糖尿病性腎症の治療(尿中アルブミンの出ている方)
長期間血糖コントロール不良が続く場合に生じる合併症が糖尿病性腎症ですが、腎機能低下、最終的には腎不全となり人工透析が必要になる可能性もあります。
尿中アルブミン排泄の増加は腎症における腎機能低下のリスクとなります*。
尿中アルブミン排泄の減少は腎機能低下の抑制につながることが知られています*。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は、アルブミン尿を有する腎症の進行抑制に有効であるため推奨されています*。
ACE阻害薬あるいはARBによる治療中でアルブミン尿を有する糖尿病患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬(フィネレノン)は、腎症の進行抑制に寄与します*。
*糖尿病診療ガイドライン2024
従来のACE阻害薬、ARBに加えてMR拮抗薬フィネレノン(ケレンディア)が有力な治療薬として出てきました。
2型糖尿病で、尿中アルブミンの中等度の上昇を伴うステージ2~4のCKDまたは尿中アルブミンの高度の上昇を伴うステージ1もしくは2のCKDを有する患者では,フィネレノン療法によって心血管転帰がプラセボよりも改善することが示されました。
N Engl J Med 2021; 385: 2252-63.
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者を対象に腎イベントを主要評価項目とした国際共同第Ⅲ相試験
フィネレノン群はプラセボ群に比べて腎複合エンドポイントの発現リスクを18%有意に低下させました。
N Engl J Med. 2020 Dec 3;383(23):2219-2229.
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者を対象に心血管イベントを主要評価項目とした国際共同第Ⅲ相試験
フィネレノン群はプラセボ群に比べて心血管複合エンドポイントの発現リスクを13%有意に低下させました。
Bertram Pitt, et al. N Engl J Med. 2021 Dec 9;385(24):2252-2263.