PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)でも妊娠できる|船橋しもやま内科

「先生、PCOSだと言われたんですけど、妊娠できるんでしょうか?」

30代前半の患者さんが、初診でそう尋ねてきました。不妊治療を2年ほど続けていたそうですが、原因がはっきりせず、ようやく近くの婦人科で「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」と診断されたそうです。「インターネットで調べたら、流産のリスクとか妊娠糖尿病とか、怖いことが書いてあって…」と、目がうるんでいました。

実はこの方のように、PCOSと診断されて妊娠を諦めかけている方は、当院でも少なくありません。でも、私が伝えたいのは「PCOSだから妊娠できないわけではない」ということです。適切な管理をすれば、多くの方が健康な赤ちゃんを出産されています。当院では甲状腺・糖尿病専門医として、PCOSの患者さんの妊娠管理も行っています。

PCOSで妊娠しにくい理由:単純な話じゃない

PCOSの方が妊娠しにくいのは、主に「排卵がうまくいかない」からです。卵巣に小さな嚢胞がたくさんできて、ホルモンのバランスが乱れるんですね。特にインスリンの効きが悪くなると、卵巣で男性ホルモンが増えて、排卵が止まってしまいます。

でも、それだけが原因ではありません。実はPCOSの方の約20〜30%には甲状腺の機能低下も合併しているんです。甲状腺ホルモンが低いと、排卵障害がさらに悪化します。つまり、PCOSの治療だけでなく、甲状腺の管理も同時に行う必要があるんです。

当院では、妊娠を希望されるPCOSの患者さんには、必ず甲状腺機能(TSH、FT4)も一緒にチェックしています。「甲状腺の数値が少し高めだったから、妊娠しにくかったのかも」と気づく方もいらっしゃいます。

当院で実際に行っている妊娠支援:3つの柱

1. まずは体重を5%減らす:最も効果的な一歩

PCOSの方で、体重が標準より少し重い場合、まずは「5%体重を減らす」ことをおすすめしています。例えば60kgの方なら3kg減らすだけで、排卵が再開する可能性が大きく上がります。

先日の患者さんは、半年かけて4kg減らしただけで、自然に排卵が確認できるようになりました。「ダイエットなんて難しいと思ってたけど、糖質を少し減らして週に2回散歩するだけでできました」と言っていました。

極端なダイエットは逆効果なので、無理のない範囲で続けられる方法を一緒に考えます。糖質の摂取を減らし、低GI食品を中心に食べる。週に150分程度の有酸素運動。これだけでかなり変わります。

2. 薬でインスリン抵抗性を改善する

生活習慣の改善だけで十分な方もいますが、中には薬の助けが必要な方もいます。当院では主にメトホルミンという薬を使います。これはインスリンの働きを良くし、排卵を促進する効果があります。

「メトホルミンを飲み始めて2か月後、基礎体温に変化が出てきました」という方もいらっしゃいました。ただ、胃腸の調子が少し乱れることがあるので、食事と一緒に服用するタイミングを調整しながら始めています。

3. 甲状腺は妊娠前からしっかり管理

当院の強みは、内科(糖尿病・甲状腺)と産科の連携です。PCOSの方は甲状腺機能低下症を合併しやすいので、妊娠前にTSHを2.5以下にするのが目安です。妊娠が確認できたら、さらに厳密に甲状腺ホルモンを管理していきます。

「妊娠してから毎月血液検査とエコーをしてもらって、安心して通えました」という声を、患者さんからよく聞きます。妊娠中の血糖管理も同時に行うので、妊娠糖尿病の予防にもつながります。

妊娠中に気をつけること:当院での管理ポイント

PCOSで妊娠された場合、流産や妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群のリスクがやや高くなります。だからこそ、妊娠初期からきちんと管理することが大切です。

当院では、妊娠が確認できたらまず早期のエコー検査を行い、胎嚢の確認と発育状況をチェックします。その後、以下のタイミングで管理を続けます:

  • 妊娠6週以降:定期エコーで胎児の発育を確認
  • 妊娠24〜28週:75gOGTT(妊娠糖尿病のスクリーニング)
  • 毎回の受診:血圧測定と体重管理
  • 毎月:TSH・FT4(甲状腺機能チェック)

「毎回来るのが大変かもしれない」と思われる方もいるかもしれませんが、実際は産科と連携して通院回数を調整しています。無理のない範囲で、必要なタイミングだけしっかりチェックするスタイルです。

よくある質問

Q. PCOSだと自然妊娠は難しいですか?
A. 必ずしもそうではありません。体重を少し減らしたり、メトホルミンでインスリン抵抗性を改善したりすることで、自然に排卵が戻る方は少なくありません。ただ、1年以内に自然妊娠できない場合は、婦人科での排卵誘発剤の使用を検討します。

Q. 流産のリスクはどれくらい高いですか?
A. PCOSの方は流産リスクが1.5〜2倍程度高くなると言われています。でも、早期から黄体ホルモンを補充したり、インスリン抵抗性を改善したりすることで、リスクはかなり下げられます。「絶対流産する」わけではないので、過度に心配しないでください。

Q. 妊娠糖尿病になりやすいですか?
A. はい、PCOSの方は妊娠糖尿病のリスクがやや高くなります。だからこそ、妊娠中は食事療法を中心に、血糖をコントロールしていきます。メトホルミンは妊娠中も継続できる場合がありますので、相談してください。

まずは気軽に相談して

PCOSで妊娠を諦めかけている方、ぜひ一度当院に相談してください。甲状腺と糖尿病の専門医が、あなたに合った妊娠プランを一緒に考えます。産科との連携も万全です。

電話予約:047-467-5500
診療時間:月・火・木・金 9:00〜12:00、14:45〜17:30/土曜 9:00〜12:00(水日祝休診)

📅 2025年9月7日に公開・2026年5月18日に最終更新 | 👨‍⚕️ 監修:しもやま内科 院長(甲状腺・糖尿病 専門医)

07/09/2025