糖尿病の病名の由来

14/02/2018

糖尿病の病名の由来について

糖尿病

「糖尿病」という病名の由来

現在「糖尿病」は“diabetes mellitus”の訳名であるとされています。糖尿病の歴史は古く、最古の記録はB.C1500年頃の古代エジプトのパピルスに糖尿病の記載と思われる文章が認められます。「尿があまりにもたくさん出る病気」として記載され、世界最古の記録文献とされています。また、紀元1世紀のころローマの医師でアレタエウスが、糖尿病の症状について詳細に記録しています。2世紀頃の記録において、

肉や手足が尿中に溶けてしまう病気で患者はひと時も尿を作ることを止めず、尿は水道の蛇口が開いたように絶え間なく流れ出す。

との記載があり、ここからギリシャ語でサイフォン(高いところから低いところへ水が流れる)の意を持つ“diabetes”という言葉が用いられるようになりました。

東洋の歴史の中の糖尿病

一方、東洋でも紀元ごろの中国で消渇という名前で医学書に糖尿病の記載が認められ、すでに美食との関連が述べられていました。日本においては平安時代、摂政関白としてわが世を満月にたとえ欠けたるものは無しと権力と富を手にした関白藤原道長。この人物の伝記である御堂関白日記にその生活ぶり、病気のことが細かく書かれていますが、その記述から糖尿病であったと考えられます。日本史に登場した最初の糖尿病患者さんといっていいでしょう。道長は51歳頃から喉の渇き等が出現し、胸痛や視力低下を経て、おそらく敗血症にて没したのではと推測されています。近世では、夏目漱石は晩年糖尿病の神経障害性疼痛によって苦しんでいたことが知られています。 また北原白秋も糖尿病性網膜症をもっていたことが知られています。