甲状腺内科

バセドウ病の治療法比較|しもやま内科【甲状腺専門】

06/07/2016

バセドウ病の治療法比較

バセドウ病には、抗甲状腺薬、131I内用療法、手術療法といった治療法があります。それぞれの特徴を理解し、患者さんに最適な治療を提案いたします。

重要:
2年以上抗甲状腺薬を使用しても寛解しない場合、次のステップ(131I内用療法や手術)を検討します。

第一選択は抗甲状腺薬

日本においては、バセドウ病の治療は抗甲状腺薬から開始するのが一般的です。通常、メルカゾール(チアマゾール/MMI)を用います。

抗甲状腺薬の種類と使用方法

メルカゾール(チアマゾール)
プロパジール(プロピルチオウラシル)

  • 妊娠初期(4〜7週)以外はMMIが第一選択。
  • 妊娠初期はPTU(プロパジール)を推奨。
  • 2年以上寛解しない場合は次の治療法へ移行検討。

抗甲状腺薬のメリット

  • 外来通院で治療できる
  • ほとんどの患者に適応
  • 機能低下症のリスクが低い

抗甲状腺薬のデメリット

  • 寛解率が低い
  • 治療期間が長くかかる
  • 副作用のリスクがある

抗甲状腺薬の副作用

副作用は治療開始から3ヶ月以内に多く発生します。重大な副作用と軽度の副作用に分かれます。

重大な副作用

軽度の副作用

  • 皮疹(蕁麻疹):自然消失することも
  • 軽度の肝機能障害:経過観察が基本

抗甲状腺薬の減量と中止の基準

  • FT4が正常化したら薬を徐々に減量。
  • TSHも正常範囲になればさらに減量。
  • 6ヶ月以上正常値が維持できれば中止検討。
  • TRAbの陰性化を確認できればより安心。

無機ヨード療法

無機ヨードは短期間で甲状腺機能を抑える治療法です。

適応例

  • 甲状腺クリーゼの治療
  • 抗甲状腺薬が使用できない場合
  • 手術や131I内用療法への橋渡し

注意点

無機ヨード療法は漫然と続けず、次の治療へのつなぎと考えます。

131I内用療法

放射性ヨウ素を用いる安全な治療法で、バセドウ病を確実に治すことができます。

適応

  • 抗甲状腺薬による重大副作用時
  • 手術や薬物療法が不適切な場合
  • バセドウ病の再発や腫瘍縮小希望

禁忌

  • 妊娠中・授乳中の女性
  • 妊娠の可能性がある女性

手術療法

手術は、甲状腺悪性腫瘍を伴う場合や、薬物療法でコントロールできない場合に選択されます。

ポイント

  • 熟練した甲状腺外科専門医が担当
  • 約60〜70%の患者で治療完了が期待できる
  • 術後ホルモン補充が必要な場合もある

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