階段を登って息切れしたら 心不全?
階段や坂道を登って息切れがした場合、どんな病気を疑うでしょうか。
心臓が悪い可能性もありますし、肺が悪い可能性もあります。
心不全
心不全になると、心臓の機能、特に血液を循環させるポンプの機能が落ちてしまいます。安静にしていれば症状がなくても、階段を登る、重いものを持つなど負担をかけると苦しくなってきます。ですから、このような症状が出たら心不全を疑わなければなりません。心不全の場合はむくみが出る、夜間に咳が出るなども特徴的な症状です。
狭心症、虚血性心疾患
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患になると、心臓に血液を送る冠状動脈が細くなるため、心臓の血流が悪くなります。そうなると、心不全の場合と同様に負担をかけた時に心臓が酸欠となり、苦しくなります。息切れだけでなく、胸が締め付けられるような感じ(胸部絞扼感)、胸が痛い(胸痛)なども特徴的な症状です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫
主に喫煙を長年してきた方の病気ですが、COPD、肺気腫という病気があります。長年の喫煙によって肺の中の換気するための組織(肺胞)が破壊されてしまい、換気する力が落ちています。安静にしていれば苦しくありませんが、坂道を登ったりすると換気が十分できず、苦しくなります。COPD、肺気腫の場合は日常的に痰が切れない、咳が多いといった症状を伴うのが普通です。
気胸
気胸とは、簡単に言うと肺が膨らまなくなって換気ができなくなり、苦しくなる病気です。何らかの原因で本来空気の無い胸腔内に空気が侵入したことにより、肺が虚脱した状態(=潰れてしまった状態)と定義されています。
原発性気胸と続発性気胸に分けられます。
原発性気胸はやせ型の若い男性に多く、続発性気胸は胸部の外傷によって二次的に起こることが多いです。保存的療法と手術療法があります。保存的療法では、まず安静で、肺虚脱が軽度の場合はこれのみで軽快します。次に、胸腔ドレナージ法、これは胸腔の中に細いチューブを挿入して、溜まった空気を持続的に吸引する方法です。最後に胸膜癒着療法、これは胸腔内に薬剤を注入し、肺と胸膜を癒着させる方法です。保存的療法は、侵襲が少ない利点があるものの、再発率が手術療法より高い欠点があります。
このように、息切れといっても様々な病気が考えられます。
息切れでお困りの患者さんは、ぜひご相談ください。