学校・部活への配慮(小児甲状腺)|体育・熱中症・試験前対応

🔊 このページの要点

小児の甲状腺疾患では、症状や治療段階に応じて学校・部活の配慮が必要です。発熱や倦怠感、動悸、めまいがある日は無理をせず、体育は見学・軽運動へ。脱水と熱中症を避け、こまめな水分・塩分補給や日陰休憩を許可します。試験期は体調に応じた時間配分や休憩、別室受験などを検討します。

小児の甲状腺疾患と学校・部活での配慮(体育・熱中症・試験期の注意)|しもやま内科
配慮は「無理をしない」「脱水を避ける」「体調に合わせて柔軟に」が基本。

学校・部活への配慮(小児甲状腺)|体育・熱中症・試験前対応

小児の甲状腺疾患(例:バセドウ病橋本病による甲状腺機能低下症など)は、治療中でも多くの子どもが通常の学校生活を送れます。ただし症状の強い時期・用量調整期・体調不良時には、運動負荷や暑熱環境、長時間の集中が負担になることがあります。本ページでは、学校・部活・受験期に役立つ実務ポイントをまとめます。


1. 状況別の基本方針

状況 学校・部活での配慮
バセドウ病(亢進)でコントロール不良 強い運動は原則控える/体育は見学・ストレッチ程度/暑熱・直射日光を避ける/体調急変時は保健室で安静・連絡
機能低下症で調整中・強い倦怠 無理をさせない/段差・長距離走は回避/冷え対策(衣服調整)/遅刻・早退や休憩の柔軟対応
安定期(採血で目標内) 原則通常参加。猛暑日や体調不良時は自己申告で負荷軽減/水分補給・帽子着用は自由
  • めまい・動悸・息切れ・悪心・頭痛などがあればその日の体育は見学を許可。
  • 発熱・咽頭痛・強い倦怠感時は早退や受診を検討。抗甲状腺薬内服中は高熱・咽頭痛で無顆粒球症を鑑別(医療機関に連絡)。

2. 体育・部活:運動負荷と暑熱対策

  1. 調整期は軽運動中心:持久走・インターバルトレーニング・炎天下の長時間練習は回避。
  2. 水分・塩分補給を自由化:授業中の飲水許可。夏場はクーリングブレイク、日陰休憩。
  3. 自己申告を尊重:「しんどい」「動悸がする」は即休憩。無理を強いない。
  4. 復帰は段階的:検査値と症状が安定 → 軽運動 → 中等度 → 通常へ。

3. 学校生活の運用(保健室・担任・顧問向け)

  • 保健室での短時間休憩を認める(10–20分)。
  • 水筒・帽子・上着の常時携行を可。
  • 欠席・遅刻・早退は医療的配慮として柔軟に扱う。
  • 定期受診・採血のための早退・遅刻を許可。

4. 試験・受験期の配慮

  • 休憩の付与(例:科目間休憩の延長、別室での途中退室可)。
  • 別室受験(体調変動が大きい時期・暑熱下)。
  • 水分補給・上着の持ち込みを許可。
  • 長期欠席時の課題振替や補講の調整。

5. 学校提出用:医療的配慮 連絡文例

件名:医療的配慮のお願い(甲状腺疾患)

〇年〇組 児童・生徒:____

診断名:甲状腺機能(亢進/低下)症/治療中。体調により動悸・倦怠・集中困難・暑熱不耐が出現することがあります。

  • 体育:当面は無理のない範囲(見学・軽運動)で可。体調申告時は休憩・保健室利用を許可。
  • 水分補給:授業中も自由/帽子・上着の持参可。
  • 試験:必要に応じ別室受験・休憩付与をご検討ください。
  • 異常時:強い発熱・咽頭痛・動悸などがある場合は、保護者・当院へご連絡ください。

しもやま内科(船橋市) TEL:047-467-5500


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この記事の監修医師
しもやま内科 院長 下山 立志(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医)