膵臓には、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌細胞(ランゲルハンス島)があり、これらが腫瘍化すると膵内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumors: pNETs、またはPNET)と呼ばれます。pNETsは膵臓腫瘍全体の1–2%を占める稀な腫瘍ですが、近年画像診断の進歩により発見頻度が増加しており、米国SEERデータでは1975年から2021年にかけて発生率が約7.75倍に上昇したと報告されています(主に偶発発見の増加によるものと考えられます)。機能性pNETsでは、過剰ホルモン分泌により特徴的な症候群が生じ、インスリノーマによる低血糖発作やグルカゴノーマによる壊死性遊走性紅斑(NME)などが代表的です。
膵内分泌腫瘍の主な種類
インスリノーマ
最も頻度の高い機能性pNETs(機能性pNETsの35–40%)で、インスリン過剰分泌により反復性の低血糖(Whippleの三徴:低血糖症状、低血糖値、ブドウ糖投与で症状改善)が起こります。神経低血糖症状(意識障害、けいれん、混乱など)が90%にみられ、自律神経症状(発汗、動悸など)が60–70%にみられます。診断のゴールドスタンダードは72時間絶食試験で、ほぼ98%が72時間以内に低血糖を発症します(Endocrine Societyガイドライン)。良性率が高く(90%以上)、悪性は10%程度です。
グルカゴノーマ
グルカゴン過剰により壊死性遊走性紅斑(NME: 67–90%)、糖尿病(38–87%)、体重減少(66–96%)などのグルカゴノーマ症候群を呈します。NMEは特徴的な皮膚症状で診断の手がかりとなり、血中グルカゴン値>1,000 pg/mLでほぼ確定します。悪性率が高く(約75%)、診断時には転移を伴うことが多いです。
複合内分泌腫瘍症候群(MEN)
複数の内分泌臓器に腫瘍が発生する遺伝性疾患で、MEN1ではpNETs(特に非機能性やインスリノーマ、ガストリノーマ)が80%以上の患者に生涯で発生します(MEN1の有病率1/20,000–40,000)。MEN2A/2Bでは主に甲状腺髄様癌が中心ですが、MEN1でpNETsのリスクが顕著に高まります。
当院での診療内容
当院では、エビデンスに基づいた診断・評価を進めています。
- 血液検査:血糖、インスリン、グルカゴン、Cペプチド、クロモグラニンA(CgA)など(CgAは多くのpNETsで上昇)
- 画像検査の紹介:腹部エコー・CT・MRI、オクトレオタイドシンチグラフィー(ソマトスタチン受容体イメージング)
- 72時間絶食試験:インスリノーマ疑いの低血糖原因評価(感度ほぼ100%)
- 専門医療機関との連携:手術や分子標的薬(エベロリムス、スニチニブ)、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)が必要な場合に迅速紹介
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📍 船橋市で膵内分泌腫瘍のご相談は:しもやま内科(船橋市芝山)では、pNETs(インスリノーマ、グルカゴノーマなど)のスクリーニングから専門医療機関との連携まで対応しております。反復する低血糖、特徴的な皮膚症状(NME)、糖尿病の新規発症などでご不安な方は、どうぞお気軽にご相談ください。丁寧に検査を行い、最適な対応をご提案いたします。