シックデイ対処法

「風邪を引いたら、糖尿病の薬はどうすればいいの?」「食欲がないけど、インスリンは打ったほうがいい?」——シックデイ(体調不良時の対応)は、糖尿病治療の中で最も戸惑う場面のひとつです。私のところに来る患者さんからも毎年のように質問があります。今回は、シックデイの基本ルールをおさらいします。

シックデイってどんな状態?

「シックデイ」とは、風邪・インフルエンザ・胃腸炎・発熱・下痢・嘔吐など、体調が悪いときのことを指します。糖尿病の方が体調を崩すと、普段よりも血糖値が乱高下しやすくなります。

なぜかというと、体が感染症と闘うためにストレスホルモン(コルチゾールやアドレナリン)が分泌され、それが血糖値を上げるからです。一方で、食欲がなくて食事が摂れないと低血糖のリスクもあります。つまり、「上がるリスク」と「下がるリスク」の両方に注意が必要——これがシックデイ対応の難しいところです。

シックデイの3つの基本ルール

ルール1:絶対に自己判断で薬やインスリンを中止しない

「食べてないから薬はやめておこう」——これが一番危険です。体調不良時はむしろ血糖値が上がる傾向にあるので、自己判断で中止すると高血糖やケトアシドーシスのリスクがあります。必ず医師の指示に従ってください。

ルール2:こまめに水分を摂る

発熱や下痢で脱水になりやすいです。スポーツドリンクは糖分が多いので、経口補水液(OS-1など)か、水か麦茶を少しずつこまめに摂りましょう。どうしても食欲がない場合でも、水分だけは摂ってください。

ルール3:血糖値をいつもより頻繁に測る

普段1日2回の方でも、シックデイは4〜6時間ごとに測るのが理想です。低血糖と高血糖、どちらに傾いているかの把握が治療の判断に欠かせません。

こんな時はすぐに医療機関に連絡を

  • 血糖値が250mg/dL以上が続く
  • 尿ケトン体が陽性(ケトン体試験紙がある場合)
  • 嘔吐や下痢が続いて水分が摂れない
  • 意識がもうろうとしてきた
  • 息から甘いアセトン臭がする
  • 38度以上の高熱が続く

❓ よくある質問

SGLT2阻害薬を飲んでいる場合の注意点は?
SGLT2阻害薬(フォシーガ、ジャディアンスなど)はシックデイの際にケトアシドーシスのリスクが高まることが知られています。体調不良時は医師の指示がない限り休薬するのが原則です。必ずかかりつけ医に相談してください。
インスリンは減らす?増やす?
これが一番難しい質問です。基本的には「高血糖なら増やす、低血糖なら減らす」ですが、シックデイでは両方のリスクが行ったり来たりします。あらかじめ主治医と「もしもの時の対応」を決めておくことを強くおすすめします。
シックデイの時に食べられるものは?
お粥・うどん・ゼリー飲料・スープなど。糖質が含まれているものを少量ずつ摂るのがポイントです。まったく食べないと低血糖のリスクがあるので、無理のない範囲で口にしてください。

「体調が悪いときの糖尿病の薬、どうする?」——迷ったら、まず電話してください。

月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00

☎ 047-467-5500

📅 2026年5月1日に公開・2026年5月9日に最終更新 | 👨‍⚕️ 監修:しもやま内科 院長(甲状腺・糖尿病 専門医)

01/05/2026