CSII,Continuous Subcutaneous Insulin Injection, インスリンポンプ療法
腹部などの皮下に留置した細い柔かい針から超速効型インスリンを携帯型インスリンポンプにセットし24時間持続的に注入する注射方法です。
CSIIには、リアルタイムで血糖値を確認できるもの(SAP)とその機能がないもの(CSII単独)があります。
日本で使用可能なものは
CSII単独パラダイムインスリンポンプ722/712(日本メドトロニック株式会社)
トップ シリンジポンプTOP-8200(株式会社トップ)
があります。
SAP
ミニメド640G/620G システム (日本メドトロニック株式会社)
使用するのは一種類の超速効型インスリンアナログですが、これを持続的にジワジワ流すことでベーサルインスリン(基礎インスリン)を補います。また食事のときにはボタン一つで超即効型インスリンをボーラスインスリン(追加インスリン)として体内に入れることができます。いちいちペンを取り出して、お腹を出して打つ必要がないのです。
CSIIがすごいのはそれだけではありません。
インスリンポンプ療法はどこがすごいの?
基礎インスリンの量を細かく変えることができます。
血糖の変動が大きく、コントロールが難しい患者さん(ブリットル型)や眠前は低いのに朝の血糖が高くなったり低くなったり変動してしまうインスリン治療中の患者さんを経験します。持効型インスリンアナログ製剤(基礎インスリン)が普及したことにより安定した血糖管理が可能になりましたが、基礎インスリンによって未明に無自覚性の低血糖が起きてしまう問題、早朝にインスリン需要量が増加する(成長ホルモンの分泌などの影響を受けます)「暁現象」は1日1回皮下注する基礎インスリン製剤では完全に対応しきれない問題です。一回皮下注射してしまったらフラットにずーっと効いてしまうからです。
時間帯によって、異なる注入量をあらかじめ詳細に設定できるCSIIはこういった患者さんの強い味方になります。基礎インスリンによって低血糖が起きがちな0時-4時はベーサルインスリンの流量を少なめに、インスリン需要の増す早朝は多めに設定することで上記の問題を解決することができます。
出典:Medtronic社
追加インスリンも小刻みに調整できます。
基礎インスリンを注入しながら、食事のときには0.1単位刻みで追加インスリンを行うことができます。ライフスタイルに変化が多い患者さんや、妊娠中もしくはこれから妊娠を希望する患者さん、小児、より良好な血糖コントロールを必要としている患者さんなどにはおすすめです。安定したコントロールを維持しやすくなります。
例えばMedtronic製 paradigm 722の場合、ボーラスインスリン(食直前に打つインスリン)で0.1単位、ベーサルインスリン(基礎インスリン)で0.05単位/時 刻みの調節が可能です。
インスリンポンプ療法は大変?
外来通院で導入できます。ご興味のある患者さんはご相談下さい。