中学生のお腹の痛みが繰り返す…腹部片頭痛の原因・症状・受診の目安

📘 要点

  • 腹部片頭痛は、お腹の痛みが主症状となる片頭痛の一種です
  • 痛みは突然始まり、15分〜3時間程度続いて繰り返します
  • 国際頭痛分類では、1〜72時間続くへそ周囲の痛みが特徴です
  • 発作が月2回以上ある場合は、予防薬の検討対象になります
  • 当院の対象は中学生以上(12歳〜)で、小学生以下は小児科へご相談ください
  • 痛みが我慢できないほど強いとき、発熱や血便があるときは早めにご相談ください

お腹の痛みが突然始まり、15分〜3時間程度続いて繰り返す——それは腹部片頭痛かもしれません。中学生以上のお子さんで「原因がわからない繰り返す腹痛」がある場合、内科的な視点からの診察が役立つことがあります。嘔吐や顔色不良を伴うことも多く、片頭痛の家族歴がある場合に関連がみられます。

腹部片頭痛とは——繰り返す腹痛の一因

腹部片頭痛は、頭痛ではなくお腹の痛みが主症状となる片頭痛の一種です。大人の片頭痛と同じメカニズム(血管・神経の関与)で起こると考えられており、国際頭痛分類(ICHD-3)でも独立した疾患として定義されています。

当院の院長は、総合内科・糖尿病内科・循環器内科・甲状腺内科の4つの専門医資格を持ち、中学生以上のお子さんの「原因不明の腹痛」に対しても、内科医の視点で診療しています。

お子さんのお腹の痛みが突然始まり、繰り返す場合、「腹部片頭痛」の可能性があります。頭痛ではなくお腹の痛みが主症状で、吐き気や顔色不良を伴うことも少なくありません。

※当院は中学生以上(12歳〜)を対象としております。小学生以下のお子さんは小児科・小児専門医療機関へご相談ください。

こんな症状はありませんか?——セルフチェック

以下に1つでも当てはまる場合、腹部片頭痛の可能性があります。

  • お腹の痛みが15分〜3時間程度続き、繰り返す
  • 痛みが突然始まる(前兆なく急に起こる)
  • 痛みで学校を休むほど強い
  • 痛みと一緒に顔色が悪くなる・吐き気が出る
  • 家族に片頭痛の人がいる
  • 痛みがなくなると元気になり、何ともない

上記の症状に心当たりがある場合は、一度医療機関へご相談ください。

腹部片頭痛と似ている病気との違い

お腹の痛みが繰り返す場合、以下のような病気との見分けが重要です。

病気 腹部片頭痛との違い
機能性腹痛 痛みが毎日続く、朝だけ痛む、ストレスとの関連が強い
過敏性腸症候群(IBS) 排便パターンの異常(下痢・便秘)を伴う、食後に痛みが出やすい
食物アレルギー 特定の食事と関係がある、下痢・じんましんを伴う
月経関連腹痛 女子中学生以上で、月経周期と一致する
慢性便秘 排便回数が少ない、便が硬い、痛みが持続的

こんな症状がある場合は早めに医療機関へ——緊急性の可能性

以下のような症状がある場合は、腹部片頭痛以外の病気(虫垂炎・腸閉塞・消化性潰瘍など)の可能性があります。早めに医療機関を受診することをおすすめします。

  • 痛みが我慢できないほど強い
  • 痛みが徐々に強くなる、または特定の場所(右下腹部など)に限局している
  • 発熱を伴う
  • 血便がある、または便に血液が混じる
  • 嘔吐が続いて水分が取れない
  • 痛みで夜も眠れない
  • 体重が減少している

上記のいずれかに当てはまる場合は速やかに医療機関を受診してください。緊急性が高いと感じる場合は、119番(救急車)へのご連絡をおすすめします。

家庭でできる対処法

痛みが起きたとき

  • 暗い部屋で安静に横になる
  • 部屋を静かにし、スマートフォンやゲームなどの画面は控える
  • 痛みが強い場合は市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用する
  • 吐き気が強い場合は水を少しずつ飲む

日常の工夫

  • 睡眠リズムを整える(夜更かしを避ける)
  • 朝食をしっかり食べる
  • ストレスを溜めない(学校や部活の相談を)
  • 頭痛日記や腹痛日記をつけて、痛みの出るタイミングや誘因を記録する

よくある質問(FAQ)

腹部片頭痛はどんな病気ですか?

腹部片頭痛は、頭痛ではなくお腹の痛みが主症状となる片頭痛の一種です。大人の片頭痛と同じメカニズムで起こると考えられており、国際頭痛分類でも独立した疾患として定義されています。特に小児〜思春期に多くみられます。数時間〜数日持続する臍(へそ)周囲の鈍い痛みが特徴で、吐き気・嘔吐・食欲不振を伴うことが多いです。片頭痛の家族歴がある方も多く、成長とともに頭痛を伴う典型的な片頭痛に移行することがあります。

どんな症状がありますか?

へその周りを中心とするお腹の痛みが突然始まり、15分〜3時間程度続きます。痛みの程度は日常生活に支障をきたすほど強いことが多く、吐き気・嘔吐・顔色不良・食欲不振を伴うことがあります。痛みが治まると普段通り元気になるのが特徴です。

頭痛がなくても腹部片頭痛と診断されますか?

はい、診断可能です。国際頭痛分類では「腹部片頭痛」は頭痛を伴わない独立した疾患として定義されています。頭痛がなくても、特徴的な腹痛発作と片頭痛の家族歴などから診断されます。家族に片頭痛の人がいる場合は特に疑われます。

中学生でもなるのですか?成長すれば改善しますか?

はい、中学生でも発症します。5〜15歳の小児〜思春期に多く、成長に伴い症状が軽減したり、片頭痛発作に変化したりする場合が多いとされています。ただし、症状が長引く場合や日常生活に影響が出ている場合は、早めに医療機関へご相談ください。

どんな検査をしますか?

腹部片頭痛は血液検査や腹部エコーでは異常がみられません。診断は主に症状の経過(発作の頻度・持続時間・随伴症状・家族歴など)を詳しくお聞きすることによります。必要に応じて、似た症状を呈する他の疾患を除外するための検査を行うことがあります。

病院で「異常なし」と言われましたが、腹部片頭痛の可能性はありますか?

はい、可能性があります。腹部片頭痛は通常の血液検査や画像検査では異常がみられないため、ほかの病気が否定された後に「腹部片頭痛」と診断されることが少なくありません。症状の経過を詳しくお伝えいただくことが診断の手がかりになります。当院では、内科的な視点から症状を詳しくお聞きし、必要に応じて消化器内科や神経内科と連携します。

家でできる対処法はありますか?

発作時は暗く静かな部屋で安静にし、スマートフォンやゲームなどの画面は控えてください。吐き気が強い場合は無理に食べず、水分を少しずつ摂るようにしてください。痛みが強い場合は市販のアセトアミノフェン系鎮痛薬が役立つことがあります。ただし、症状が続く場合や繰り返す場合は医療機関での相談をおすすめします。

予防のためにできることはありますか?

規則正しい生活リズム(十分な睡眠・朝食摂取・適度な運動)が重要です。また、発作の誘因(疲労・睡眠不足・ストレス・空腹など)を特定するために、症状日記をつけることをおすすめします。発作の頻度が多い場合は、予防薬(プロプラノロールなど)の検討も可能です。まずは生活リズムの改善と症状の記録を優先しましょう。

どんなときに医療機関を受診すべきですか?

強い腹痛が繰り返し起こり、学校を休むほど日常生活に影響が出ている場合には、一度医療機関を受診することをおすすめします。また、痛みが我慢できないほど強い、発熱を伴う、血便がある、嘔吐が続くなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

内科と小児科、どちらを受診すればいいですか?

中学生(12歳〜)以上のお子さんであれば、内科でも診察可能です。特に「繰り返す腹痛」で小児科で検査をしても異常がみられなかった場合には、内科的な視点(糖尿病・甲状腺・循環器等、全身の病気の可能性も含めた診察)からのアプローチが必要になることがあります。当院は中学生以上の患者さまを対象としております。小学生以下のお子さんは小児科へご相談ください。

学校を休むべきですか?学校とどう連携すればいいですか?

痛みが強い場合や吐き気がある場合には無理せず休むことをおすすめします。学校の先生には「腹部片頭痛という繰り返す腹痛の病気があること」「発作時は安静が必要であること」を伝えておくと、理解を得やすくなります。症状日記があれば学校との連携にも役立ちます。

家族に片頭痛の人がいると関係がありますか?

はい、関係があります。腹部片頭痛は片頭痛の家族歴がある場合に発症しやすいことが知られています。ご両親や兄弟に片頭痛をお持ちの方がいる場合は、お子さんの繰り返す腹痛が腹部片頭痛である可能性が高まります。診断の際の重要な手がかりとなります。

腹部片頭痛の診断基準は?

国際頭痛分類では以下の基準が用いられます:①1〜72時間持続する臍周囲の中等度〜重度の腹痛、②発作は2回以上、③発作中は通常の活動が困難、④以下のうち2つ以上を伴う:食欲不振・吐き気・嘔吐・顔面蒼白、⑤他の疾患が除外されていること。これらの基準に基づいて診断します。

腹部片頭痛になりやすい年齢は?

腹部片頭痛は主に3〜10歳の小児に多く見られ、特に7歳前後に発症のピークがあります。成長とともに症状が軽減または消失することが多いですが、一部では思春期以降に典型的な片頭痛に移行します。女児よりも男児にやや多いとの報告もあります。

腹部片頭痛と周期性嘔吐症の違いは?

両方とも片頭痛の亜型で密接に関連しています。腹部片頭痛は腹痛が主症状で、吐き気・嘔吐を伴うこともあります。周期性嘔吐症は激しい嘔吐発作が主症状で、胆汁性嘔吐や脱水をきたすことが多いです。両者はしばしば併存し、同じスペクトラム上の疾患と考えられています。

腹部片頭痛の治療法は?

発作時には安静と暗所での休養が推奨されます。急性期治療としては制吐薬や鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)が使用されます。発作が頻回(月2回以上)で生活に支障がある場合には、予防療法としてシプロヘプタジンやプロプラノロールなどの薬物療法を検討します。

腹部片頭痛を誘発する要因は?

片頭痛と同様の誘因が関与します。ストレス(学校・家庭)、睡眠不足・睡眠リズムの乱れ、空腹・食事の飛ばし、特定の食品(チョコレート・チーズ・加工肉など)、長時間の画面視聴、疲労、気圧変化などが誘因として報告されています。

腹部片頭痛と似ている病気は?

虫垂炎・腸重積・消化性潰瘍・過敏性腸症候群(IBS)・便秘症・尿路感染症・胆道疾患など、外科的疾患を含む多くの病気と症状が似ています。診断のためにはこれらの疾患を除外することが重要で、必要に応じて腹部超音波検査や血液検査を実施します。

腹部片頭痛は家庭でどう対処すればいいですか?

発作時は暗く静かな部屋で安静にさせることをおすすめします。冷却タオルを額に当てると楽になることがあります。十分な水分補給を行い、嘔吐がある場合は少量ずつの経口補水が効果的です。誘因(睡眠不足・空腹・ストレス)を避ける生活習慣が発作予防に役立ちます。

腹部片頭痛は大人にもありますか?

腹部片頭痛の診断は主に小児に用いられますが、成人でも類似の症状を呈する場合があります。成人ではむしろ片頭痛に伴う消化器症状として現れることが多く、典型的な片頭痛の前兆症状としての腹痛が報告されています。

腹部片頭痛と頭痛の関係は?

腹部片頭痛は片頭痛の亜型であり、成長に伴って典型的な片頭痛(頭痛を主症状とする)に移行することがあります。腹部片頭痛の子どもは将来片頭痛を発症するリスクが高いと言われています。また片頭痛の方の中には、頭痛発作の代わりに腹痛を感じる方もいます。

関連ページ

主な参考資料:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂、2024年5月30日発行)/日本内分泌学会・日本糖尿病学会・日本循環器学会・日本甲状腺学会・日本高血圧学会等の診療ガイドラインおよび厚生労働省の公表資料

作成・更新:2026-08-28|本ページは一般的な医学情報の提供を目的としたものです。診断・治療については受診のうえご相談ください。

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最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

22/03/2025