糖尿病内科

非アルコール性肝疾患 - 診断と治療

23/02/2018

非アルコール性肝疾患-診断と治療

Non-alcoholic liver disease - diagnosis and treatment

Pol Merkur Lekarski. 2017 Nov 23;43(257):237-242.

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD=MASLD)は、現在、先進国における最も一般的な慢性肝疾患である(成人集団の15%〜40%)。食事介入および身体活動の増加を含むライフスタイルの変化の導入は、ほとんどの場合、第一選択治療であり、肝疾患の治療だけでなく、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病および脂質異常症に関連する疾患の治療も支援することを意図している。よく知られているメトホルミンに加えて、GLP-1アナログ、SGLT2阻害薬、ピオグリタゾンを含む糖尿病薬の新しいクラスがある。さらに、スタチン、ビタミンEおよびペントキシフィリンも推奨されている。6ヶ月間の治療中に肝酵素が改善しない場合、肝生検を考慮する必要がある。単純な肝脂肪症(NAFL)は軽度だが、脂肪性肝炎(NASH)および線維症が予後の可能性があり、肝細胞癌(HCC)のリスクが高い。ウイルス性肝炎は治癒する時代になっており、糖尿病治療においてもNAFLDに対する対応が非常に重要になってくる。NAFLDが脂質異常症や高血圧などの生活習慣病と関連することは知られているが、NAFLDと切っても切れないのが糖尿病である。

NAFLDの概念が確立する前から、糖尿病患者さんで多いがんは膵癌、大腸癌についで 肝細胞癌、糖尿病患者さんの死因の17.5%が 肝疾患であることが報告されていた。一方、肝臓が悪くなると糖尿病の治療効果が悪くなる。逆に、糖尿病があると肝臓病の治療効果が悪くなる。そうした臨床的な経験から糖尿病と肝臓は関係があると疑われていた。NAFLDという疾患の存在が確立されたことでNAFLDと糖尿病との関係が明らかとなった。糖尿病のNAFLD/NASHとの関連を見てみる。アメリカでは糖尿病患者さんの65%にNAFLDを認める。日本でのNAFLD有病率は空腹時血糖正常群では27%、異常群では43%、糖尿病患者群では62%と糖尿病患者さんで高率にNAFLDが発症している。NASHの有病率は糖尿病があると1.9倍増加する、糖尿病はNAFLDの線維化進行の危険因子と考えられている。このように、糖尿病があるとNAFLDになりやすいだけでなく、NAFLDの肝内線維化を進ませてしまうリスクがある。一方、NAFLDの糖尿病との関連を見てみると、糖尿病がないNAFLD患者さんの30~40%に糖尿病を発症する前段階ともいえる耐糖能異常を認める。NASHでは20~75%に糖尿病や耐糖能異常を認める。NAFLDと診断された時点で糖尿病でなくても経過中に高率(NAFLDでない人の3.5倍)に糖尿病を発症する。NAFLDは独立した糖尿病の発症危険因子なのだ。NAFLDも糖尿病も、その根源はインスリン抵抗性という共通した因子であるから、当然といえば当然な話なのである。

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