船橋市のしもやま内科では、採血(TSH・FT4/FT3・自己抗体)と甲状腺エコーを当日実施し、橋本病の評価、潜在性低下症の治療適応判断、レボチロキシン内服の使い方まで丁寧にご説明します。
甲状腺機能低下症は、TSH上昇とFT4低下(潜在性ではFT4正常)で診断します。
原因の多くは橋本病で、症状やTPO抗体、心血管・妊娠関連リスクを踏まえて治療適応を判断します。
レボチロキシンは空腹時に内服し、鉄・カルシウム・PPIとは時間をあけて服用します。

甲状腺機能低下症(総論)
症状:よくある訴えと“見落としサイン”
- 全身:だるさ、疲れやすい、体重増加、寒がり、むくみ、筋力低下
- 皮膚・毛髪:乾燥肌、脱毛、かかとのひび割れ、声のかすれ
- 循環器:徐脈、拡張期血圧上昇、心不全の悪化リスク
- 消化器:食欲低下、便秘、肝酵素軽度上昇
- 神経・精神:抑うつ、物忘れ、眠気
- 女性:月経異常、不妊、流産リスク上昇(未治療の場合)
症状だけでは他疾患と区別が難しいため、TSHとFT4を中心とした採血に加え、甲状腺エコーで橋本病(慢性甲状腺炎)の有無を評価します。
橋本病(慢性甲状腺炎)との関係
成人の甲状腺機能低下症の最多原因は橋本病です。
自己抗体(TPOAb/抗サイログロブリン抗体)陽性や、エコーでびまん性低エコー・粗雑化を認めることが多く、進行によりTSH上昇→FT4低下が目立ってきます。
詳しくは:橋本病の解説ページ(詳細)
潜在性甲状腺機能低下症の治療適応
潜在性は「TSH上昇 + FT4正常」。治療は個別判断ですが、次のケースは治療推奨・検討の優先度が高くなります。
- TSH ≥ 10 mIU/L:一般に治療推奨
- TSH 4.5–9.9:症状が強い/TPOAb陽性/甲状腺腫大/脂質異常/心血管リスクが高い/妊娠中・妊娠希望/不妊治療中は治療を積極的に検討
- 高齢者では過量投与による心房細動・骨粗鬆症リスクに留意し、開始量は少量から慎重に
より詳しい基準は:潜在性甲状腺機能低下症(Subclinical)
レボチロキシン(L-T4)の使い方と相互作用
内服の基本
- 朝の空腹時にコップ1杯の水で内服(食前30–60分)または就寝前(最終食後3–4時間)
- TSHは6–8週ごとに再評価(用量調整はこの間隔が目安)
- 若年で合併症の少ない原発性低下症の目安量:約1.6 μg/kg/日から(個別調整)
- 高齢・虚血性心疾患あり:12.5–25 μg/日から漸増
吸収低下を起こしやすい併用薬・食品(内服間隔をあける)
- 鉄剤・カルシウム・マグネシウム(サプリ含む)、制酸薬(Al/Mg)・胆汁酸吸着薬:L-T4と4時間以上あける
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)・H2ブロッカー:胃内pH変化で吸収低下の可能性。用量調整や内服タイミング最適化で対応
- コーヒー・豆乳・高繊維食:内服直後の摂取は吸収に影響するため回避
相互作用でコントロールが不安定な場合、剤形変更(液剤/ソフトカプセル)で改善することもあります。
妊娠希望時・妊娠中のTSH目標
- 妊娠希望・不妊治療中:多くのガイドラインでTSH < 2.5 mIU/Lを目標に調整を推奨
- 妊娠中:各期の基準域に合わせて調整(概ね1期 <2.5、2–3期 <3.0 の目安)。妊娠判明時にL-T4を20–30%増量(例:週2錠追加)を考慮し、4週毎にTSH/FT4をフォロー
Low T3症候群との違い
Low T3症候群は、重症疾患・栄養不良などで起こる非甲状腺疾患症候群の一種で、TSHは正常〜軽度変化。甲状腺ホルモン補充は原則不要で、基礎疾患の治療が優先です。
一方、原発性低下症ではTSH上昇+FT4低下(潜在性ではFT4正常)を示し、L-T4補充が治療の基本です。
ご予約・お問い合わせ:047-467-5500
👨⚕️ この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。