「HbA1cの目標値はどのくらい?」「糖尿病って治るんですか?」「食事だけでどうにかなりますか?」——診察室で毎日のように聞かれる質問です。このページでは、糖尿病について患者さんからよくいただく疑問を、専門医がカテゴリ別にわかりやすくお答えします。
「ちょうどいい情報がなかなか見つからなくて…」という方は、ぜひ最後までご覧ください。体重や血糖値にお悩みの方、健康診断で引っかかった方、治療を始めるか迷っている方——一人ひとりの状況に合わせた答えを、ここにまとめました。
🔴 すぐに受診が必要な場合
・のどが異常に渇いて何度もトイレに行く(数週間で体重が急に減った)
・血糖値が250mg/dL以上で、吐き気・腹痛がある
・意識がぼんやりする、呼びかけに反応が鈍い
→ 当院(047-467-5500)へご連絡ください。救急の場合は119番もご検討を。
🟠 1〜2週間以内の受診をおすすめする場合
・健康診断で初めて「血糖値が高い」と言われた
・HbA1cが7.0%を超えている
・手足のしびれや目のかすみを感じる
→ 早めの予約をおすすめします。047-467-5500へ。
🩺 検査・診断について
Q. HbA1cの目標値はどのくらいですか?
治療目標の目安は 7.0%未満 です。日本糖尿病学会のガイドラインでも、多くの患者さんでこの値が推奨されています。
ただし、年齢や合併症の有無、低血糖リスクによって個別に調整します。例えば80代で転倒リスクがある方なら「低血糖を起こさないこと」を最優先に、7.5〜8.0%程度を目標にすることもあります。一方、40代で合併症がない方なら6.5%未満を目指すことも可能です。年齢や生活に合わせて、無理のない目標を一緒に決めましょう。
Q. 血糖値は1日何回測ればいいですか?
治療内容によって異なります。
- インスリン治療中:1日4回(朝・昼・晩・睡前)が基本です。
- 内服薬のみ:週2〜3回、空腹時と食後2時間を測る程度で大丈夫です。
- CGM(持続血糖モニター)を使用中:センサーが自動記録するので、スマホで確認するだけ。当院でも対応可能です。
測定は「面倒」と思われがちですが、記録をつけると「外食の日は高い」「運動した日は低い」というパターンが見えてきます。食事や運動のアドバイスを具体化できるので、とても大切です。
Q. 健診で「血糖値が高い」と言われました。すぐに受診すべきですか?
はい、早めの受診をおすすめします。血糖値の上昇は糖尿病の初期サインです。
健診でHbA1cが6.0%以上、空腹時血糖が100mg/dL以上の場合は、一度精密検査を受けましょう。早期発見・早期治療が、合併症を防ぐ最も確実な方法です。当院では75gOGTT(経口糖負荷試験)など、詳細な血糖評価を行っています。
💊 治療について
Q. 糖尿病は治る病気ですか?
現在の医学では、2型糖尿病は「完治」よりも「コントロール」が基本です。ただし、早期に生活習慣を改善すれば、薬なしでも良好な血糖値を長期間維持できる「寛解(かんかい)」が可能なケースがあります。
たとえば発症から間もない方で、体重を5〜10%減らし、食後血糖の上昇を抑える生活を続けることで、投薬なしでHbA1c 6.5%未満を維持できる方もいます。ただし自己判断での薬中断は危険です。必ず医師と相談しながら進めましょう。
Q. 糖尿病の薬は一生飲み続けなきゃいけない?
ケースバイケースです。先日も、2年間薬を飲んでいた60代の女性が糖質調整と散歩でHbA1cが6.2%まで改善し、減量・減薬ができました。数か月後には服薬なしで安定しています。
ただし、これは医師の指導のもとで行ったものです。急に自分で止めると血糖値が跳ね上がり、むしろ危険です。血糖値の変化を見ながら、医師と一緒に調整していくことが何より大事です。
Q. インスリン注射は怖いです。いつから始めるの?
「インスリン=最後の手段」というイメージを持たれる方が多いですが、それは誤解です。実際には、内服薬3種類を試してもHbA1cが8%以上で改善しない場合などに、治療の選択肢の一つとして検討します。
最近のインスリンはペン型で針も非常に細く、ほとんど痛みを感じません。先日もHbA1c 9.5%の70代の男性が「拍子抜けするほど簡単だった」とおっしゃっていました。血糖値をしっかり下げてから、再び内服薬に戻す「一時的導入」も可能です。怖がらずに、一度ご相談ください。
Q. SGLT2阻害薬ってどんな薬ですか?
SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出することで血糖値を下げる、比較的新しいタイプの飲み薬です。特徴は3つあります。
- 体重減少効果:糖を尿として排出するので、エネルギー消費が進み体重が減りやすい
- 心血管・腎保護作用:心不全リスクの低減や腎機能の保護が期待できる
- 低血糖リスクが低い:インスリンの分泌を促すわけではないので、単独使用では低血糖が起こりにくい
ただし、尿路感染症のリスクや、脱水に注意が必要な場合もあるので、医師の指導のもとで使用しましょう。
🍽️ 食事について
Q. 糖尿病は食事だけで改善できますか?
はい、発症早期でHbA1cが6.5〜7.0%程度の場合は、食事改善だけでも十分な効果が期待できます。 特に以下の3つが効果的です。
- 食べる順番(ベジファースト):野菜→タンパク質→炭水化物の順で食べると、食後血糖の急上昇が抑えられます
- 食物繊維を増やす:玄米や全粒粉パン、野菜類を積極的に。食物繊維は糖の吸収を穏やかにします
- 糖質の総量を調整:完全にゼロにする必要はありません。「1食あたりの糖質量を20〜40gに収める」くらいの意識で大丈夫です
当院では管理栄養士による個別栄養指導も行っています。「何をどれだけ食べればいいか分からない」という方は、ぜひご利用ください。
Q. 食べる順番は本当に効果がある?
はい、医学的にも証明されています。野菜を先に食べることで、糖の吸収がゆるやかになり、食後血糖値の上昇が約20〜30%抑えられるというデータもあります。
具体的には「野菜を最初に食べる → 次に肉や魚などのタンパク質 → 最後にご飯やパン」の順番です。最初の野菜で食物繊維を胃に入れておくことで、後から食べた糖質の吸収速度が穏やかになるのです。今日の次の食事からでも始められます。
🏃 運動について
Q. 運動はどのくらい必要ですか?
目安は 週に150分以上の有酸素運動 です。これは1日20〜30分を週5日続けるイメージです。
- ウォーキング:やや早足で20〜30分。最も手軽で続けやすい
- 軽いジョギングやサイクリング:運動負荷を上げたい方に
- 筋トレを組み合わせる:週2回程度のスクワットや軽い筋トレで、筋肉量を増やすと基礎代謝が上がり血糖コントロールも改善します
「まとまった時間が取れない」という方は、10分×3回に分けても効果があります。エスカレーターではなく階段を使う、買い物のときに駐車場を遠くに停めるなど、日常生活に取り入れてみてください。
⚠️ 合併症について
Q. 糖尿病になったら寿命は縮まる?
コントロールが悪いまま放置すると、心血管疾患や腎不全のリスクが高まり、確かに平均寿命に影響します。しかし、適切な治療で血糖値を良好に保てば、糖尿病がない方と寿命の差はほとんどありません。
実際、HbA1c 7.0%未満を維持できている方の生命予後は、非糖尿病者と同等という大規模研究もあります。「糖尿病=寿命が縮む」と決めつけず、まずは目標値を決めてコントロールを始めましょう。
Q. 糖尿病の合併症にはどんなものがありますか?
代表的な三大合併症は「網膜症・腎症・神経障害」です。
- 網膜症:目の細い血管が傷つき、進行すると失明の原因に。年に1回の眼科受診が推奨されます
- 腎症:腎臓のフィルターが傷つき、進行すると透析が必要に。尿検査で早期発見できます
- 神経障害:手足のしびれ・痛み・感覚低下。足の小さな傷に気づかず、重症化して壊疽(えそ)に至るケースも
これらは早期発見・早期治療で進行を遅らせることができます。年に1回の定期的な検査(眼底検査・尿検査・神経伝導検査)がとても重要です。
👨👩👧👦 生活・遺伝について
Q. 糖尿病は遺伝しますか?
「糖尿病体質」は遺伝する傾向があります。両親のどちらかが2型糖尿病の場合、発症リスクは約2〜3倍、両親ともなら約5〜6倍に上がるとされています。
ただし、遺伝したとしても必ず発症するわけではありません。生活習慣(食事・運動・体重)の影響が非常に大きく、遺伝体質でも健康的な生活を続ければ発症を防げるケースがたくさんあります。家族歴がある方は、特に定期的な健診と生活習慣の見直しを心がけましょう。
Q. 1型糖尿病と2型糖尿病は何が違いますか?
原因が根本的に異なります。
- 1型糖尿病:自己免疫によって膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど作れなくなる。子供〜若年で発症することが多く、発症時からインスリン治療が必須です
- 2型糖尿病:インスリンの分泌が徐々に減る、またはインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)。生活習慣や遺伝体質が関係し、中高年に多い。食事・運動・内服薬・インスリンと段階的な治療が可能です
当院では両方のタイプに対応。特に2型糖尿病の初期〜中期の方が多く、一人ひとりに合わせた治療計画を立てています。
📞 まとめ|まずはお気軽にご相談ください
「糖尿病かも?」「治療を始めるか迷っている」「薬を減らせるか知りたい」——どんな小さな疑問でも、診察室でゆっくりお話ししましょう。当院では患者さん一人ひとりの生活に合わせた治療プランを提案しています。
初めての方は、下記の緊急度を参考にご連絡ください。
🟢 通常予約でOKな場合
・糖尿病の検査・相談がしたい(自覚症状なし)
・定期的な処方や経過観察
・HbA1cが安定している
→ 047-467-5500 へご予約ください。
電話予約:047-467-5500
診療時間:月・火・木・金 9:00〜12:00/14:45〜17:30
土曜:9:00〜12:00
休診日:水曜・日曜・祝日
所在地:千葉県船橋市飯山満町1-1311-2(高根木戸駅・飯山満駅から徒歩圏内)
最終更新日:2026-08-27
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。