糖尿病教室(2) 糖尿病治療って本当に必要?

08/04/2019

糖尿病治療は何のためにする?

糖尿病治療の目標

糖尿病治療の目的は何でしょうか?合併症を起こさず、元気で長生きするためです。

糖尿病はサイレントキラーであるといいましたが、最初は無症状でも5-10年の間に静かに全身を蝕みます。様々な合併症を全身に起こします。その結果、Quality Of Life (QOL:生活の質)を確実に落とします。寿命も平均で10年短縮させます。

糖尿病治療の最終目標は健康な人と変わらないQOLの維持と寿命の確保ですが、まずは当面の目標として合併症の発症、進展の阻止が挙げられます。そのためには、日常診療に置いて血糖値はもちろんのこと、血圧、体重、血清脂質(コレステロール、中性脂肪)の良好なコントロール状態を維持することが不可欠です。

でも、治療を受けていない糖尿病患者さんは多い。

日本の糖尿病患者数

糖尿病患者数は増えています。1,000万人の大台を超えています。

平成28年年厚労省の国民健康栄養調査によりますと、糖尿病が強く疑われる人が1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない人が1,000万人の合計2,000万人となりました。21世紀に入り、わが国の糖尿病患者さんの数は増え続け、1,000万人を超えてきています。一方、の正常より血糖値が高いが糖尿病には満たない境界型(いわゆる「糖尿病予備軍」の患者さんの数は平成9年以降、初めての減少となりました。特定検診(メタボ検診)により、早いうちから対策を講じる方が増えた結果であると考えられます。

糖尿病の治療を受けていない方が多いのが問題です。

早期の治療によって、予備軍の方が糖尿病に進展することを防げることが証明された一方、糖尿病と診断されても治療を受けていない方がまだまだ多いのが現状です。

下の図をご覧ください。特に、働き盛りの若い世代で糖尿病治療を受けていない方が多いことがわかります。

糖尿病の治療を受けていない方は多い(男性)

糖尿病の治療を受けていない方は多い(女性)

糖尿病を放置してはいけません。

糖尿病の怖いところは、自覚症状がないところです。かなり進めば自覚症状が出るのですが、残念ながらそれでは手遅れです。

合併症が出てから治療しても治りません。症状がないうちが正念場です。音もなく忍び寄るサイレントキラー、それが糖尿病です。

このように、糖尿病が強く疑われる人・糖尿病の可能性を否定できない人の合計は2,000万人を超えています。糖尿病の主な合併症は、網膜症・腎症・神経障害・心血管疾患があげられます。また、糖尿病の患者様は日本の平均寿命より短命であることが知られ、死因の1位は悪性新生物、2位は血管障害(糖尿病性腎症・虚血性心疾患、脳血管障害)、3位は感染症です。当院はより良い血糖コントロールを目指すことで、糖尿病患者さんが合併症を起こさず、健やかに生きるお手伝いをしていきます。

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