ピオグリタゾンとNASHについて
ピオグリタゾンとNASHについて調べました。
NASHの病態にはインスリン抵抗性が強く関連していると考えられています。インスリン抵抗性により脂肪組織での脂肪分解が亢進し、遊離脂肪酸が肝臓に流入し、脂肪の蓄積が起こります。
ピオグリタゾンによるNASH改善のメカニズムは、肝臓以外での作用による可能性があると考えられています(肝臓でのPPAR-γ発現は少ないため)。具体的には、脂肪組織での脂肪分解を抑制し、血中への遊離脂肪酸を減らすことによって肝臓での脂肪量を減少させると考えられています。
参考文献
Promart K, Lutchman G, Uwaifo GI,et al : A pilot study of pioglitazone treatment for nonalcolic steatohepatitis.Hematology 39:188-196,2004.
NASHの18例に対し48週間、ピオグリタゾン30mg/日を投与したところ、肝酵素は72%減少した。MRI評価で肝臓内の脂肪蓄積量が減少した。組織学的検討においてもピオグリタゾン投与前後で改善を認め、その有効性が証明された(長期的な効果や安全性は今後の十分な検討が必要であるため、肝硬変例への投与は控えるべきとしている)。