甲状腺穿刺検査(FNA)の痛みと流れ|不安を解消船橋市

甲状腺穿刺吸引細胞診(FNA)は、甲状腺のしこり(結節)が良性か悪性かを調べるために、細い針を使って細胞を採取する低侵襲検査です。造影CTやPETよりも高い精度で良性・悪性の鑑別が可能であり、国内外の診療ガイドラインで標準的な検査として推奨されています。穿刺時は局所麻酔を使用するため、痛みは採血と同程度で、ほとんどの方が軽い違和感程度で検査を終えられます。検査後もすぐに帰宅でき、日常生活への影響はほとんどありません。当院では専門医がエコーガイド下で実施し、安全性と確度の高い診断を提供しています。

甲状腺結節とは——多くの方が指摘される所見

甲状腺結節(甲状腺にできるしこり)は、健康診断や人間ドックの頸部超音波検査で偶然発見されることが非常に多い所見です。成人の約20〜30%に認められるとされており、その大部分(95%以上)は良性です。しかし、超音波検査の画像所見だけでは良性・悪性を完全に見分けることはできず、確定診断には細胞診(FNA)が必要となる場合があります。

FNAは、超音波検査で「悪性の可能性がある」と評価された結節に対して行われ、良性と確定できれば不要な手術を回避できるというメリットがあります。甲状腺癌は比較的進行が遅いものが多く、早期に発見して適切な治療を行えば良好な経過が期待できます。

FNA(甲状腺穿刺吸引細胞診)とは

甲状腺穿刺吸引細胞診(Fine Needle Aspiration Biopsy;FNA/ FNAB)は、甲状腺に生じた結節(しこり)の性質を細胞レベルで評価する低侵襲検査です。超音波(エコー)で結節の位置を確認しながら、極細の針(21〜25G、外径約0.5〜0.8mm)を刺入し、細胞を吸引採取します。

FNAの主な目的は以下の通りです。

  • 良性・悪性の確定診断:超音波検査で「疑わしい」とされた結節の確定診断として最も信頼性の高い方法であり、感度・特異度ともに高い精度が報告されています。
  • 手術適応の判断:悪性(甲状腺癌)が疑われる場合、手術の要否・範囲を決める根拠となります。良性と確定できれば手術を回避できます。
  • 経過観察の方針決定:良性と確定すれば定期的な超音波フォローで対応可能となり、造影CTなど追加検査を減らせます。

当院では年に数百件以上のFNAを実施しており、穿刺に伴う痛みの軽減や偶発症の回避に細心の注意を払っています。エコーガイド下での穿刺により、安全かつ精度の高い細胞採取を実現しています。

検査の流れ——外来で15〜30分で完了

FNAは外来で行う検査で、入院や絶食の必要はありません。所要時間は準備を含めて15〜30分程度です。

  1. 問診・説明(5分):検査の目的・方法・起こりうる合併症について文書を用いて丁寧に説明し、ご理解いただいた上で書面による同意をいただきます。この際、痛みや不安に関する質問にもお答えします。
  2. 超音波での位置確認(2〜3分):エコーで結節の位置・深さ・大きさ・内部性状・周囲の血流を詳細に確認し、穿刺の最適ルートと針の角度を決定します。重要な血管や神経を避けるルートを選択します。
  3. 局所麻酔(1〜2分):穿刺部位の皮膚と皮下組織に局所麻酔薬(キシロカインなど)を注射します。麻酔薬注射時のチクッとした痛みは一瞬で、その後は穿刺部位の感覚が鈍くなります。当院では全例で局所麻酔を実施しています。
  4. 穿刺・細胞採取(10〜20秒):麻酔が十分に効いた状態で、エコーガイド下に細針を目的の結節まで進め、細胞を陰圧吸引します。必要に応じて複数回穿刺する場合もありますが、1回の穿刺は数秒で終わります。麻酔が効いているため、多くの方は「何かを押されている」「軽くつままれている」程度の感覚です。
  5. 止血・安静(5分):穿刺部をガーゼで圧迫止血します。5分ほどその場で安静にしていただき、止血を確認して終了です。止血後は絆創膏を貼って帰宅いただけます。

痛みの程度——採血と同程度、局所麻酔でさらに軽減

FNAの痛みについて、適切に理解していただくことは不安の軽減につながります。以下に実際の感覚を具体的に説明します。

局所麻酔の効果について

当院では穿刺前に必ず局所麻酔を行います。穿刺針は極細(約0.5〜0.8mm)で、麻酔が効いた状態で穿刺するため、鋭い痛みを感じる方はほとんどいません。多くは「チクッとした程度」「押されている感じ」といった軽い痛みで、強い痛みを感じることはほとんどありません。麻酔なしで穿刺を行う施設もありますが、当院では患者様の負担を最優先に考慮し、全例で局所麻酔を実施しています。

痛みの感じ方の個人差

痛みの感じ方には個人差があります。甲状腺の位置(頸部の形状や脂肪の厚み)や結節の深さによっても感覚は異なりますが、ほとんどの方は採血と同程度か、それよりも軽いと感じています。検査中はリラックスして過ごすことで、痛みの感じ方はさらに和らぎます。不安な方は遠慮なく医師やスタッフにお伝えください。

造影CTやPETとの比較

造影CTでは血管確保のための静脈確保(採血と同等の痛み)に加え、造影剤注入時の熱感や吐き気が生じることがあります。PETでは放射性薬剤の静脈注射と検査中の約1時間の安静が必要で、放射線被曝も伴います。FNAは局所麻酔下で行うため、これらの検査と比較しても痛みは軽度であり、放射線被曝もありません。

検査後の注意点

  • 運動制限:検査当日の激しい運動(ランニング、筋力トレーニングなど)や重量物の持ち上げは控えてください。通常の歩行や軽い家事、デスクワークは問題ありません。翌日からは通常の生活に戻っていただけます。
  • 内出血について:穿刺部位に小さな内出血(皮下出血斑・アザ)が生じることがあります。これは穿刺時の毛細血管の損傷によるもので、健康上の問題はなく、数日〜1週間で自然に吸収されます。冷やすことで症状を軽減できます。内出血が広範囲に及ぶことはまれです。
  • 入浴について:当日の入浴やシャワーは問題ありませんが、穿刺部位を強くこすったり、湯船に長時間浸かったりしないようにしてください。絆創膏は翌日まで貼ったままで構いません。
  • 痛みが続く場合:検査後24時間以上経っても穿刺部の痛みが続く場合や、腫れが強くなる・赤みが広がる・発熱があるなどの症状が生じた場合は、遠慮なく当院までご連絡ください(047-467-5500)。

結果が出るまでの期間と説明

採取した細胞の診断には、通常1〜2週間程度を要します。これは、細胞を専用のスライドガラスに塗布して固定し、特殊な染色を施した後、細胞診専門医が顕微鏡で詳細に観察・評価するためです。迅速な診断が求められる場合でも、細胞の品質を確保するために一定の時間が必要です。

結果はベセスダ分類(Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)で報告されます。

  • ベセスダI(診断不十分):採取した細胞の量が診断に足りない場合です。再度穿刺が必要になることがあります。
  • ベセスダII(良性):良性結節と判断されます。定期的な超音波検査で経過観察を行う方針となります。
  • ベセスダIII(意義不明な異型)・IV(濾胞性腫瘍):良性・悪性の判断が確定できない場合です。追加の遺伝子検査や手術による病理診断を検討します。
  • ベセスダV(悪性疑い)・VI(悪性):悪性が強く疑われる、または確定された場合です。甲状腺専門医と連携して手術治療を含めた治療方針を検討します。

結果説明の際には、画像所見と併せて、今後の方針(経過観察の間隔・再検査の要否・手術紹介のタイミングなど)をわかりやすくご説明します。疑問点があればその場でお気軽にご質問ください。

費用(保険診療)について

甲状腺穿刺吸引細胞診(FNA)は保険診療の対象です。3割負担の場合、自己負担額はおおむね3,000〜5,000円程度です(甲状腺超音波検査の費用を含む)。保険診療であるため、高額療養費制度の対象となる場合もあります。詳しい費用については受診時にお問い合わせください。

なお、当院ではFNAに関連する自由診療は行っておりません。すべて保険診療内で対応いたします。

リスクと合併症——安全に実施できる検査です

FNAは非常に安全性の高い検査ですが、以下のような合併症がまれに生じることがあります。事前に理解した上で検査を受けることで、不安の軽減につながります。

  • 内出血・血腫:穿刺部位の皮下出血や小さな血腫(血液の塊)が生じることがありますが、多くは自然に吸収され、特別な処置は必要ありません。冷やすことで症状が和らぎます。
  • 一過性の声がれ:反回神経(声帯を動かす神経)の近くを穿刺する場合、ごくまれに一時的に声がかすれることがあります。通常は数十分〜数時間で回復します。持続する場合はご連絡ください。
  • 感染:清潔操作で行うため極めてまれですが、穿刺部位に感染が生じる可能性はゼロではありません。発熱や穿刺部位の赤み・腫れの増強があればご連絡ください。
  • 疼痛:ほとんどの方は軽度ですが、穿刺部の痛みが検査後数時間続くことがあります。市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で対応可能な程度です。
  • 気胸(極めてまれ):針が胸腔に達した場合に生じる可能性がありますが、エコーガイド下で穿刺するため、超音波で肺を避けて穿刺でき、発生率は0.1%未満です。

これらの合併症は、エコーガイド下で熟練した医師が穿刺することで発生率をさらに低く抑えられます。重大な合併症の発生率は0.1%未満とされており、安全に実施できる検査であるといえます。

痛みに関する詳しい解説——検査を受ける方へ

「首に針を刺す」というイメージから、FNAに強い不安を感じる方は少なくありません。しかし、実際の痛みは想像されるほど強くないことがほとんどです。以下にポイントを整理します。

針の太さ

FNAで使用する針は、通常21〜25Gという極細の針です。これは一般の注射針や採血針よりも細く、組織へのダメージが最小限に抑えられます。採血でも使用する針よりも細いため、穿刺時の痛みは採血と同等かそれ以下です。

局所麻酔の効果

当院では穿刺前に必ず局所麻酔を行います。麻酔薬を注射する際に一瞬の痛みがありますが(これも採血程度)、その後は穿刺部位の感覚が鈍くなるため、穿刺そのものの痛みはほとんど感じません。麻酔の効果は穿刺後もしばらく持続します。

穿刺時間の短さ

穿刺そのものは10〜20秒で終了します。痛みを感じる時間が非常に短いことも、FNAの特徴です。また、エコーガイド下で正確に目的の結節に針を進めるため、無駄な穿刺や周囲組織へのダメージが最小限に抑えられます。

リラックスの重要性

検査中はリラックスして過ごすことが、痛みの軽減につながります。力が入ると穿刺が難しくなり、痛みを感じやすくなることもあります。不安な方は事前に医師にその旨をお伝えください。検査中も声かけを行いながら進めますのでご安心ください。

当院の強み——専門医による安心の検査体制

しもやま内科では、以下の複数の専門医資格を持つ医師がFNAを担当します。複数の専門領域の知識を統合した診療が可能であり、特に甲状腺疾患と合併しやすい糖尿病や循環器疾患への配慮も行いながら検査を実施できます。

  • 総合内科専門医(日本内科学会認定)—内科全般の幅広い知識に基づく診断
  • 糖尿病専門医(日本糖尿病学会認定)—糖尿病合併甲状腺疾患への対応
  • 循環器専門医(日本循環器学会認定)—抗血栓薬内服患者さんの管理
  • 甲状腺専門医(日本甲状腺学会認定)—甲状腺疾患の専門的診断・治療

三つの専門医資格(三冠専門医)に加えて甲状腺専門医も併せ持つ医師が診療にあたることで、甲状腺結節の診断から治療方針決定まで、一貫した高品質の医療を提供しています。また、年数百件以上のFNA実施実績があり、検査の安全性と確度の高い診断が強みです。

さらに、検査で悪性が疑われた場合には、連携する病院の甲状腺外科・頭頸部外科とスムーズな連携を行い、手術治療へ速やかにつなげることができます。

受診の目安——こんな症状・所見があればご相談ください

  • 健康診断や人間ドックの頸部超音波検査で「甲状腺結節(しこり)あり」と指摘された
  • 首の前側(甲状腺の位置)にしこりを触れる、または自分で鏡で見て気づいた
  • 甲状腺超音波検査で「要精査」「悪性の可能性」と判定された
  • かかりつけ医から甲状腺専門医療機関での精査を勧められた
  • 甲状腺結節の経過観察中で、結節の増大や新たな症状(痛み、飲み込みにくさなど)が生じた
  • 甲状腺癌の家族歴があり、定期的な検診を希望される

甲状腺結節は非常に頻度の高い所見であり、良性のことがほとんどです。しかし、悪性の可能性を完全に否定できない場合には、FNAによる確定診断が推奨されます。気になる症状や所見があれば、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. FNAはどのくらい痛いですか?

局所麻酔を行うため、ほとんどの方は採血と同程度かそれよりも軽い痛みと感じています。「チクッとする程度」「押されている感じ」といった軽い痛みにとどまることがほとんどです。痛みの感じ方には個人差がありますが、鋭い痛みを訴える方はほとんどいません。

Q2. 麻酔は必ず行いますか?

当院では穿刺前に必ず局所麻酔を行います。麻酔注射の際に一瞬チクッとしますが、その後は穿刺部位の感覚が鈍くなるため、穿刺そのものの痛みはほとんど感じません。麻酔なしで穿刺を行う施設もありますが、当院では患者様の負担を軽減するために全例で局所麻酔を実施しています。

Q3. 検査時間はどのくらいですか?

準備から止血確認まで含めて、15〜30分程度です。穿刺そのものは数秒から数十秒で終わります。検査後はすぐに帰宅でき、通常の日常生活に戻れます。

Q4. 結果が出るまでどれくらいかかりますか?

採取した細胞の診断には1〜2週間程度かかります。細胞を専用のスライドに固定し、染色を施した後、細胞診専門医が顕微鏡で詳細に観察するため、時間を要します。結果が出ましたら当院からご連絡いたします。

Q5. 検査後、仕事や日常生活に支障はありますか?

検査後すぐに通常の日常生活に戻れます。ただし、検査当日の激しい運動(ランニングや筋トレなど)や重量物の持ち上げはお控えください。デスクワークなどの軽作業や通常の家事は問題ありません。翌日からはすべての活動が可能です。

Q6. 副作用や合併症はありますか?

内出血(皮下出血斑・アザ)が最も多く、穿刺部位に小さなアザができることがありますが、数日〜1週間で自然に消えます。まれに一過性の声がれが生じることがありますが、短時間で改善します。重大な合併症(持続する神経障害や気胸など)の発生率は0.1%未満とされています。

Q7. 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいますが、検査は受けられますか?

内服中の薬によって対応が異なります。ワルファリン、DOAC(直接経口抗凝固薬)、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)など、服用中の薬の種類と用量をお知らせください。検査前に一時休薬が必要な場合がありますので、必ず事前にご相談ください。自己判断での休薬は行わないでください。

Q8. FNAで悪性と診断された場合、どうなりますか?

悪性と診断された場合、甲状腺癌の進行度やタイプに応じて治療方針を決定します。多くの甲状腺癌(乳頭癌など)は進行が遅く、手術による治療で良好な経過が期待できます。当院では連携する病院の甲状腺外科とスムーズに連携し、速やかに治療へつなげます。

Q9. FNA以外の甲状腺結節の検査方法はありますか?

超音波検査で結節の形状・内部エコー・血流パターンを評価するのが第一歩です。超音波で悪性が疑われる場合や経過観察中に結節が増大した場合にFNAが推奨されます。造影CTやMRIも補助的に用いられますが、確定診断にはFNAが最も信頼できる方法です。血液検査(甲状腺ホルモン・サイログロブリンなど)も併せて行うことがあります。

Q10. 妊娠中でもFNAは受けられますか?

妊娠中のFNAは、局所麻酔のみを使用し、放射線被曝がないため、胎児への影響は極めて少ないとされています。妊娠中は甲状腺の血流が増加しているため、穿刺後の止血には通常より注意を払います。妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、事前にお知らせください。

Q11. 子供や高齢者でもFNAは受けられますか?

可能です。小児の甲状腺結節もFNAで診断します。高齢者でも全身状態に問題がなければ安全に行えます。いずれの場合も、患者様の年齢や体格、全身状態に応じて穿刺手技や麻酔量を調整します。特に小児の場合は短時間で終わるよう配慮します。

Q12. しもやま内科へのアクセス方法は?

当院は千葉県船橋市芝山4-33-5にあります。電話番号は047-467-5500です。詳しいアクセス情報や診療時間はアクセスページをご覧ください。

アクセス

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〒274-0816 千葉県船橋市芝山4-33-5
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最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

08/04/2026