よく眠れないと糖尿病は良くならない
寝不足の糖尿病患者さんは血糖コントロールが良くならないことは、経験的に良くご承知のことであると存じます。糖尿病患者さんの中には睡眠障害を合併した方が非常に多くいらっしゃいます。
糖尿病と睡眠障害はどちらが原因でどちらが結果、という関係ではなく両者が密接にリンクしていることがわかってきました。
大阪市立大が今回糖尿病が悪化すると睡眠障害を来すということを明らかにしました。糖尿病の悪化に伴い睡眠の質が低下し、早朝高血圧をもたらし、心血管イベントが増えるというのです。睡眠障害のある糖尿病患者の場合、良く眠れるようにすることが大事であると改めて警鐘を鳴らしています。経験的に納得できるお話です。SASの患者にnasal CPAPを開始すると、血糖コントロールが改善することが良くあります。
大阪市立大学の稲葉雅章教授らは、2型糖尿病の入院患者63人を対象に、寝ているときの脳波を調べました。その結果、糖尿病のコントロールが不良の患者ほど、深い眠りに就いている時間が短い傾向が確認されました。また、深い眠りの時間が短い患者は、早朝高血圧を来す傾向があり、動脈硬化や心筋梗塞を招きやすいという結果が得られました。
稲葉教授は、「患者のデータから、糖尿病と睡眠障害、それに循環器の病気が互いに関係していることがうかがえる。糖尿病の患者に対し、睡眠障害を改善する治療を行う必要がある」と話しています。