れやすさ、気分の落ち込み、ほてり、動悸などの症状が出ることがあります。違いを見極めるためには甲状腺ホルモンの検査が有効です。

橋本病は更年期に悪化しますか?

更年期のホルモン変化が橋本病の症状を目立たせることがあります。特に甲状腺機能が低下している場合、女性ホルモンの低下と相まって体調不良を感じやすくなる傾向があります。

更年期障害と橋本病、どうやって見分けるのですか?

血液検査で甲状腺ホルモン(TSH、FT4、FT3)や甲状腺自己抗体を測定することで、橋本病の有無や機能低下の有無が判別できます。

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎、下垂体など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

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23/07/2025