🔊 このページの要点
体重増加やコレステロール・中性脂肪の異常は、生活習慣だけでなく甲状腺や副腎などホルモンの病気が関わっていることもあります。
しもやま内科では、体重・脂質・血糖・ホルモンをまとめて評価し、「どこまで生活習慣の問題なのか」「ホルモンの検査や専門病院の受診が必要か」を整理したうえで治療方針を一緒に検討します。

ホルモンと代謝の関係を説明する内科医のイメージ図
「体重がなかなか減らない」「健康診断でコレステロールや中性脂肪が毎年ひっかかる」「生活を見直してもなかなか良くならない」――
体重と脂質の問題は、多くの方が悩まれるテーマです。
一般的には食事と運動が大切ですが、それだけでは説明できないケースもあります。
実は、甲状腺や副腎、性ホルモンなどの異常が隠れていることもあり、内分泌の視点からチェックすることが大切です。
ここでは、体重増加と脂質異常を「内分泌・代謝」の立場から整理し、しもやま内科での検査と治療の流れをご紹介します。
体重・脂質の問題は「内分泌・代謝」の病気とも関係します
肥満・脂質異常症と生活習慣病のリスク
体重増加や肥満、コレステロール・中性脂肪の異常は、
糖尿病・高血圧・脂肪肝・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクを高めることが知られています。
特に、内臓脂肪型肥満や中性脂肪高値(TG高値)、HDLコレステロール低値は、
メタボリックシンドロームとして動脈硬化の重要な危険因子と考えられています。
「食べすぎ・運動不足」だけでは説明できないケースも
一方で、次のような場合にはホルモンや代謝の病気を疑うことがあります。
- 急に体重が増えた/減った
- むくみ・冷え・だるさなど、他の症状も強い
- 食事量は多くないのに体重が増え続ける
- 家族に若い頃からコレステロールが高い人が多い
- 薬をきちんと飲んでいるのにLDLコレステロールが下がらない
こうした場合、生活習慣の見直しと並行して、内分泌の観点から原因を確認することが大切です。
ホルモンの病気が隠れていないかチェック
甲状腺機能低下症と体重増加・コレステロール
甲状腺ホルモンは、全身の代謝をコントロールするホルモンです。
甲状腺機能が低下すると、
- 体重が増えやすい・むくみやすい
- 寒がり・だるさ・眠気
- LDLコレステロールや中性脂肪が高くなる
といった症状が出ることがあります。
健診で脂質異常を指摘された場合、甲状腺ホルモン(TSH・FT4)のチェックも重要です。
クッシング症候群(副腎の病気)
副腎から分泌されるコルチゾールが過剰になると、
- 顔が丸くなる・お腹まわりにだけ脂肪がつく
- 血圧・血糖・コレステロールが上がる
- 皮下出血しやすい・骨粗鬆症
といった症状が出ることがあります。
ステロイド薬を長期間使用している場合にも似た状態になりますので、
生活習慣だけでは説明できない肥満や脂質異常がある場合は、副腎ホルモンも含めて慎重に評価します。
性ホルモン・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など
女性では、月経不順・多毛・ニキビなどを伴う多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や、
閉経前後のホルモン変化が体重や脂質異常に影響していることがあります。
男性でも、テストステロンの低下が肥満・メタボ・筋力低下に関わることがあります。
薬剤性・家族性の脂質異常症
一部の降圧薬・利尿薬・ホルモン剤・免疫抑制薬などで脂質が上がることがあります。
また、家族性高コレステロール血症のように、
若い頃からLDLコレステロールが非常に高いタイプもあり、早期からの治療が必要です。
当院で行う検査の流れ
しもやま内科では、体重・脂質異常の背景にある病態を整理するため、次のような検査を組み合わせます。
血液検査(脂質・血糖・ホルモンなど)
- 脂質:総コレステロール、LDL-C、HDL-C、中性脂肪
- 血糖関連:空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性の評価 など
- 甲状腺ホルモン:TSH、FT4 など
- 副腎関連:コルチゾール、ACTH(必要な場合)
- 肝機能:AST、ALT、γ-GTP など
肝機能・脂肪肝の評価
脂質異常や肥満がある方では、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD/NASH)が隠れていることも少なくありません。
採血で肝機能を確認し、必要に応じて腹部エコー検査を行います。
必要に応じた追加検査・専門病院への紹介
ホルモン異常や家族性高コレステロール血症が疑われる場合には、
詳細な負荷試験や遺伝学的検査が可能な基幹病院と連携して検査を進めます。
治療の考え方:生活習慣+薬物療法+専門医連携
目標体重・目標LDL-Cのイメージ
体重については、いきなり「理想体重」を目指すのではなく、
まずは現在の体重から5%程度減量することを一つの目安とします。
脂質については、動脈硬化のリスク(糖尿病の有無・喫煙・高血圧・家族歴など)に応じて、
内科ガイドラインを参考にLDLコレステロールの目標値を設定します。
食事・運動療法のポイント
食事療法では、カロリーだけでなく脂質の質(飽和脂肪酸・トランス脂肪酸のとりすぎ)や
糖質のとり方にも注意します。
運動は、無理のない有酸素運動+筋力トレーニングを組み合わせることで、
内臓脂肪減少やインスリン抵抗性の改善が期待できます。
糖尿病・脂質異常症・肥満症に対する薬物療法
生活習慣の改善だけでは目標達成が難しい場合は、
- スタチン、エゼチミブなどの脂質低下薬
- 糖尿病薬(SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬などを含む)
- 肥満症に保険適応のある薬剤(適応条件を満たす場合)
などを組み合わせて検討します。
それぞれの薬には向き不向きや注意点がありますので、全身の状態や他の薬とのバランスを見ながら選択します。
専門外来(肥満外来・循環器・肝臓)との連携
内科クリニックでの治療だけでは十分でない場合や、
心臓・脳・肝臓の精査が必要な場合には、地域の基幹病院の
循環器内科・肝臓内科・肥満外来などと連携して診療を行います。
当院でのフォローと専門病院での治療をうまく組み合わせることで、通院負担を抑えつつリスク管理を行うことを目指します。
「こんなときは相談をおすすめします」
- 毎年、健診でコレステロール・中性脂肪が高いと言われる
- 体重が増え続けているが、どこから手をつければよいか分からない
- 薬を飲んでいるのにLDLコレステロールが目標まで下がらない
- 脂肪肝を指摘されており、将来の肝臓病が心配
- 体重増加とともに、疲れやすさ・むくみ・冷え・月経不順なども出てきた
- 家族に若い頃からコレステロールが高い人や、心筋梗塞になった人がいる
「まずは数値とリスクを整理したい」「ホルモンの病気が隠れていないかだけ確認したい」といったご相談でも構いません。
一人ひとりの状況に合わせて、検査の範囲や治療の優先順位を一緒に考えていきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 体重は「何kgまで減らさなければいけない」と決まっているのでしょうか?
A. 厳密な理想体重にこだわる必要はありません。
まずは現在の体重から5%程度の減量を目標とするだけでも、血糖・血圧・脂質・脂肪肝などの改善が期待できます。
そのうえで、無理のない範囲で長く続けられる目標設定を一緒に考えていきます。
Q2. コレステロールの薬を飲み始めたら、一生やめられませんか?
A. すべての方が一生飲み続けるわけではありませんが、動脈硬化のリスクが高い方は、長期的な継続が望ましいことも多いです。
体重や生活習慣の改善、他の病気の有無などを踏まえ、定期的に「本当に今も必要か」を見直しながら調整していきます。
Q3. 甲状腺の薬を飲めば、やせやすくなりますか?
A. 甲状腺機能低下症があり、適切な量の甲状腺ホルモンを補うことで、むくみやだるさが改善し、体重が戻ることはあります。
ただし、甲状腺ホルモンを「やせ薬」として多めに使うことは危険で、心臓に負担をかけるなどの副作用があります。
必要量を守りながら、食事と運動を組み合わせて体重管理を行うことが大切です。
Q4. 脂肪肝は放っておいても大丈夫ですか?
A. 多くの脂肪肝は生活習慣の改善で良くなりますが、一部は肝炎や肝硬変・肝がんに進行することがあります。
糖尿病や肥満・脂質異常症がある方では、脂肪肝の評価と並行して血糖・血圧・脂質の管理を行うことが大切です。
Q5. 家族性高コレステロール血症が心配です。何を目安に考えればよいですか?
A. 若い頃からLDLコレステロールが非常に高い(例:180mg/dL以上)、両親や兄弟に若い年齢で心筋梗塞になった方がいる、アキレス腱や手の甲にコブのような脂肪沈着がある、といった場合は家族性高コレステロール血症を疑います。
必要に応じて、基幹病院と連携して詳しい評価や治療を行います。
Q6. ダイエット薬やサプリメントだけで治すのは危険ですか?
A. 海外のダイエット薬や未承認サプリメントの中には、心臓や肝臓に負担をかけるものも報告されています。
体重や脂質の問題は、安全性の確認された治療と生活習慣の改善を組み合わせて行うことが重要です。
現在使用中のサプリメントなどがあれば、診察時にお知らせください。
船橋市周辺で体重増加・脂質異常の相談先をお探しの方へ
しもやま内科は、千葉県船橋市にある内科クリニックです。
糖尿病や脂質異常症、甲状腺・副腎など内分泌疾患を専門とし、体重やコレステロールの問題を「ホルモンと代謝」の視点から総合的に評価しています。
- 体重が増え続けていて将来が不安な方
- コレステロール・中性脂肪が高く、薬を始めるか迷っている方
- 甲状腺や副腎など、ホルモンの病気が隠れていないか確認したい方
船橋市・習志野市・八千代市・鎌ケ谷市など近隣エリアからの受診も多くあります。
受診をご希望の際は、代表電話 047-467-5500 までお問い合わせください(Web予約は行っておりません)。
👨⚕️ この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医糖尿病、脂質異常症、甲状腺・副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。