首の痛み・発熱が続く方へ|亜急性甲状腺炎の症状と治り方を専門医が解説

🔊 このページの要点

首の痛みや発熱が急に出て「甲状腺の病気かも?」と不安になっていませんか。亜急性甲状腺炎は多くの場合、適切な治療で改善する一過性の甲状腺炎です。症状の特徴、診断のポイント、治るまでの目安、治療法、バセドウ病・無痛性甲状腺炎との違いを、甲状腺専門医がわかりやすく解説します。

🔎 要点まとめ

  • 典型症状:首(のど仏周辺〜前頸部)の痛み・圧痛、発熱、倦怠感
  • 検査の特徴:CRP/赤沈の上昇+甲状腺ホルモン異常(初期はFT4高値・TSH低値)
  • エコー:甲状腺内に低エコー域がみられることがある
  • 治療:軽症は消炎鎮痛薬、痛みが強い/長引く場合は短期ステロイドが有効
  • 鑑別:無痛性甲状腺炎・バセドウ病(治療が異なるため見分けが重要)

亜急性甲状腺炎(Subacute Thyroiditis)は、突然の「首の痛み」が特徴の甲状腺炎です。
風邪などの感染後に起こることがあり、発熱・倦怠感に加えて動悸や発汗などの症状が出る場合もあります。
多くは時間とともに改善しますが、早めに診断して適切に痛みを抑え、経過を確認することが大切です。

🧭 受診の目安(こんなときは早めに相談)

  • 首の痛み+発熱が数日続く/痛みで飲み込みや首の動きがつらい
  • 市販の鎮痛薬で十分に痛みが引かない
  • 動悸・息切れ・手の震えなど甲状腺ホルモン過剰を疑う症状がある
  • 痛みは軽くなっても、だるさが続く/むくみ・寒がりなど低下症状が出てきた

最新の診断基準(日本甲状腺学会 2024年改訂)

項目 内容
定義 有痛性の破壊性甲状腺炎による甲状腺中毒症
臨床所見 有痛性甲状腺腫、圧痛
検査所見 赤沈・CRP高値、FT4高値、TSH低値
エコー所見 内部低エコー域

(出典:日本甲状腺学会『甲状腺疾患診療ガイドライン2024』)

症状の特徴

(出典:日本甲状腺学会『甲状腺疾患診療ガイドライン2024』)

  • 首の痛み(飲み込み時・首を動かした時)
  • 発熱、倦怠感、筋肉痛
  • 甲状腺腫大による圧迫感
  • ホルモン異常による動悸・発汗・体重減少
  • 回復期に一時的な甲状腺機能低下へ移行する場合も

無痛性甲状腺炎との違い

(出典:日本甲状腺学会『甲状腺疾患診療ガイドライン2024』・岐阜赤十字病院甲状腺外来資料)

項目 亜急性甲状腺炎 無痛性甲状腺炎
痛み 強い なし
発熱 あり ほぼなし
炎症反応(CRP) 高値 正常〜軽度上昇
自己抗体 通常陰性 抗TPO抗体陽性例あり
治療方針 消炎鎮痛・ステロイド 多くは経過観察

血液検査やエコーでの鑑別が重要です。検査の詳細は
甲状腺エコー
健診後の精査 をご参照ください。

治療法

(出典:日本甲状腺学会『甲状腺疾患診療ガイドライン2024』)

  • 軽症例:消炎鎮痛薬(ロキソプロフェン等)
  • 中等症〜重症例:ステロイド(プレドニゾロン)短期使用
  • β遮断薬(プロプラノロール)で動悸・不安感の緩和

📞 受診の相談・検査のご希望
首の痛みや発熱が続く場合は、早めにご相談ください(採血・甲状腺エコーは当日対応可)。
電話:047-467-5500

当院の診療体制

しもやま内科では甲状腺専門医が在籍し、採血・エコー検査を当日実施可能です。
ガイドラインに沿った診断と、症状に合わせた治療・経過管理を行っています。

📄 よくあるご質問(FAQ)

亜急性甲状腺炎は命に関わる病気ですか?
基本的には命に関わる病気ではありません。適切な治療で多くは軽快しますが、まれに重症化や甲状腺機能低下が長引く例もあるため、早期診断と経過管理が大切です。
治療しないとどうなりますか?
軽症で自然軽快する例もありますが、放置すると痛みや炎症が長引いたり、ホルモン異常が悪化する場合があります。医師の管理下で経過をみることが重要です。
原因となるウイルスは何ですか?
多くは風邪・上気道炎などのウイルス感染がきっかけになります。具体的なウイルスは特定されない場合が多いです。
バセドウ病や橋本病とは違いますか?
異なります。バセドウ病や橋本病は慢性的な自己免疫性甲状腺疾患ですが、亜急性甲状腺炎は感染後などに一過性に起こる炎症性の甲状腺炎です。
感染が他人にうつることはありますか?
亜急性甲状腺炎そのものは感染しません。ただし、発症の引き金となった風邪などのウイルスが周囲にうつる可能性はあります。
再発することはありますか?
多くは一度の発症で落ち着きますが、まれに再発する例もあります。症状が再燃した場合は早めにご相談ください。
痛みが強くて不安です。どれくらい続きますか?
個人差はありますが、数週間で軽減することが多いです。消炎鎮痛薬やステロイド治療で痛みを速やかに和らげられる場合があります。
妊娠中でも治療は受けられますか?
妊娠中は治療薬の選択に注意が必要です。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、早めに甲状腺専門医へご相談ください。
ステロイド治療は副作用が心配です。
短期間の使用であれば副作用は少ないことが多いです。必要最小限の量で管理し、医師が慎重に経過をみながら調整します。
治療費が高額になりませんか?
通常は保険診療の範囲で対応できます。高額になる治療は一般的には多くありません。
甲状腺の腫れが残るのが心配です。
炎症が落ち着くと多くは縮小します。腫れが長く残る場合は、ほかの甲状腺疾患の除外も含めて専門的な評価が必要になることがあります。
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👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

23/06/2025