🔊 このページの要点
腹部片頭痛は、検査で大きな異常が乏しいのに強い腹痛と吐き気を繰り返す状態で、小児に多い一方で大人にも起こり得ます。
特徴(発作は1〜72時間、間欠期は元気)と、見分け方・治療(発作時/予防)・受診の目安を整理します。
「お腹が激しく痛いのに、検査では異常が見つからない」「子どもが周期的に腹痛と吐き気を繰り返す」――このようなとき、
腹部片頭痛という概念が関係することがあります。
腹部片頭痛とは?
腹部片頭痛は、頭痛の代わりに腹痛が主症状として前面に出る「片頭痛スペクトラム」の一型として理解されます。
小児に多い一方で、年齢の規定はなく成人にも起こり得ます。
まずは器質的疾患(炎症、感染、外科疾患など)を除外したうえで、症状の経過から判断します。
特徴(患者さん向けの要約)
- 発作性の強い腹痛が1〜72時間続く(その後は軽快し、間欠期は元気なことが多い)
- 部位はおへそ周囲(正中)のことが多く、悪心・嘔吐・顔面蒼白などを伴い日常生活に支障が出る
- 似た発作を繰り返す(誘因:睡眠不足、ストレス、食事の乱れなどが関係することも)
診断の考え方(何を根拠に判断する?)
腹部片頭痛は、血液検査や画像ではっきりした異常が出ないことも多く、診断は「症状のパターン」と「他の病気の除外」を組み合わせます。
診断のヒント
① 発作が1〜72時間で出たり引いたりする/② 間欠期は元気/③ 吐き気・嘔吐・顔面蒼白を伴う/④ 似た発作を繰り返す
① 発作が1〜72時間で出たり引いたりする/② 間欠期は元気/③ 吐き気・嘔吐・顔面蒼白を伴う/④ 似た発作を繰り返す
どんな病気と見分ける?(鑑別)
器質的疾患がないかを丁寧に除外したうえで、機能性腹痛の枠組みで評価します。
例:過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、周期性嘔吐症、(まれに)急性間欠性ポルフィリン症、腹部てんかん など
起こる仕組み(イメージ)
片頭痛と同様に、脳と腸のつながり(自律神経)や神経ペプチド(セロトニンなど)の関与が示唆されています。
「ストレスや生活リズムの乱れ」で悪化しやすいのはこのためです。
治療(当院の基本方針)
急性期(発作時)
- 休息・水分補給、光・音など刺激の軽減
- 症状に応じて鎮痛薬・制吐薬を使用
- 必要に応じて、片頭痛関連薬(トリプタン系など)を検討することがあります
再発予防(間欠期)
- 生活リズムの調整(睡眠・朝食・ストレス対策・運動習慣)
- 再発が頻回・重症の場合は予防薬(例:トピラマート/抗セロトニン薬など)を検討
- 発作日誌で誘因・周期・強度を可視化し、薬の効き方を評価
すぐ受診をおすすめするサイン
- 持続的な高熱・血便・体重減少がある
- 夜間眠れないほどの痛み、持続的な局在痛(同じ場所だけが続く)
- 反復する激しい嘔吐で水分摂取ができない/ぐったりしている
- 新しく出現した神経症状(脱力・けいれん・意識障害など)
腹部片頭痛が疑われる場合でも、上記があるときは器質的疾患を優先して評価します。
❓ よくある質問(FAQ)
腹部片頭痛とはどのような病気ですか?
頭痛の代わりに腹痛を主症状とする「片頭痛スペクトラム」の一型として理解されます。小児に多い一方で大人にも起こり得ます。
どんな症状が出ますか?
突然の強い腹痛、吐き気や嘔吐、顔面蒼白など。発作は数時間〜数十時間持続し、間欠期は元気であることが特徴です。
大人でも腹部片頭痛になりますか?
はい。頻度は高くありませんが成人にも生じます。片頭痛の既往・家族歴、発作のパターンが判断の手がかりになることがあります。
検査で異常が出ないのにお腹が痛いのですが?
腹部片頭痛では血液検査や画像で異常が出ないことも多く、症状経過や病歴から総合的に判断します。ただし、別の疾患が隠れていないかは丁寧に評価します。
治療法はありますか?
急性期は鎮痛薬・制吐薬、場合により片頭痛薬(トリプタン等)。再発予防として生活調整や予防薬を検討します。
再発しやすいですか?
個人差はありますが周期的に繰り返すことがあります。発作日誌で誘因や周期を把握すると、治療の精度が上がります。
しもやま内科で診療可能ですか?
はい。腹痛の鑑別評価、治療方針の相談、必要時は専門診療科と連携します。
参考(主要報告)
- Journal of Japan Society of Pain Clinicians. 2016;23(1).
- Ann Pharmacother. 2013;47:e27.
- Headache. 2013;53:984–993.
- Eur J Neurol. 2006;13:85–88.
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患を中心に、地域密着型の総合内科診療を行っています。
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患を中心に、地域密着型の総合内科診療を行っています。