褐色細胞腫

24/11/2018

褐色細胞腫とは

pheochromocytoma

褐色細胞腫とは、腎臓の上にある副腎という小さな臓器から発生する腫瘍です。副腎は構造的により表面に近い皮質と、副腎の中心に位置する髄質の二つに分かれています。褐色細胞腫はそのうち髄質から発生する腫瘍です。

褐色細胞腫は10% desease

学生の頃、褐色細胞腫は10% disease(=病気)であると習いました。褐色細胞腫のうち10%ほどで悪性のものがあり、また10%ほどの割合で副腎以外の臓器(頸部・胸部・膀胱付近などの傍神経節)にも褐色細胞腫が発生します。さらに家族性の発生や、両側性副腎での発生がそれぞれ約10%みられます。

疫学的に男女差はなく、発症年齢は20代〜40代が多くなっています。現在(2017年現在)日本における褐色細胞腫の患者数は約2,000人で、そのうち約10%にあたる200人が悪性の褐色細胞腫を有する患者さんであると推定されています。

褐色細胞腫の病態

副腎髄質から分泌されるホルモンであるカテコラミンが過剰に分泌されるため、高血圧症になります。また耐糖能障害(糖尿病やその予備軍)になります。高血圧はその85%に認めます。高血圧のタイプには持続型、発作型、混合型があります。色々な刺激(運動、ストレス、過食、排便、飲酒、腹部の触診など)でカテコラミン分泌が高まり、高血圧発作が誘発されます。これを褐色細胞腫クリーゼ・高血圧クリーゼと呼びます。頭痛、動悸、発汗、顔面蒼白、体重減少など様々な症状を示します。

高血圧、高血糖、代謝亢進をHoward三主徴と呼びます。

褐色細胞腫の検査

血液検査、画像検査で診断は容易です。血中・尿中カテコラミンと代謝産物の増加、および画像検査で腫瘍を確認します。

褐色細胞腫の治療

多くの場合、腫瘍の摘出で高血圧、カテコラミンは正常化します。最大の課題は悪性例で、内分泌性高血圧のなかで悪性の割合が最も高くなっています。鑑別は難しいため、全身検索、摘出組織の検索、定期的経過観察が必要になります。悪性例に対しては手術・化学療法・放射線など就学的治療を行います。