シタグリプチンのNASH改善効果
非アルコール性脂肪性肝炎患者の肝組織学的活性および線維症に対するシタグリプチンの効果:1年間無作為化対照試験。
Effect of sitagliptin on hepatic histological activity and fibrosis of nonalcoholic steatohepatitis patients: a 1-year randomized control trial.
Hepat Med. 2018 Apr 27;10:23-31.
目的
DPP-4発現は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)における肝臓脂質生成および肝臓損傷と直接関連する。この研究は、シタグリプチンを用いたNASHの組織学的改善を解明するために行われた。
方法
このオープンラベル無作為化対照試験では、40人のNASH患者から一対の肝生検を行った。シタグリプチン100mgをSL群に1日1回投与し、1年間にわたってL群にシタグリプチンを投与しなかった。両方のグループの患者は適度に運動し、飽和脂肪、過剰砂糖、清涼飲料水、ファーストフード、精製された炭水化物を避けて体重を減らすように勧められた。
結果
SL群(2.3±0.6から1.2±0.8; P = 0.000)およびL群(2.1±0.6から1.6±0.9; P = 0.008)で気管支拡張が改善し、バルーニング(風船状腫大・膨化変性)は1.8±0.6から1.3±06に減少したP = 0.002)、L群では認められなかった。 SL群(5.8±0.9〜3.9±1.4、P = 0.000)およびL群(5.3±0.6〜4.6±1.2; P = 0.009)の両方において、非アルコール性脂肪肝疾患スコア(NAS)が減弱した。 NASの改善は、SL群(13例)でNASが2以上改善し、L群(0.7±1.1)(P = 0.006)よりもSL群で1.9±1.4 (P = 0.01)。改善は糖尿病とは無関係であった。回帰分析では、シタグリプチンは6.38のオッズを示し、体重減少はNASの減少に対して4.51のオッズを有することが明らかになった。
結論
1日1回シタグリプチン100mgを1年間投与すると、糖尿病にかかわらず脂肪肝やバルーニング(風船状腫大・膨化変性)が改善され、NASHが改善される。シタグリプチンは、体重減少の効力よりも強い効力を有する。
ジャヌビア・グラクティブはメジャーなDPP-4阻害薬である。
シタグリプチンは我が国で最初に発売されたDPP-4阻害薬である。ジャヌビア(MSD)・グラクティブ(小野薬品工業)の名前で販売されていて広く処方されている。このように頻用されている、シタグリプチンによる脂肪肝改善だけでなくNASH改善作用が示されたことは嬉しい。