小児のヨウ素制限|海藻・出汁・サプリの注意点

🔊 このページの要点

小児の甲状腺疾患では、海藻・出汁・サプリに含まれるヨウ素が病状に影響します。日常は「量と頻度」を整え、過度な海藻や濃い昆布出汁、ヨウ素入りサプリは避けます。学校給食や外食は基本OKですが、不調時・治療調整期は控えめに。検査前は医師の指示に従い、一時的な制限を行うことがあります。

写真:昆布とわかめの味噌汁。画像内テキスト「小児のヨウ素制限/しもやま内科」
昆布・わかめなど海藻の摂取は「量と頻度」を整えるのが基本です。検査前や体調不良時は一時的に控えめに。

小児のヨウ素制限のポイントを実務目線で整理しました。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料です。摂り過ぎても不足しても甲状腺機能に影響し、特に小児のバセドウ病(亢進)や橋本病(低下)では、海藻や濃い昆布出汁、ヨウ素配合サプリがコントロールを乱すことがあります。本ページでは、家庭・学校・部活・外食での実務的ポイントをまとめます。


1. 基本方針(ご家庭向け)

  • “量と頻度”を整える:毎日の多量摂取は避け、少量をときどきに。濃い昆布出汁・とろろ昆布大量・乾燥昆布の常食は控えます。
  • バセドウ病(亢進)・機能低下の調整期:海藻は少量・低頻度に。エスカレートしてきたときは一時中止も検討。
  • 安定期(採血が目標内):海藻サラダや味噌汁のわかめ等は少量であれば概ね可。変化が出たら頻度を落とします。
  • サプリは原則不要:ヨウ素・ケルプ(昆布)・海藻ミックス・甲状腺系ダイエットサプリ避けるのが基本。

2. 学校給食・部活・外食の考え方

シーン ポイント
学校給食 基本OK。わかめスープ・昆布佃煮などは残す必要は通常なし。体調不良時や治療調整期は量を控えめに。
部活・補食 スポーツドリンクはヨウ素とは無関係。脱水対策を優先。海藻おにぎり(昆布・わかめ)は頻度を上げすぎない。
外食・テイクアウト 和食の昆布出汁は濃度が読みにくいので、疾患悪化時は汁物の量を控えるなどで調整。

3. 食品ごとの“量と頻度”のめやす

  • 控えめにしたい:昆布だし(濃いめ)、とろろ昆布・昆布の佃煮の大盛り、海藻サプリ、ケルプ錠。
  • 少量なら可:味噌汁のわかめ・豆腐のわかめ少量、焼きのりの一般的な使用、魚・乳製品(通常量)。
  • ヨウ素うがい薬:誤飲は避ける。日常のうがいは少量・短期間にとどめる(医師指示があれば従う)。
  • 造影剤検査後:ヨウ素負荷の影響が続くため、薬剤性・ヨウ素負荷の項を参照し、受診時に必ず申告。
メモ:短期間での完全除去は不要です。“過度な常食”を避けること、症状悪化時や検査前は一時的に引き締めることがポイントです。

4. よくある落とし穴

  1. サプリの成分見逃し:「海藻エキス」「ケルプ」「甲状腺サポート」等の表示は回避。
  2. 健康志向の濃い出汁:昆布を長時間煮出した出汁の常用は避ける。
  3. 市販だし・ふりかけ:“昆布エキス”入りは頻度を上げすぎない。
  4. うがい薬の常用:必要最小限・短期間に。

5. 検査・治療との関係

  • 採血前:医師から指示がある場合、一時的に海藻やサプリを控えることがあります。
  • 薬の調整期:コントロールが乱れやすいため、海藻は少量・低頻度に。
  • 不調が続く:食事メモを持参し、採血結果と合わせて相談。

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この記事の監修医師
しもやま内科 院長 下山 立志(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医)