このページの要点
動悸・息切れ・胸の痛みがあり、「心臓の検査で異常がない」と言われたことはありませんか?その症状、実は「こころ」と「からだ」の連携が影響している可能性があります。このページでは、心臓とメンタルの関係、受診の目安、当院でのアプローチを解説します。

「検査で異常なし」と言われたけれど、症状が続く…
「動悸がする」「急に胸が苦しくなる」「息が詰まる感じがする」――こんな症状で病院を受診し、心電図や心エコー、ホルター心電図などの検査を受けたのに「異常ありません」と言われたことはありませんか?
「じゃあ、この苦しみは何なの?」と不安が残り、また症状が気になってしまう…そんな悪循環に陥っていませんか?
実は、こうした症状の背景には心臓そのものの病気ではなく、「こころ」と「からだ」のつながりが関係していることが少なくありません。
まず確認することが最も大切です:
胸の痛みや強い動悸には、狭心症・心筋梗塞・危険な不整脈など、命に関わる心臓病が隠れている可能性もあります。そうした病気を除外するために、まずは医療機関での検査が必須です。
緊急性の高いサイン(胸を締め付けられる痛みが数分以上続く、冷や汗を伴う、意識が遠のく)がある場合は、すぐに119番へのご連絡もご検討ください。
「心臓が悪いわけじゃない」と言われた後:考えられる3つの背景
心臓の精密検査で異常が見つからなかった場合、次のような背景が考えられます。
1. パニック障害・不安障害
パニック障害では、突然の強い動悸や息切れ、めまい、死ぬのではないかという恐怖が発作的に現れます。「また発作が起きるのでは」という予期不安が日常生活を制限し、症状をさらに悪化させることがあります。過呼吸(手足のしびれ・口のまわりの痺れ)を伴うことも特徴です。
2. 身体症状症(身体化障害)
ストレスや心理的な負担が、身体の症状として現れる状態です。「病気ではない」と説明されても、本人にとっては実際の苦しみを伴います。動悸だけでなく、頭痛や胃腸症状など全身に症状が出ることもあります。
3. 自律神経失調症
心臓の動きや呼吸、発汗などを調整する自律神経のバランスが崩れると、動悸・立ちくらみ・疲労感・不眠・発汗異常などさまざまな症状が現れます。
関連して確認しておきたい身体的疾患
- 甲状腺機能異常:バセドウ病(機能亢進症)では動悸や手の震え、体重減少などが。橋本病(機能低下症)では倦怠感やむくみなどが。
→ 詳しくは「甲状腺とメンタル(うつ・不安)の関係」ページへ - 貧血:動悸や息切れ、めまい、立ちくらみ。特に女性に多い。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS):夜間の低酸素が自律神経を刺激し、日中だけでなく就寝前の動悸にも関連することがある。
- 不整脈(発作性のもの):一過性の頻脈は24時間ホルター心電図で初めて捉えられることもある。
しもやま内科の3ステップアプローチ
当院では、循環器専門医・甲状腺専門医が連携し、あなたの症状を多角的に評価します。
Step 1:心臓の精密検査(安心の土台づくり)
まずは、循環器専門医が心電図(症状があれば24時間ホルター心電図)・心エコーなどで、心臓に隠れた病気がないかを徹底的に評価します。「心臓に問題がない」という結果をあなた自身が納得できるよう、丁寧に説明します。これが治療の第一歩です。
Step 2:身体的疾患のスクリーニング
動悸を引き起こす他の身体的疾患がないかを確認します。甲状腺専門医による採血(甲状腺ホルモン・貧血など)や、必要に応じて睡眠検査などを行います。
Step 3:メンタルサポートへの連携
心臓と身体的な問題が除外された場合、あなたの症状は「こころ」と「からだ」の連携の問題である可能性が高いです。当院では、連携する心療内科・精神科をご紹介し、適切な治療(認知行動療法・薬物療法など)につなげます。症状が軽度であれば、生活習慣の見直し(睡眠・カフェイン・アルコール・運動)のアドバイスも行います。
受診の目安(すぐに来院すべきサイン)
- まず心臓をチェックすべきサイン(当院または救急外来へ)
- 胸の痛み・圧迫感が数分以上続く
- 動悸と同時に冷や汗・吐き気・意識が遠くなる感じがある
- 脈が極端に乱れる・速くなる(150回/分以上)
- メンタルの可能性を考え始めるサイン
- 心臓の検査(心電図・心エコー)で異常がないのに症状が繰り返す
- 「また発作が起きるのでは」という不安が強い
- 過呼吸(手足のしびれ・口のまわりの痺れ)を伴う
- 強いストレスや疲労がたまっている時に症状が出やすい
よくある質問(FAQ)
心臓神経症(心臓ノイローゼ)とは何ですか?
心臓神経症(心臓ノイローゼ)は、自覚症状(動悸・胸痛・息切れ)が強いにもかかわらず、心電図・心エコー・採血などの検査で明らかな心臓の異常が見つからない状態を指します。ストレス・不安・過労などが引き金となり、自律神経のバランスが乱れて症状が出現します。決して「気のせい」ではなく、実際に症状を感じる身体的な反応であり、適切な診断と対応が必要です。
パニック障害と不整脈の違いは?見分け方を教えてください
パニック障害と不整脈は症状が似ているため、鑑別が難しいことがあります。パニック発作では動悸・胸痛・息苦しさ・手足のしびれ・めまい・死の恐怖などが出現し、発作は10〜20分でピークに達します。不整脈(発作性上室性頻拍など)は突然始まり突然止まる傾向があります。鑑別にはホルター心電図(24時間)や心臓エコー、甲状腺採血が有効です。パニック障害は心電図上、頻脈以外の異常はなく、発作時の心電図記録が最も確実な鑑別方法です。
動悸と手足のしびれが同時に出るのはなぜ?
動悸と手足のしびれが同時に出る原因として最も多いのは過呼吸(過換気症候群)です。不安やパニック発作で呼吸が速くなると、血液中の二酸化炭素が過度に排出され、血液がアルカリ性に傾くことで血管が収縮し、手足のしびれ・口の周りのしびれ・指がつるなどの症状が出現します。これは命に関わるものではありませんが、症状を繰り返す場合はパニック障害・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・不整脈の可能性も考慮して検査を受けることをご検討ください。
パニック障害は心臓に負担をかけますか?
パニック発作中の頻脈(心拍数120〜150程度)が短時間であれば、健康な心臓に永続的なダメージを与えることは稀です。ただし、(1)頻繁な発作が続くと心臓に負荷がかかる (2)冠動脈疾患のリスク因子がある人は発作時の頻脈が狭心症の誘因になる可能性 (3)長期的には高血圧のリスクが上昇するという報告があります。またパニック障害は心房細動の発症リスクを約2倍に上げるとのデータもあり、症状が心臓由来かどうかの鑑別は重要です。
動悸があるのに心電図で異常なしと言われました。どうすればいいですか?
安静時の心電図で異常がなくても、動悸の原因が特定できないことは珍しくありません。こんな時は:(1)ホルター心電図(24時間装着)→発作時の心電図を記録できる (2)心臓エコー→心臓の構造的問題を確認 (3)血液検査(甲状腺機能・貧血・電解質)→全身的な原因をチェック (4)症状の記録(いつ・どんな時に・どのくらい続く)→診断の手がかりに。特に動悸が「突然始まり突然止まる」「脈が飛ぶ感じ」「冷や汗を伴う」場合は、不整脈の疑いが強いため、できるだけ発作時の検査を目指します。
心臓神経症の治療法は?治りますか?
心臓神経症は適切な治療で症状の改善が期待できます。治療の柱は:(1)原因の特定と説明→「心臓に異常がない」と安心することで症状が軽減することが多い (2)ストレス管理・カウンセリング (3)規則正しい生活と適度な運動 (4)必要に応じて抗不安薬・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の使用 (5)甲状腺機能異常や貧血など原因となる疾患の治療。症状を繰り返す場合は心療内科との連携も有効です。
動悸とパニック障害の関係は?治療で動悸は改善しますか?
パニック障害では、発作時に動悸が必発といってよいほど頻繁に出現します。逆に、動悸がパニック発作のトリガーになることもあります(「動悸→心臓病かも→恐怖→さらに動悸増強」の悪循環)。パニック障害の治療(SSRI・認知行動療法など)を適切に行えば、動悸を含むパニック発作そのものが減少・消失します。また、β遮断薬が動悸の症状緩和に有効な場合もあり、循環器専門医と精神科医の連携が理想的です。
ストレスチェックで心臓に負担がかかっていると言われました。どんな検査を受けられますか?
ストレスの心血管系への影響を評価するには、以下の検査が役立ちます:(1)ホルター心電図(24時間)→ストレス時の心拍変動・不整脈を検出 (2)心臓エコー→心機能や心筋の状態確認 (3)血液検査(BNP・コルチゾール・甲状腺機能)→心臓負荷やストレス指標の測定 (4)血圧日内変動測定→朝の血圧上昇(モーニングサージ)の有無。当院では同日に複数の検査を組み合わせて総合評価できます。
動悸・手足のしびれ・不安感でおすすめの生活習慣の改善点は?
(1)深呼吸の習慣化:4秒吸って8秒吐く腹式呼吸を1日数回→副交感神経を活性化 (2)カフェイン制限(コーヒー・エナジードリンクは動悸を悪化させる)(3)アルコール制限(特に後半に動悸が出やすい)(4)規則正しい睡眠(睡眠不足は自律神経の乱れと動悸の原因)(5)適度な有酸素運動(ウォーキング30分/日・週5日)(6)カリウム・マグネシウムを多く含む食事(バナナ・アボカド・納豆など)。これらを実践すると、多くの方で症状が軽減します。
監修:しもやま内科 院長 下山立志(総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医)
最終更新日:2026年8月22日
ご相談ください
「また発作が起きるのでは」という不安を抱えていませんか?
しもやま内科では、循環器専門医がまずあなたの心臓をしっかり評価し、異常がないことを一緒に確認します。その上で、甲状腺などの身体的疾患の有無をチェックし、必要に応じて心療内科と連携します。「こころ」と「からだ」の両面から、あなたの症状に向き合います。
📞 ご予約・ご相談はお電話で:047-467-5500
この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
関連ページ
受診をご検討の方、お気軽にご相談ください
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外・緊急時は、119番へのご連絡もご検討ください
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。